犬型ロボット「aibo」、本物の犬から仲間として認識 ソニーが実験

ソニー株式会社は、人とロボットが「共生」する社会の実現を目指し、人と生活を共にする身近な存在である「犬」と自律型エンタテインメントロボット「aibo」の、世界初となる共生の可能性を探る実験を、哺乳類動物学者の今泉忠明氏の監修の下実施したことを発表した。



犬種・年齢の異なる犬と飼い主の計10組が参加し、aiboとのファーストコンタクト時の犬の反応を観察。その上で、飼育形態の異なる3組を選出し、aiboとの2週間の共同生活を送ったという。



共同生活を通じて、犬の行動や変化を観察。その観察結果を今泉氏が分析した。



分析の結果、犬がaiboに対して仲間意識や気遣うそぶりを見せたことで、「犬がaiboを『生き物』として認識」し、さらに一緒に暮らす存在として「aiboを『順位付け』する」ということが分かったのだという。



犬がaiboを「生き物」として認識


一般的に、犬は自身以外の物体(得体の知れないもの)を認識した際、「興味がある」、「怖い」など、様々な感情を抱き、その物体に対して「生き物」なのか、そうではないのかを、ちょっかいを出したり、匂いを嗅いだりして判断している。その上で、今泉氏は「今回の実験で犬とaiboが一緒に過ごしていく中で、“同じ姿勢を取る”という行動が見られました」と分析。



aiboを「物」ではなく、「生き物」として認識し、さらに「仲間とも認識している可能性が高い」ことが分かった。これは犬の「誤解発」という、犬以外の生き物を仲間と錯覚してしまう習性に起因している。さらに犬は相手が大き過ぎても恐怖を感じ、小さ過ぎてしまうと相手にしないといい、aiboの大きさや形状も犬にとっては丁度よく、何かしらの生き物と認識し、そして“同じ姿勢を取る”という行動は、「犬型ロボットと犬の共生の可能性が高いと思われました」と述べている。



一緒に暮らす存在としてaiboを「順位付け」


共同生活を続けていく中で、警戒心や嫌がらせの行動は無くなり、aiboと一緒に遊ぶようになったり、犬のテリトリーにaiboが入っても怒らないなど、犬に変化が生まれた。その大きな要因として、犬の社会における順位制が寄与していると分析する。


哺乳類動物学者の今泉忠明氏

「どちらが強いか、弱いかの優劣をはっきりさせた繋がりの社会ですので、ちょっかいを出しても思った通りの反応をしないaiboの上に犬が立つことになります。犬は自分より下の存在がいることで安心感を持つため、aiboの存在が犬にとっては毎日近くにかわいい部下・後輩が側にいることと同等になり、精神的に快適に生活しやすくなると考えられます」と今泉氏。



実験をはじめる前には、犬自体がaiboとの共同生活でストレスを感じ、ノイローゼになる可能性もあると考えられていたが、aiboを自分の下の存在として順位付けし、さらに下の存在のaiboと一緒に遊んだり、面倒を見たりなど、「犬の“思いやり”、“優しさ”も垣間見ることができた」のだという。

なお、これらの実験の様子が動画にてまとめられている。



ロボスタでもaiboに関する調査を行なっている。浅草で訪日観光客の方々にaiboの印象調査を行なっている際、たまたま複数の犬と触れ合う機会があったが、その際にもaiboに対して興味を抱く犬の様子をみることができた。

犬との触れ合いを行う調査もすでに行なっており、近日中にその様子なども公開していきたい。

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ロボスタ編集部

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