アマゾンの画面つきスマートスピーカーの本命「Echo Show」はココがすごい!Amazon Echo新製品&新機能説明会で見えた未来

年末にかけて、Amazon Echoの新しいモデルや新製品が続々と登場することになった。それに伴い、アマゾンジャパンは報道関係者向けに新Amazon Echoシリーズの説明会を開催した。
前回記事「【大迫力】Amazon Echoのパワフルな2.1chサウンドシステムをアマゾンがデモ!Amazon Echo新ラインアップまとめ」ではAmazon Echoの3製品とサブウーファーを中心に紹介したので、今回は画面付きスマートスピーカー「Echo Show」のスペックや新しくなったエンタテインメント機能等について紹介しよう。また、「Fire TV Stick 4K」がアレクサに対応したことを含めて、画面付きのスマートスピーカー&デバイスの戦略や将来の可能性についてもチェックしていこう。





画面付きスマートスピーカーの新製品「Echo Show」

「スクリーン付きスマートスピーカー」として、ユニークな丸型ディスプレイを搭載した「Amazon Echo Spot」が従来から発売されている。これに今回、10.1インチHDタッチスクリーン付きの「Echo Show」が加わり、画面付きスマートスピーカーは2機種になった。

12月に発売する新製品「Echo Show」

Amazon Echo Spot【従来品】
Amazon Echo Show (第2世代)【新発売】 27,980円



新製品のEcho Showを紹介するAlexaシリーズ担当のバイスプレジデント ミリアム・ダニエル氏

Amazon Echo Showは10.1インチの大画面を搭載したスマートスピーカーだ。12月12日の発売が予定されている。「タブレットとどこが違うの」と思う人がいるかもしれないが、タブレットとはいくつかの大きな相違点がある。ハードウェア面で言えば、まずはマイクアレイを4つ搭載している。Echo Showは画面タッチよりもまずは音声ファーストでの操作が重視されているので音声認識に関する性能を追求している。画面付きとはいえスマートスピーカーに分類されるため、音楽を楽しむためのスピーカーセットにもこだわっている。Dolby対応のパワフルな高音質スピーカー2基を内蔵、パッシブラジエーター式で、本体側面に配置している。

Echo Showのスピーカーは本体側面に2基内蔵。スピーカーとしての高音質へのこだわり

下記はEcho Show 1台、単独での楽曲再生のデモだ。タブレットとは一線を画す音響性能であることがわかるだろう。

■Echo Show , Sound performance demo

なお、スマートホーム家電を操作できるハブも内蔵している。
では、スマートスピーカーに画面がつくと、どのように便利になるのだろうか。それはこの後の「エンタテインメント機能」の説明でも垣間見ることができる。


さらに拡がるAlexaのエンタテインメント機能

新しく追加されたAmazon Echoシリーズを含めて、これからますます拡がるAlexaのエンタテインメント機能をお馴染みのカレン・ルービン氏が説明した。

アマゾンジャパン Amazon Alexa担当ジャパン・カントリーマネージャー カレン・ルービン氏

ルービン氏はまず、たくさんの人が朝、Alexaに話しかける人気のコンテンツとして「運勢」を紹介した。
「アレクサ、今日の運勢は?」

次に、このところAlexaは、スポーツやスポーツ選手の情報に注力して学習してきたことを紹介した。これまでもサッカーやプロ野球の分野では自分の好きな選手やチームの試合結果を聞くことができたが、最近では「テニス」の結果にも対応している。ルービン氏が「大坂なおみの結果を教えて」と聞くと、アレクサは「大坂なおみは土曜日、中国オープン女子シングルスの準決勝でアナスタシヤ・セバストワに負け・・」と最新の試合情報を伝えた。ただ、現在ではまだ日本で有名な選手に限るようだ。
今後、東京オリンピックに向けて、さまざまなスポーツの情報を強化していくと言うから楽しみだ。


強化された3つのエンターテインメント機能

新しく3つのエンターテインメント機能が強化された。



Audible(オーディブル)

ひとつは「Audible」(オーディブル)だ。耳で読む、声で聞く、本の読み上げサービスだ。電子ブックのKindleにも音声読み上げサービスがあるが、そちらはコンピュータの音声合成による機械的な読み上げが主だが、オーディブルは人が読み上げる、抑揚のある表現が特長だ。現時点で14,000点以上の日本語のコンテンツがあり、38ヶ国40万以上のタイトルが用意されている。スマートスピーカーだけでなく、パソコンやスマートフォンでも利用できる。

■Audible(オーディブル)の読み上げの例


Audible(オーディブル アマゾン公式)
https://www.audible.co.jp/ep/audible?source_code=GPSSRCHALLW0710150001



スマートホームスキル

さまざまなAV機器をAlexaのスマート・ホームスキルを通じて操作できるようになってきた。AmazonではこのAPIをアップデートし、Amazon以外のメーカー各社が提供しているカスタムスキルでもより高度なAV機器の操作が可能になった。発表したばかりのアップデートだが、既に下記の6社が対応したり、対応を表明している。

既にAVスマートホームのカスタムスキルを提供しているメーカー群。ソニー(ブラビア)、東芝(レグザ)、ラトックシステム、ヤマハ、リンクジャパン、ピクセラ、ソニーネットワークコミュニケーションズ。



Fire TV Stick 4K (テレビがAlexa対応に)

新発売の「Fire TV Stick 4K」(12月に出荷予定)がAlexa対応となった。Fire TV は家庭用テレビに接続してビデオコンテンツ等を楽しむ機器だ。付属の音声認識リモコンからAlexaを通じて操作できるほか、既にAmazon Echoを使用している場合はそれを通じて操作が行える。「×秒早送りして」「×秒戻して」と話しかけたいときにも便利だ。
テレビやビデオコンテンツの操作だけでなく、天気やニュースを聞いたり、スキルを利用することもできる。Amazon Echoユーザーにとっては画面付きの機器が追加されるような感覚だろう。

Fire TV Stick 4Kではカラオケのように楽しめる機能も用意されている。Amazonミュージックでは今夏から一部の曲に歌詞が表示できる機能が追加されている。大画面テレビでこの機能を使うことで、本番のカラオケへの練習として楽しみながら利用できるかもしれない。

■Karaoke by Fire TV Stick 4K with Alexa


ショッピングは画面があるとわかりやすい

既報の記事でも伝えたが、Amazon Echoシリーズの機能はショッピングや決済(Amazon Pay)との連携も視野に入ってきた。商品を選んだり、注文の確認をするのは画面付きのスマートスピーカーの方が解りやすい。下記は出前館のスキルで出前を注文するデモだが、今後はこのような利用方法も注目されていくだろう。

■Amazon Echoシリーズで商品の購入(出前館)




「Alexa Connect Kit」と「Smart Screen SDK」

Amazonはスマートホームのビジョンを「Alexa Connect Kit」中心にして描いている。同社は、スマートホーム環境下では、照明器具や鍵、家電など、さまざまな機器が繋がり、音声で制御されるようになると考えている。しかし、それはAmazon一社で実現できるものではなく、多くのメーカーが連携して構築するものになるだろう。その基盤として提供するのが「Alexa Connect Kit」だ。
「Alexa Connect Kit」はコンピュータユニットモジュールやSDKからなる開発キットだ。MPUやWi-Fi、Bluetoothを搭載する。家電や各種機器のメーカーはその小さなモジュールをいろいろな機器に組み込むことによって、廉価でAlexaで制御可能なスマートホーム製品として開発することができるしくみだ。米国ではAmazonがAmazon EchoやAlexaと連携する「電子レンジ」を発表して話題になったが、これは「Alexa Connect Kit」で開発したスマートホーム製品であり、他のメーカーに対してはコンセプトモデルを兼ねて発売する位置付けになっている。

海外ではAmazonが「Alexa Connect Kit」を使った電子レンジを発売する。価格はなんと59.99ドルの予定だ。

また、この説明会で新たに「Smart Screen SDK」も発表している。既にレノボやソニーが「Smart Screen SDK」を採用することが決まっている。開発者やメーカーは今後の機器開発の研究のために、ぜひチェックすることをオススメしておきたい。


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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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