Amazon Alexaでビジネス・マネタイズする6つの方法 - Alexa Dev Summit Tokyo 2018

「Alexaでマネタイズする方法は6つあります」
Alexa Dev Summit Tokyo 2018 の基調講演に登壇したPAUL CUTSINGER氏はこう語り、更には午後のセッションでもAlexaに関わるマネタイズ方法について詳しく解説した。

Alexaでマネタイズする6つの方法

iPhoneやAndroidなど、スマートフォンやタブレットの分野では、アプリの有料ダウンロード課金やアプリ内課金など、開発者がマネタイズしてビジネス活用することは特に難しいことではない(期待したほど売れるか売れないかは別として)。無料アプリ内での広告表示もビジネスとして成立している。しかし一方、Alexaスキルでマネタイズすることは現状、日本市場では難しい。スキル自体を有料でダウンロート提供したり、ユーザーとの期間契約等でマネタイズするようなスキームが確立されていないからだ。

とはいえ、米国をはじめとして一部の先進国ではAlexaを使ってマネタイズする事例が出はじめているし、Amazonも手探りながらその領域を広げているので、日本でも近い将来、マネタイズが容易になっていくと考えられる。
Amazon.comのSENIOR MANAGERとして活躍し、エヴァンジェリスト的な役割を持つPAUL CUTSINGER氏の講演はまさにその「Alexaでマネタイズ」にフォーカスした内容が含まれていた。

AMAZON.COM, SENIOR MANAGER ALEXA SOLUTIONS ARCHITECT の PAUL CUTSINGER氏

■参考 Alexaでビジネスを築こう


Amazon Pay

Alexaでマネタイズする6つの方法のうち、まずは「Amazon Pay」を使って決済する方法。
もっともシンプルなマネタイズ方法だ。AlexaスキルとAmazon Payを連携すれば、商品やサービスを注文し、それをAmazon Payで決済してマネタイズすることができる。これは日本市場でも「出前館」が開発したAlexaスキルが、注文からAmazon Payでの決済まで、Alexaによる音声だけで実現した。これはオンライン展開を狙う多くの企業にとって、見本とすべき事例になるだろう。(ただし現状では、どんな企業にもその門戸が開かれたと言える状況ではない)

Fire TV Stickで大画面テレビに表示した「出前館」Alexaスキル。音声で画面を見ながら出前を注文できる


買い切り型とサブスクリプション型

「買い切り型」はユーザーが購入すると製品やサービスを手に入れることができ、恒久的に利用できる形態だ。Alexa連携デバイスを開発したり、デバイスを売るといったマネタイズの方法が代表的だ。メーカーが自社製品をAlexa対応製品としてリリースすることだ。開発は「Alexa Voice Service」(AVS)を使う。AVSは短期間で自社製品をAlexa対応製品にできる開発キットとプラットフォームサービスだ。


次に「ガジェット」。
Bluetooth経由でAmazon Echoと接続して組み合わせるアクセサリーデバイス「Alexaガジェット」を開発できるキットとプラットフォームだ(日本未対応)。そのコンセプトモデルとも言えるAmazon社製品が米国などで発売されている「Echoボタン」(日本未発売)だ。ガジェット製品を販売することでマネタイズできる。

テーブルの上に置かれている光るボタン(4つ)が「Echoボタン」。早押しゲームやクイズなどに活用して家族や友人と楽しむことができる。Echoは写真の右上にひっそりと置かれている

米国では「Echo ボタン」をリリースすることで、Alexaスキルでゲームを楽しめるようになった。家族や友人とのパーティでボタンの早押しゲームやクイズゲームなどを楽しむことができる。新しいゲームスキルを組み込むのに課金したり、追加でプレイするのにスキルない課金することでマネタイズすることができると言う。

例えば、Alexaスキルをダウンロードして利用したり、ガジェットを利用するマネタイズでは、それらを恒久的に使い続けられるのが「買い切り型」で、月額などの有料契約を行って、使っている期間に課金するのが「サブスクリプション型」。パソコンやスマホ用アプリや他の既存のサービスと同様、提供方法でどちらにでも設定することは可能だ(現状の日本市場ではAlexaスキル環境ではまだどちらも不可)。


オフィスやホテルでAlexa

米国ではオフィスやホテルなど、ユースケースを限定して、具体的な活用方法を提案する段階に入っていると言える。

Alexa for Business」は家庭だけでなく職場でもEcho製品などを導入して活用するためのプラットフォームだ。音声会議、ビデオ会議、オフィス周辺の道案内、空いている会議室の検索、ビル設備の問題の報告、新しい備品の注文などいくつかの活用方法が考えられる。

Alexa for Business

ホテルでEchoデバイス等のAlexa対応製品を活用するのが「Alexa for Hospitality」だ。客室内にAmazon Echo等の対応デバイスを設置して、宿泊者が音声で音楽再生、タオルの注文、室温調整、照明制御、地元のレストランやアトラクションの検索、電話、チェックアウトなどのコンシェルジュ的な役割をこなせるようになる。

Alexa for Hospitality

そして日本でもお馴染みの「スマートホーム」だ。照明、エアコン、掃除機、電子レンジ、玄関ドアロック、リモコンなど、さまざまな家庭用機器がAlexaの音声で操作できるようになる。これらの製品を開発して販売したり、将来はスキルを販売したり、特別な機能を使うことでマネタイズできるようになるかもしれない。


ビデオゲームと連携するスキル

ビデオゲームと連携する方法もある。ユーザーはゲームを進めていくうちに解説やヒントが欲しくなる。そのときにAlexaがアドバイスをしたり、ヒントをくれるというスキルが実際に実在している。このとき重要なヒントや攻略方法は有料課金で提供するという方法もとれるだろう。

日本でも人気がある、仲間と一緒に地球を救うアクションシューティングゲーム「Destiny 2」(PS4/Xbox One/PC版)。このゲームに登場する「ゴースト」とAlexaが連携するスキル「Destiny 2 Ghost Skill」がリリースされ、音声で「最強の武器を装備して」「弾丸を装填して」などAlexaスキルを通じてゲーム内のアシスタントに指示したり質問したりと連携できる。このケースは基調講演の中でも紹介された。

アクションシューティングゲーム「Destiny 2」に登場する「ゴースト」をAlexaの音声を通じて操作できるスキル「Destiny 2 Ghost Skill」

Destiny 2 Ghost Skill – Gear


クイズ番組「Jeopardy!」の契約モデル

「Jeopardy!」(ジェパディ!)は米国で放送されている人気クイズ番組だが、サブスクリプション型のスキルとして提供がはじまっている(米国)。スキルの内容は、毎日無料で6問のクイズに答えることができるというシンプルなものだが、有料会員(月額2ドル)やAmazonプライム会員には提供される質問やヒントが多くなるなどの特典が用意される(Double Jeopardy!)。


消費型

アクションやパズルゲームなどではライフやジェムがなくなるとゲームオーバーになるものもあるが、追加のライフやジェムに課金する方法もあるだろう。購入して、使えばそれでなくなってしまうのが「消費型」となる。


開発者リワード

優秀なAmazonスキル開発者に贈られるアワードでマネタイズする方法。



エージェンシーサービス

Alexaスキルを開発したり、サービスを開発するためのツールの商品化したり、請け負うことでマネタイズする。


まとめ

前述のように、Alexaスキル単体でのマネタイズは現状では難しい。すぐにビジネスに繋げたいと思うなら、メーカーではあればAlexa Voice Serviceを使って、自社製品の中にAlexaのエコシステムを搭載する方法がある。販売やサービス提供という面では、今後はAmazon Payとの連携で注文・購入・決済がスキルからでも実現できるように、少しずつなっていきそうだ。
面白いアイディアだったのがゲームとの連携だ。ゲーム内で武器の装填を音声で行って効率を上げたり、攻略情報の提供をスキル連携によって行うのは面白い発想だ。それをマネタイズに繋げられるスキームができれば、市場は活性化するだろう。
今後の展開に期待するとともに、注目していきたい。

関連サイト
Alexa Dev Summit Tokyo 2018

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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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