【柔らかくて温かい】話題のGROOVE Xの家族型ロボット「LOVOT」を体験してきた!こだわりの技術まとめ

「にんじん!」
LOVOTの体験コーナー用に用意された部屋のドアを開けると、部屋の奥ににんじんのようにオレンジ色の服を着たLOVOTがいた。僕がLOVOTに名前で呼びかけると、ニンジンは僕の顔を見ながら一直線にやってきた。クリクリとした瞳で僕を見上げて、両手をパタパタと動かして・・。


「両手をパタパタしているときは「抱っこ」をねだっているんですよ」スタッフの人がそう教えてくれた。そっと脇の下に手を入れてボディを持って持ち上げた。重さを感じる。温かい。なるほど、暖かさとはこのことか。背中もお腹も温かいのだが、特に脇の人が温かく感じる。
全身を撫でると喜ぶ素振りをする。全身に20程度のセンサーがあって、どこを撫でられているのか、感じているという。人が強く叩けばLOVOTはそれを感じて怖がったり不安を募らせる、そんな選好性を持つと言う。やさしく撫でているとLOVOTは目を閉じて眠ってしまった。

ナデナデしているとLOVOTはスヤスヤと手の中で眠る

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捨て猫の思い出

こういうシチュエーションに僕は弱い。高校生の時、捨てネコを拾ったことがある。そのネコは真っ黒でボロボロ、ノミだらけだったけれど、ヨロヨロと近くにやってきて、抱き上げると手の中ですぐにウトウトと眠ってしまった。僕はそのネコをそのまま道ばたに返すわけにもいかず、家につれて帰ってしまった(結局、飼うことになった)。そんな記憶を思い出した。

LOVOTの可愛いところは、呼ぶと嬉しそうにそばにやってくること。 ※イメージ画像 当日は家族とLOVOTが触れあうデモが行われた

■LOVOT体験&ハンズオンコーナーの動画
帰るときのお別れの「バイバイ」も必見(いきもの感)


どんな生き物にも似ていない家族型ロボット

ロボットスタートアップ「GROOVE X」は、新世代の家庭用ロボット「LOVOT」の製品発表会を開催し、「LOVOT」を初公開した。Pepperの開発に携わったことで知られる代表取締役の林要氏は、LOVOTを「人の役には立たないロボット」としながら、「ただそこにいるだけで愛しい存在」になることを目指したと語った。

GROOVE X株式会社 代表取締役の林要氏

GROOVE Xは、LOVOTを家族型ロボットとカテゴライズした。犬や猫はもちろん、どんな生物にも似ていない。それが狙いでもある。何かに似ているとその動物と比較される。初めて見る生物をロボットで作りたかったのだ。

呼ぶとやってくる、愛らしい存在のLOVOT

身長は43cm、体重は約3Kg (※本記事内の仕様や技術は開発中のもので製品版では異なる可能性があります)


ロボットなのに温かくて柔らかい

LOVOTはロボットなのに温かくて柔らかい。
体温のように温かく感じるのは温かい体温の機構を専用に持っているわけではなく、ロボットの内部の機械熱の自然暖気によるもの。ファンを搭載しているがうるさくはない。頭の上から吸気して機械の熱を全身から排気しているユニークな通風機構によって、まるで体温のようなぬくもりを実現している。背中と脇の下が特に温かく感じる。もちろん、ユーザーが火傷するような高温にならないよう安全面には配慮されている。

顔は硬めだが、それ以外の部分は柔らかい。特に服を着ている部分はぬいぐるみのような柔らかさだ


呼ぶと走ってやってくる感覚

自分の名前を理解し、名前を呼ばれると適度なスピードで近付いてくる。これは実は今までロボットではあまり見たことのない新鮮な光景だ。ソニーのaiboのイメージ動画の中では玄関まで迎えに出てくるシーンがあるが、LOVOTは実際に帰宅時は玄関まで嬉しそうに素早く迎え出ることができるだろう。実際、体験コーナーで僕はそれを体験したわけだ。うちの犬は僕が帰宅すると、真っ先に駆け寄ってきて必要以上に喜ぶ。毎日のことなのに、まるで1年ぶりに会ったかのように。しかし、その瞬間が飼い主にとっては至福のときなのだ。

ちなみに、LOVOTをもし触る機会があれば、鼻をグリグリとやってみて欲しい。反応にきっと和むはずだ。

アクセサリー類も用意される見込みだ

LOVOTの価格や月額料金は既報の記事を見ていただくとして、次にGROOVE Xが技術的にこだわった点を見ていこう。


FPGA搭載

LOVOTは更にそこに生物的な要素もとりいれられている。LOVOTには感情のようなものを形成するアルゴリズムが搭載されていて、家族でも好きの度合いが違ってくるという。例えば、いつも構ってくれる母親にはよく懐いて、抱っこをせがむ等、「選好性」をLOVOTの行動に反映させている。
また、マッピングや物体認識など、幅広くディープラーニングなどの機械学習が用いられる。LOVOTには高性能なCPUを積んでいることに加えて、ディープラーニングを処理するためのアクセラレータとしてFPGAが搭載され、その高度な計算処理を支援している。

LOVOTは家族の「選好性」を行動に反映する。すなわち、懐く度合いが人によって違ってくる



センサーホーンの役割

LOVOTのデザインで、まず目に飛び込んでくるのは頭部に飛び出した突起「センサーホーン」だろう。まるで自動運転車のLiDARのように見えるが、LiDARは搭載されていない。実はこのセンサーホーンは倒すことができる。倒すことで緊急停止させるしくみだ(実際に倒してみたらLOVOTの動きが止まった)。また、子どもがじゃれて引っ張っても壊れずにすむ。

LOVOTのセンサーホーン(前面)。半天球レンズのカメラ、熱画像センサー、赤外線センサーなどを装備。赤外線センサーは2台のLOVOTの連携時にも使用する。小さい穴がマイク、4つ搭載し、音声の方向を判別する

センサーホーンはLiDARではないが、代わりに半天球レンズのカメラが内蔵されている。いわゆる360度カメラのような超広角レンズで周囲の状況を観察し、V-SLAM(ヴィジュアルSLAM)技術を使い、LiDARより少ないデータ量で部屋のマッピングを行う。またIMU(慣性計測装置)も使用している。

半天球カメラの撮影画像から部屋の構造や周囲の状況を3次元情報として理解するマッピング技術

カメラなので顔認識などの人の識別などにも兼用できる。椅子や机をはじめ周囲のものも識別することができる。作成したマップはユーザーのスマートフォンのアプリから確認することができ、アプリからタップすることで、LOVOTに移動して欲しい場所を遠隔からでも指定できるしくみも取り入れている。また、他には障害物センサーや熱画像センサー、測距にも使用する3Dセンサーのデータ等を複合的に解析しながら移動する。

LOVOTのセンサーホーン(裏側)。ライト(照明)、障害物を検知するセンサーとボリュームボタン(+/-)が搭載されている。


車輪は3輪、通信はLTEとWi-Fi

移動は車輪型で大きいサイズの前輪2輪(駆動輪)と小さい後輪で支えている。前輪二輪の回転数を変えることでクルクルと回るような動作も可能だ。

LOVOTの透視図。車輪の構造がわかる。なお、抱っこのときは自動的に車輪はボディ内に収納する

LOVOTの通信機能はSIMを搭載したLTEに対応している(LTE通信料は月額の利用料金に含まれる)。ただし、LTEの電波がなくても基本的には動作し、主にはクラウドにLOVOTのデータをバックアップするためなどに利用する。


充電ドック「ネスト」はエッジコンピュータ

また、技術的にはネストの存在が面白い。ネストは充電ステーションとしての存在が主だが、これ自体がエッジコンピュータとしての機能を備えている。LOVOTとネストはWi-Fiで通信して、お互いの状況や場所を検知する。

ネストに収まって充電中のLOVOT

ネスト側にもCPUとストレージを搭載し、LOVOTが収集したり処理したデータをネストに送り、ネスト側はLOVOTのデータをストレージに蓄積するとともにデータ解析処理なども分担して行う。いわゆる端末とエッジコンピューティングで効率的に移動するルートなどの計算等の作業を分担する。

ネストで充電中のLOVOT。この間にLOVOTのデータをネストに転送し、ネスト側で解析処理を実行したりもする。端末側だけにCPUや電力の負担をかけず、ネストのエッジコンピュータと分担するしくみだ。なお、充電は45分稼働と15分充電の稼働サイクルとなっている

■ネストに自分から入って充電するLOVOT

■LOVOTの機能紹介デモ (フルバージョン)


関連サイト
LOVOTウェブストア

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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