救急救命士の教育にVRを活用 全国救急救命士教育施設協議会と共同、全国23の学校でVR臨床の実証へ 文科省事業、ジョリーグッド

株式会社ジョリーグッドは、救急救命士の育成を目的としたVR臨床教育カリキュラムの開発とその効果検証をする「救急救命向けVR教育プログラム開発事業」が、文部科学省の「令和2年度専修学校における先端技術利活用実証研究」に、採択されたことを発表した。

この事業は、優れた救急救命士の育成環境の構築を目的として、ジョリーグッドと一般社団法人全国救急救命士教育施設協議会(JESA)が共同で、非集合・非対面でも教育効果の高いVRによる臨床実習カリキュラムの開発を目指すもの。


新型コロナの影響で今後の救命士の経験不足に懸念

救急救命士を養成する専修学校では、約80時間の臨地実習が必須となっている。救急救命士の育成には、これまでも各教育施設間の指導レベルや医療資機材に、地域による格差などがあり均一な実習教育ができないことが課題だった。それに加えて、コロナ禍の影響で、従来のように学校に集まって講義や臨床実習そのものが実施できない状況に陥っているという。それにより、救命士の国家資格取得のために必要な臨地実習が充分にできない事態が危惧される。


文科省・救急救命向けVR教育プログラムの開発プロジェクト

ジョリーグッドは、JESAに加盟する全国の救命士育成施設23校に対し、VRを活用した臨床実習カリキュラム開発、その教育効果の検証を行う。またこのプロジェクトは、JESA加盟校の指導者らが監修し、今まで施設環境によって学ぶことができなかった救急車同乗実習や、遭遇する機会が少ない稀少症例、緊急症例をVRコンテンツ化する。これまでの施設間の教育格差を是正するだけではなく、時間や場所の制約を受ける事なく全ての学生に均一なレベルのVR実習教育を提供する事で、学生の臨床経験値を効率的に高める効果が期待できる、としている。





VRなら、体験しにくい症例も疑似体験できる

このプロジェクトでは、救急車両内でのプレホスピタルコンテンツと、病院内でのインホスピタルコンテンツを開発する。コンテンツは、学生へのランダマイズ検証や理解度テストなど、教育効果の比較検証を重ね、リモート環境でも従前の実習カリキュラムと同レベル以上の学習効果をもたらすプログラムの開発を目指す。
また車両内での臨地実習は、設備の問題で今まで行うことができなかった施設も、まるで同乗しているような目線で疑似体験が可能。緊急症例や希少症例を扱う現場を全ての学生が体験できる学習環境を提供する。



一対多の遠隔臨床実習を提供する「多接続リモートVR臨床システム」

「多接続リモートVR臨床システム」は、講師と受講者が、どこか一箇所に集まることなく、治療スタッフそれぞれの360°視野を、どこからでもVRで一斉に臨床学習できる次世代型医療教育システム。本VRシステムを活用した遠隔VR講義では、VRによる臨床実習を一斉に提供することで、離れた場所にいる受講者らが現場に立ち会っているかのようなヴァーチャル実習を実現。


講師のタブレットアプリでは、注視してほしいポイントをタブレット上に描画することで、受講者のVR内での視線を誘導するなど、昨今の新興感染症による休校や実習の休講の中でもスムーズなリモートVR授業を進行することができる。本VRシステムを活用し、在宅環境下における遠隔リモート型VR授業の実証実験を行い、救急救命士国家受験資格取得に必要な臨地実習時間を満たすことの出来る新たな実習カリキュラムの構築を目指す、としている。




一般社団法人全国救急救命士教育施設協議会(JESA)代表理事 田中秀治氏は次のようにコメントしている。

代表理事 田中秀治氏

「JESA加盟校では、毎年1,500名程度の救急救命士を育成しております。学生が病院で学ぶべき救急疾患は、病院実習をする環境によって均等に経験を得ることができない現状です。そこで私達JESAでは、VR技術を用いることで、全救命士学生に均一の病院実習を共有できるよう、ジョリーグッド社と共同でカリキュラムの開発を開始しました。360度没入体験が可能なVRは、素晴らしい観察能力や処置力を持つ救命士の育成に役立つと考え、このプロジェクトの成功を祈念しています。」

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ロボスタ編集部
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