【国内初】5Gとクラウドで大容量の手術データをAIが解析する実証実験へ ドコモ(5G)、はこだて未来大(AI)、東京女子医科大(SCOT)

公立大学法人公立はこだて未来大学と、学校法人東京女子医科大学、株式会社NTTドコモは、ドコモの第5世代移動通信方式(5G)を使った通信サービスと「MEC」(マルチアクセスエッジコンピューティング)の特徴を持つクラウドサービスである「ドコモオープンイノベーションクラウド」を活用し、伝送された大容量の手術データを人工知能(AI)が解析する実証実験を2020年12月から開始することを発表した。

AIによる手術情報の解析イメージ

この実証実験では、5Gと「ドコモオープンイノベーションクラウド」、国立研究開発法人情報通信研究機構の超高速研究開発ネットワークテストベッドJGNにより東京女子医大とはこだて未来大を接続し、AI解析技術を活用した脳構造や処置状況の可視化や、手術工程の判別による手術支援のための環境を構築し、その有用性を検証する。
商用の5Gサービスとクラウドサービス(「ドコモオープンイノベーションクラウド」)を活用して手術データのAI解析を行う実証実験は国内初となる(ドコモ調べ)。



【実験内容】 (プレスリリースより)
(1)東京女子医大のスマート治療室(SCOT)で取得した高精細な手術映像を匿名化し、ドコモ
の5Gサービス、「ドコモオープンイノベーションクラウド」や JGN を介し、大容量・セキュリティ
を確保した通信により、はこだて未来大に伝送する手術情報伝送基盤を構築します。
(2)はこだて未来大の AI 技術(深層学習技術)を用いて匿名化された取得済みのデータを解析、
遠隔地の熟練医が手術プロセスを確認し、手術支援を実施し有用性を検証します。
(3)手術情報のビッグデータ解析により、熟練医の手技や判断プロセスを可視化、患者の術後を
予測する技術を開発し有効性を検証します。
※ SCOT は Smart Cyber Operating Theater®の略で、東京女子医科大学が主導して、デンソー、日立製作所など11 社および広島大学や信州大学と共に、IoT を活用して各種医療機器・設備を接続・連携させ、手術の進行や患者の状況を統合把握する「戦略デスク」の導入により、手術の精度と安全性を向上させる「スマート治療室」のことです。関連記事「SCOT 関連記事

【実験期間】
2020年12月~2023年3月(予定)

【実験実施場所】
はこだて未来大および東京女子医大

【各団体の役割】
はこだて未来大
実証実験全体のシステム構築の管理・運営、AI 解析機能の開発
東京女子医大
高度医療システム(SCOT)の運営、有効性の検証
NTTドコモ
5G ネットワーク環境および「ドコモオープンイノベーションクラウド」の提供




実証実験の背景

生産人口の減少や、人口の都市集中等の理由によって、医療現場でも診察や治療にあたる医療従事者の人手不足や、地域間での医師の偏在が社会的な課題になっている。これらを解決するため、手術の効率化や人の技術によらない手術の質の向上が望まれている。

この実証実験を通じて、3者は医療機関をネットワークで接続して医療データをビッグデータとして蓄積し、AIを効率よく活用できる環境を構築する。それによって遠隔地での高度医療支援を行ったり、高度医療に関する手術情報をネットワークにより安全、高信頼、高精度に取得可能な環境を提供したりすることで、高度医療ネットワーク基盤の実現をめざす。これは、自然災害時や新型コロナウイルス等感染症発生時などにも効果的な遠隔地での治療や情報提供も視野に入れている。

なお、この実証実験は国立研究開発法人情報通信研究機構の研究開発課題「データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発」の採択課題「JGNと5Gを用いた遠隔地手術データ連携とAI解析による地域間医療技術の高水準化のための研究開発」として実施されるという。

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