ユカイ工学と住友生命が業務提携 BOCCO emoを活用した「夫婦の明るい子育て応援サービス」 8月頃に実証実験を予定

ユカイ工学株式会社は住友生命保険相互会社(以下、住友生命)、株式会社モシーモ、株式会社三菱総合研究所(以下、三菱総研)と家事育児で大変な毎日を明るく活き活きとしたものにするために、妊娠期から産後3か月までの世帯を中心とした「子育て応援サービス」の実装に向けた取組みを始動することを発表した。また、協業先の住友生命との連携を強化すべく、CVCファンド「SUMISEI INNOVATION FUND」からの出資が決定している。


業務提携の背景・狙い

ユカイ工学は核家族、高齢化が進行する世界においてコミュニケーションロボットが家族の一員になることで、共働き世帯における育児負担や親の健康への不安を軽減し、日々の生活を豊かにするウェルビーイングな社会の実現を目指している。そのため、次世代コミュニケーションロボット「BOCCO emo」(ボッコ・エモ)を2021年3月に発売し、さらに周辺サービスやデバイスとの連携を強化するためのプラットフォーム構築を目指し、BOCCO emo APIsを同年10月にリリースした。

住友生命は豊かで明るい健康長寿社会の実現に加え、「一人ひとりのよりよく生きる=ウェルビーイング」に貢献し、「なくてはならない」生命保険会社を目指している。その実現のために、Vitality健康プログラムを中心とするWaaSエコシステムを構築し、様々なWell-beingサービスでユーザーとつながり、そこから得られる多様なデータを活かして、一人ひとりのユーザーにより適したサービス、最適な保障を届けていきたいと考えている。

■Well-beingとは
「健康」に対する新たな価値観であり、「身体的・精神的・社会的・経済的に幸せと感じる状態」、ひいては「そうあるための行動、選択、ライフスタイルを積極的に追求すること」。

■WaaS(Well-being as a service)とは
Well-beingに資するサービスエコシステムのこと。

今回、ユカイ工学は住友生命が取り組むWaaS構想に共感し、住友生命が提供する「WaaSエコシステム」とユカイ工学が提供する「BOCCO emo」を活用したサービスとの間にシナジーが期待できることや、両サービスを通じて実現したいビジョンに親和性があることから、双方の中期的な企業価値向上に繋がると考え、業務提携に至った。

ユカイ工学は子育て応援サービス以外の住友生命が提供する様々なWell-beingサービスにおいても、更なる事業共創に向け協業していく。また、今回の増資に伴い調達した資金は、ユカイ工学のビジョンの実現に向けたロボティクスに関する研究開発や人材の採用・育成に充当し、将来的には上場を目指していく。


8月頃に「子育て応援サービス」の実証実験を予定

乳幼児を育てる夫婦は心と身体に多くの負荷を抱えている。産前産後の母親のうち、10人に1人はうつ病の可能性がある(※1)と言われ、その母親の多くが自身が危険な状態にあることを認識できていない(※2)という結果も明らかになっている。また、コロナ禍の影響により、産後うつの可能性がある母親は増加している。父親の産後うつにも近年注目が集まり(※3)、大きな社会課題になっている。住友生命ではこうした社会課題を解決するため、日々の家事・育児の負荷や不安、ストレス等を解消する子育て応援サービスの実装を検討してきた。

※1 公益社団法人 日本産婦人科医会のホームページより。
https://www.jaog.or.jp/qa/confinement/jyosei200311/

※2 NHK NEWS WEB母親の「産後うつ」 コロナ影響で倍増のおそれ 研究者調査より。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201014/amp/k10012662971000.html

※3 父親の産前・産後のうつの実態とその支援 医学会新聞(看護号):第3405号より。
https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2021/3405_02

住友生命は三菱総研が運営する未来共創イニシアティブの共創会員として2019年から参画し、「産後うつを未然に防ぎ明るい子育て生活を応援する」というコンセプトのもと、三菱総研、ICFのスタートアップ企業会員であるユカイ工学、モシーモと共に検討を重ねてきた。まずは、出産前後の子育て世帯に子育て応援サービスを体験してもらい、効果等の検証を行うべく、実証実験の実施を予定(2022年8月頃)している。


ユカイ工学、モシーモ、三菱総研との事業共創領域


ユカイ工学が提供するサービス

ユカイ工学が販売するコミュニケーションロボット「BOCCO emo」および搭載している音声UIを活用する。BOCCO emoの活用により、子育ての孤独感や不安感を軽減し、夫婦間のコミュニケーション向上が期待される。

BOCCO emo概要
BOCCO emoは感情表現豊かな家族をつなぐコミュニケーションロボット。様々な情報を届け、家族の一員として振る舞う。音声メッセージの送受信やリマインド機能、天気情報の配信、ハンズフリー対話、人が近くにいるかのセンシングも可能。専用のBOCCO emoアプリでは家族内でのメッセージのやりとりや、センサーの反応を確認することができる。BOCCO emoから送った声はスマホに音声とテキストで届き、スマホから送った声や文字はBOCCO emoがしゃべってお知らせしてくれる。また、APIによるシステム連携で様々なサービスと連動し、生活者に寄り添った取り組みを実現する。簡単な操作で家庭内や外部サービスとコミュニケーションを取ることができる。


モシーモが提供するサービス

モシーモが持つ子育て支援「tomoiku」AIチャットボットを活用し、保育士や助産師といった子育て専門家の育児ノウハウを同サービスへ組み込み、「共育環境」を構築し、子育て世帯の育児不安・孤育に寄り添い、サポートすることで、家族間コミュニケーションや、夫婦間コミュニケーションの向上を支援する。


取り組みについてのコメント

住友生命 上席執行役員兼新規ビジネス企画部長
藤本宏樹 氏


初めてユカイ工学代表の青木さんにお会いした時、ユニークな社名に驚き、しっぽだけのロボット(Qoobo)を見てさらに驚きました。そんな私たちも、いつしかユカイ工学の世界観とロボット達に魅了され、「コミュニケーションロボットこそ次のユーザーインターフェースの主流になる」というビジョンに共鳴しています。ロボット×生命保険というユカイな組み合わせで、人々を幸せに、世の中を豊かにするWell-Beingなサービスを創っていきます。

ユカイ工学 代表
青木俊介 氏


ユカイ工学では「ロボティクスで、世界をユカイに。」というビジョンを一貫して掲げて製品づくりを手掛けてまいりました。われわれの目指す「ユカイ」とは、人がより良く生きること、そしてより自分らしい人生を実現すること。すなわちウェルビーイングの実現に他ならないと考えています。

「WaaS」を掲げる住友生命様の情熱的なチームとの出会いから、ロボットの活躍の幅を広げる協業の実現に向けた取り組みの発表までこぎつけられたことを大変嬉しく思っています!

ロボット型のUI(ユーザーインターフェース)の持つ特徴は、人の心を動かし、人に行動変容を促すことができるという点にあり、今後ロボットは生活の習慣づけをサポートし、ウェルビーイングの実現に欠かせない役割を担うことになるでしょう。それを世界でいち早く実現させる取り組みとする決意です。

ABOUT THE AUTHOR / 

山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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