【速報】NVIDIA「Jetson AGX Orin」開発者キット発売開始、価格を発表 Amazonロボティクスのデジタルツイン事例も公開

「GTC 2022」カンファレンスでNVIDIAの創業者/CEOであるジェンスン フアン(Jensen Huang)氏の基調講演がライブ配信され、ロボットやドローン、セキュリティカメラなどエッジデバイス開発者が注目している、超小型AIコンピュータ「Jetson」シリーズの最新機種「NVIDIA Jetson AGX Orin 開発者キット」の詳細が発表され、即日、発売することがアナウンスされた。


「Jetson Orin」の価格や性能も発表され、更には「Omniverse」(オムニバース)を活用したデジタルツイン環境をAmazonロボティクスやペプシコが導入していることも具体例として公開された。


新フラッグシップ「Jetson AGX Orin開発キット」発売開始

ファン氏の基調講演のほか、アジア太平洋地域の報道関係者向け説明会(英語)が行われ、詳細が解説された。
「GTC2022」では、大きな発表が2つあった。ひとつは「Jetson AGX Orin開発キット」(Jetson Orin)の発売の開始。当初、Jetson Orinの演算性能は「200TOPS」と発表されていたが、今回「275TOPS」(毎秒275兆回の演算性能)に引き上げられた。これまでのフラッグシップモデル「Jetson AGX Xavier」(最大32TOPS)と比較して8倍以上の大幅なパフォーマンス向上となる。互換性も確保されている。

「Jetson AGX Orin」開発キット。発売開始。

価格は1999ドル。Jetson史上、最も高性能で、最も高額な開発者キットとなった。


超ド級の演算性能

Ampureアーキテクチュア TensorコアGPUとディープラーニングアクセラレータで275 TOPS(毎秒275兆回の演算性能)の性能を発揮する(発表時は200TOPS予定だった)。これまでのフラッグシップモデル「Jetson AGX Xavier」(最大32TOPS)と比較して8倍以上のパフォーマンスとなる。

「Jetson Orin」は、Arm Cortex-A78AE CPU、Ampureアーキテクチュア TensorコアGPUと次世代のディープラーニング/ビジョン アクセラレータ、高速IO、毎秒204GBのメモリ帯域幅、32GBのDRAMを装備し、マルチ同時AIアプリケーション パイプラインにデータ送信できる。
Jetson AGX Orin を利用することで、エッジAI環境において、複雑なモデルの展開、自然言語理解、3D認識、マルチセンサー・フュージョンなどの性能の飛躍的な向上が見込める製品となっている。

説明会で担当者は「NVIDIA Jetsonシリーズは8年前の発売以来、企業の開発・研究部門、大学や高校の教育研究、趣味での活用など、100万人以上の開発者が利用するに至っています。また、6,000社以上の企業が、商用や産業用の製品に組み込んでリリースしています」と語り、Jetsonシリーズを採用した有名な企業として、MicrosoftやAWS(Amazon)、コマツ、メドトロニックなどを挙げた。
また「ロボットやAIの分野でも活発に開発が行われています。ユースケースやアプリケーションの事例としては、AMRなどの自律移動ロボット、製造ロボット、農業用ロボット、小売業向けロボット、物流ロボットなどがあげられます。その他、スマートシティーやヘルスケアサービス、医療、セキュリティなどのIoTにも活用されています」と続けた。



Issac for AMRs (自律搬送ロボット向けシミュレータ)

2つめのトピックは「Issac for AMR」を発表したこと。
自律搬送ロボット(AMR:Autonomous Mobile Robot)は、急成長している分野のひとつで、今後もますます需要が見込まれている。その背景には、イーコマースの拡大や、サプライチェーンの課題、労働力不足があげられる。


運搬業務の自動化は、物流倉庫、製造工場、病院、小売店、大学など、さまざまな場所で重要な課題とされている。AMRに必要とされる技術は自動運転にも似ている。自動運転との最も大きな違いは速度。AMRの方がゆっくりと動く。とはいえ、どちらも通路や公道を高度な安全性を保ちながら走行する必要がある。

Isaac、Metropolice、Omniverseと、エッジAI「Jetson」シリーズとの連携も鍵になりそうだ

基調講演では、フアン氏はいくつかのプラットフォームを紹介した。
そのひとつ「NOVA Orin」(Issac Nova)は、2つの「NVIDIA Xaviorモジュール」で、2つのカメラ、4つの広角カメラ、2基のレーダー、3つのLiDAR、8つの超音波センサーと連動したシステムとなっている。

VIDIA Isaac Nova Orin ロボティクス リファレンスプラットフォームの高度なAIコンピューティングとセンサーアーキテクチャは、3Dセンシング対応の自律移動ロボットの開発を支援する

基調講演ではフアン氏が、ペプシコとAmazonロボティクスの工場でOmniverseが活用され、AMRやアームロボットとの連携がデジタルツインを構築し、その中のシミュレーションを経て実践に活用されていることが紹介された。


ペプシの事例





Amazonロボティクスの事例



■基調講演の動画 1時間17分あたりから

日本語字幕対応版はこちら(1時間17分あたりから見てください)

Jetson AGX Orin の主な仕様

AI性能
 275 TOPS (INT8)
GPU
 2048基のNVIDIA CUDAコアと64基のTensorコア搭載
 NVIDIA Ampere アーキテクチャ
GPUの最大周波数
 1GHz
CPU
 12コア Arm Cortex A78AE v8.2 64 ビット CPU
 3MB L2 + 6MB L3
CPUの最大周波数
 2 GHz
DLアクセラレータ
 NVDLA v2.0 x 2
ビジョンアクセラレータ
 PVA v2.0
メモリ
 32GB 256 ビット LPDDR5
 204.8 GB/秒
ストレージ
 64GB eMMC 5.1
CSI カメラ
 最大6台のカメラ (仮想チャネル* 経由で 16 台)
 16 レーン MIPI CSI-2
 D-PHY 1.2 (最大 40 Gbps) | C-PHY 1.1 (最大 164 Gbps)
ビデオ エンコード
 2x 4K60 | 4x 4K30 | 8x 1080p60 | 16x 1080p30 (H.265)
ビデオ デコード
 1x 8K30 | 3x 4K60 | 6x 4K30 | 12x 1080p60| 24x 1080p30 (H.265)
UPHY
 2×8(または 1×8 + 2×4)、1×4、2×1 (PCIe Gen4、ルートポート&エンドポイント)
 USB 3.2 x 3
 シングル レーン UFS
ネットワーキング
 GbE x 1
 10GbE x 4
ディスプレイ
 1x8K60 マルチモード DP 1.4a (+MST)/eDP 1.4a/HDMI 2.1
その他のI/O
 USB 2.0 x 4
 4x UART、3x SPI、4x I2S、8x I2C、2x CAN、DMIC & DSPK、GPIOs
消費電力
 15W | 30W | 50W
サイズとコネクタ
 100mm x 87mm
 699 ピン Molex Mirror Mezz コネクタ
 一体型熱伝導プレート

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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