【速報】「GTC 2022」のNVIDIA CEO基調講演レポート「AIの次の波はロボットとデジタルツイン」新GPU「H100」発表

NVIDIAの「GTC2022」カンファレンスがオンラインで開幕した。3月24日(木)まで開催される。また、日本時間 3月22日の深夜24時(23日0時)に、NVIDIAの創業者/CEOであるジェンスン フアン(Jensen Huang)氏の基調講演がライブ配信された。


新GPUチップ「H100」ファミリーを発表

あまりに多くの新しい発表があったため、ひとつの記事にまとめることは簡単ではないが、新しいAIの時代の幕開けを予告する新GPUチップ「H100」と、H100を搭載した「DGX H100」の発表、CPU製品「Grace」の投入などが挙げられるだろう。

FP8で4000TFLOPS(4petaFLOPS)、FP16で2000TFLOPS(2petaFLOPS)の「NVIDIA H100」GPU

32petaFLOPSの「NVIDIA H100 DGX」

新発表の「NVIDIA H100 CNX」(PCI-Express)

NVIDIAが開発中の超ド級のCPU「Grace」は2023年にリリース予定

「NVIDIA AI」プラットフォームは、世界中で25,000社以上で利用されているという。SDKをはじめとして、このアーキテクチュアがアップデートされた


デジタルツインを実現する「Omniverse」が核

GPUは従来の「A100」シリーズから「H100」へとアップデートされ、大幅な性能の向上がはかられるが、AIの進化という点では、「デジタルツイン」を実現する「Omniverse」に軸足を置いていることが印象的だった。


ジェンスン フアン氏は「AIの次の波はロボティクス」と語り、Omniverseプラットフォームが作る、DRIVE SimやIsaac等でのシミュレーション環境が中核となることを示唆した。つまり、自動運転や運転支援、ドライバーの見守り監視など、技術的に精度を向上するためには、本物と同じシュミレーション環境(デジタルツイン)を構築し、その中でテストと課題を抽出、改良を行い、その成果を現実の開発環境にフィードバックする。それはロボットの開発やロボットを導入する生産工場などの稼働環境でも同様だ。従来はそれぞれ「DRIVE Sim」(自動運転)や「Isaac」(ロボット)が担っていたが、それを拡大して、スマートシティ向けシミュレータ「メトロポリス」を含めて、デジタルツインとして「Omniverse」が抱合していくという考えだ。


「NVIDIA OVX」と「Omniverse Cloud」

DGXがGPUを搭載した高性能AIコンピュータであるように、Omniverse用のデジタルツインコンピュータとして「NVIDIA OVX」を発表、Omniverseで共有プラットフォームを簡単に構築できる「Omniverse Cloud」も発表し、デジタルツインへのシフトを明確にした。

Omniverseに最適な高性能コンピュータ「NVIDIA OVX」を発表

Omniverse共有プラットフォーム「Omniverse Cloud」発表

NVIDIA DRIVEもOmniverseのデジタルツイン空間でトレーニングを行う



ジェンスン フアン氏の基調講演での主なトピック

NVIDIA HOPPER H100 GPU発表
NVIDIA DGX H100発表
NVIDIA Jetson AGX Orin 開発者キット発売(別記事で詳細)
NVIDIA Isaac for AMRの発表(別記事で詳細)
NVIDIA DRIVEのパートナーにBYDとLUCIDが追加(別記事で詳細)
DRIVE HYPERION 9を発表(別記事で詳細)
Omniverseプラットフォームをメジャーアップデート
Omniverse Cloudの発表
Omniverse コンピューティングシステム「NVIDIA OVX」発表
DGX SuperPOD with DGX H100発表
NVIDIA EOS スーパーコンピュータ発表
NVIDIA LaunchPadの無料トライアル
NVIDIA RTX A5500 デスクトップGPU発表
NVIDIA RTX ラップトップGPU発表

■基調講演の動画(英語字幕)

日本語字幕対応版はこちら

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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