スマートシティの普及展開・実装加速に向けた「スマートシティ社会実装コンソーシアム」をNECと三井住友が設立

日本電気株式会社(以下、NEC)、株式会社三井住友フィナンシャルグループは2022年5月に「一般社団法人 スマートシティ社会実装コンソーシアム」を2社が発起人となり設立し、6月3日から入会受付を本格的に開始したことを発表した。

コンソーシアムの目的はスマートシティの社会実装に向けて、サービスを開発・実装・普及展開することと持続可能な仕組みをつくること。今後、コンソーシアムへの参加団体をあらゆる業種や地域にわたって広く募り、2025年まで200団体との連携を目指す。7月以降にコンソーシアムの設立シンポジウムを開催予定。


コンソーシアムの立上げ背景

世界に蔓延する感染症を克服し、Well-Beingと持続可能な社会の実現に向け、教育・医療・交通・商業・エネルギー・行政など社会全体のDX化である「スマートシティ」への取り組みが一気に動き出した。これまで国内外で多くの事例が共有されているが、その多くはまだ実証段階のものだった。しかし実証の取り組みを通じて明らかになった課題も多くある。重要な点はサービス企画・開発・実装のハードルと、持続的な運営を可能とする仕組みの不足。これらの課題を乗り越え、スマートシティの「社会実装」を実現するために、コンソーシアムを立上げた。


コンソーシアム設立のコンセプト

コンソーシアムが考えるスマートシティの社会実装とは

・住民にとってより良い暮らしの実現を図るもの
・サービス事業者および技術者目線での個別分野に限らず、幅広く生活全般を網羅するもの
・一時的な実証実験ではなく、持続可能な取り組みとして住民の生活に根付くもの

このような真の社会実装を目指し、「創り、試し、展開できる」全国規模のコンソーシアムとして、データ連携によるサービスを開発・実装し、普及展開を図る。また、費用対効果の高い事業モデルの構築に、産官学が連携し取り組むことで、スマートシティの持続可能性を高める。


具体的な取り組み

1.開発環境整備・提供を通じた新サービス開発の促進
データ連携基盤に基づき、都市OSと連携するアプリケーションやサービスをより創出しやすくする開発環境を提供する。なお、この開発環境は政府が推奨するデータ連携基盤の核となるデータ仲介機能(FIWARE Orion型)に準拠し、NECが運営する「iHub」(注3)とも連携し、トレーニングプログラム等のサービス開発支援を行う予定。

FIWARE
FI(Future Internet)WARE(次世代インターネット基盤ソフトウェア)。次世代インターネット技術における欧州の競争力強化を図るとともに、社会・公共分野のスマートアプリケーション開発を支援するために、FI-PPPが開発した基盤ソフトウェア。

Orion型
欧州FIWARE財団が認定する「データ仲介機能(ブローカー)」の一つ。様々なサービスの間で、データの連携・共有を自由に行うために必要な①データ翻訳機能と②認証送達機能を包含する。基盤に必ず必要となる部品(ビルディングブロック)。

iHub
FIWARE Foundationメンバーである組織によって運営され、FIWARE Foundationによって認定された、FIWAREプラットフォーム・テクノロジーを普及展開するための拠点。技術、コンサルティングのサポート、トレーニング、研究、テストなど、FIWAREテクノロジーを使用したサービスを地域団体や企業に対して提供する。

2. マーケットプレイス等設置によるサービス普及展開
スマートシティに取り組む自治体・地域協議会や販売店向けに、参加会員企業のサービスの普及展開を容易にするマーケットプレイスを設置する。実績を一覧化したサービスカタログ提供から開始し順次機能拡充の予定。さらに、民間ファンド等とのマッチング等を通じて、サービスの実装を支援する枠組みも併せて検討する。

3. 産官学が連携したエコシステムによる持続可能な仕組みづくり
スマートシティの持続可能性を高めるため、行政、大学、企業等が相互に連携したエコシステムの形成によって、地域にとって費用対効果の高い事業モデルの構築を支援する仕組みをつくる。また、株式会社日本総合研究所が中心となり、地方自治体におけるスマートシティの円滑な導入に寄与する官民連携(PPP/PFI)に関する政策提言や、地域の課題解決に資するスマートシティ導入に向けた官民連携(PPP/PFI)手法(事業スキーム等)の検討・実装支援を行う。

これらの取り組みを通じて、2025年までに、相互に連携可能なサービスを100件以上提供することを目指す。


新設の法人について

組織名称 一般社団法人 スマートシティ社会実装コンソーシアム
設立年月 2022年5月
コンソーシアム参加メンバーに期待する役割 ・民間企業
サービス提供にかかる事例や課題の提供・共有
データ連携基盤上でのサービスやサービス間連携の開発・実証・実装
サービスを届け・普及させるための、リアルな住民等接点の活用
マーケットプレイスを通じた、各スマートシティへのサービス提供

・地方自治体
地域課題の解決へ向けた取り組み事例の提供・共有
サービス実証・実装や研究にかかるフィールドの提供
スマートシティを実装し、住民等がそのメリットを享受

・大学・研究機関等
国内外のスマートシティにかかる事例や課題の提供・共有
データサイエンティスト等のスマートシティを支える人材を輩出するための教育(リカレント教育含む)
スマートシティをフィールドとした実証研究

入会について コンソーシアムへの入会を検討の方は、スマートシティ社会実装コンソーシアムWebサイトの入会申込みフォームにて必要事項を送信ください。
https://www.sc-consortium.org/

ABOUT THE AUTHOR / 

山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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