
シックスワンが運営する日本最大級の介護情報サイト「ケアワークス」は、2025年5月に「介護におけるAI・ロボット利用に関する意識」についてアンケートを実施した。
今後、家族の介護をする可能性がある全国の40代~60代の300名を対象に調査を行った結果、多くの人が「AI・ロボット介護に前向き」と回答する一方で、導入・普及のためには「高いコスト」、「機械の誤作動」に不安という課題があることもわかった。
調査概要
調査対象 | 今後、家族の介護をする可能性がある全国の40代~60代の人 |
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調査方法 | 選択式および自由記述形式のアンケート |
調査期間 | 2025年5月8日~5月12日 |
有効回答数 | 300件 |
結果概要
・AI・ロボットによる介護支援について、62.3%が利用に前向きな回答。
・主な介護の担い手としては、「人間とAI・ロボットの両方を状況に応じて活用したい」との回答が最多の43.7%。
・AI・ロボット導入により解決が期待される課題は「介護人材不足の解消」(30.0%)の回答が最も多く、次いで2位は「家族介護者の負担軽減」(26.0%)という回答。
・導入に関する懸念事項として「導入コストの高さ」(37.2%)と「機械の誤作動やエラー」(34.7%)といった意見が上位に挙げられた。
調査結果詳細
AI・ロボットによる介護支援の利用意向
「自分や家族が介護を受ける際に、AI・ロボットによる介護支援を利用したいと思いますか?」という質問に対しては、「ぜひ利用したい」(17.0%)と「状況によっては利用を検討したい」(45.3%)という回答を合わせると、62.3%が利用について前向きな回答となった。
一方、「利用したくない(人による介護を望みたい)」は9.0%にとどまる結果となり、「あまり利用したくないが、必要になれば仕方ない」(16.7%)という消極的な意見も一定数存在するがが、全体としてテクノロジー活用への前向きな姿勢がうかがえる。
介護における、テクノロジー活用が期待される分野
AI・ロボットが特に活用できると期待される分野としては、「移動や移乗など身体介助のサポート」(27.8%)、「転倒検知や健康状態のモニタリング」(20.8%)、「掃除・洗濯・買い物など日常の家事の自動化」(20.4%)が上位に挙げられた。
特に介護者の肉体的負担が大きい業務や、24時間体制の見守りなど、人間だけでは持続的な対応が難しい分野での活用が期待されている傾向がみられた。
主な介護の担い手に対する意識傾向
介護が必要になった際に希望する介護の担い手としては、「人間とAI・ロボットの両方を状況に応じて活用したい」との回答が43.7%と最多だった。
どちらかの担い手に全面的に任せるのではなく、状況に合わせた柔軟な併用を行う、ハイブリッド型介護のような形が理想とされていることがうかがえる。
AI・ロボット介護に対する不安や抵抗感
AI・ロボットによる介護についての懸念事項としては、「導入コストが高く経済的負担になりそう」(37.2%)と「機械の誤作動やエラーが起きないか心配」(34.7%)といった意見が上位を占めた。
AI・ロボットによる介護の普及を進める際には、経済的負担と技術的な信頼性についての対策が重要であると考えられる。
AI・ロボット介護の導入促進に必要な支援や情報
AI・ロボットの導入を促進するために必要な支援や情報としては、「購入費・レンタル費に対する公的補助や保険適用」(28.8%)が最も多く、次いで「安全性や有効性に関するデータや実績の提示」(20.1%)、「機器の使い方やトラブル対応などサポート体制の充実」(18.5%)が挙げられた。
経済的負担の軽減と信頼性の実証が、導入促進の鍵となると考えられる。
AI・ロボット介護に期待される課題解決
AI・ロボット介護の発展によって解決が期待される課題としては、「慢性的な介護人材不足の解消」(30.0%)と「家族介護者の身体的・精神的負担の軽減」(26.0%)が上位を占めた。
単なる利便性向上だけでなく、介護における社会問題の解決手段としてテクノロジー活用が期待されていることがうかがえる。
介護へのAI・ロボット導入への抵抗感
介護へのAI・ロボット導入への抵抗感については「全く抵抗はない」(11.7%)と「あまり抵抗はない」(37.3%)を合わせると、49%の人がAI・ロボットに自分の介護を任せることに前向きである結果となった。
一方で、第2位となったのは「多少抵抗がある」(34.7%)という回答だった。「強い抵抗を感じる」(7.0%)とあわせると、抵抗感を持つ人は全体の41.7%にのぼり、前向きな意見に迫る割合となる。
AI・ロボット技術の介護分野への導入については、意見が大きく分かれる結果となった。
国や自治体による、AI・ロボット活用促進への意見
国や自治体が介護分野でのAI・ロボット活用を促進することについては、「大いに賛成」(21.3%)と「まあ賛成である」(38.0%)を合わせると59.3%が賛成の意向を示す結果となり、公的サポートの強化が期待されている傾向がみられる。
一方で「どちらとも言えない」との回答も32.3%と全体の約3分の1を占めており、公的資金の使い道としての妥当性や優先順位などについて、慎重な判断を示している層が一定数存在すると考えられる。
※数値について、小数点第2位を四捨五入しており、構成比の表示を合計しても100%にならないものがある。
調査結果を受けて
本調査から、全体の6割以上がAI・ロボット技術の介護分野への活用に前向きな姿勢を示していることが明らかになった。特に身体的負担の大きい業務や見守りなどの分野での活用の期待が高く、人間とテクノロジーの適切な役割分担が求められている。
一方で、導入コストや技術的信頼性に対する懸念も大きく、公的支援や安全性の実証が普及の鍵となることが示唆されている。介護分野における、AI・ロボット技術の効果的な導入のためには、これらの課題への対応が必要と考えられる。
ケアワークスでは、今後も介護テクノロジーの適切な情報提供や支援活動に取り組んでいくとしている。
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