ソニー/東京大学/JAXAの超小型人工衛星『EYE』がSpaceXのロケットで宇宙へ!地上との通信に成功「宇宙からの撮影を身近なものに」

ソニーグループ株式会社(以下、ソニー)は、カメラを搭載し、地上からの遠隔操作で宇宙空間から撮影を実現する超小型人工衛星『EYE』(アイ)が衛星軌道に放出後、地上局との通信を確立することに成功したことを発表した。2023年春には一般の人がこの『EYE』を使って、宇宙からの写真や動画を撮影するサービスを展開し、宇宙を誰もが身近に感じねる機会を提供したい考えだ。


この人工衛星は、米国東部時間1月3日に米国・フロリダ州にて打ちあがり、同日衛星軌道上に放出された。具体的には『EYE』は、SpaceX社の「Falcon 9」により高度524kmの軌道へ投入され、地上局との間で正常にSバンドを利用したコマンドの送信と、テレメトリデータの受信に成功した。受信したデータを解析した結果、太陽電池パドルの展開に成功し、電力が正常に確保されていることが分かったという。


なお、1月3日の打ち上げに伴って、YouTubeのライブ配信が行われた。




■STAR SPHERE 人工衛星「EYE」打ち上げライブ配信イベント 開催!


誰でも『EYE』を使って宇宙から見た映像を撮影できる時代へ

『EYE』は、ソニーが東京大学と国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)とともに推進する「STAR SPHERE」プロジェクトによる超小型人工衛星。専用のシミュレータを通じて、地上から遠隔操作することが可能で、宇宙空間から撮影された静止画や動画を宇宙飛行士さながらのリアリティある視点で画像や映像を得ることができる。また、『EYE』による宇宙からの撮影体験は、一般向けサービスとして2023年春頃に展開が予定されており、実現すれば一般の人が『EYE』を地上から操作して、宇宙から見た映像を撮影することができる。


管制室をソニーグループ本社ビル内に設置

更に『EYE』を安全に運用するための管制室をソニーグループ本社ビル内に新規に設置した。衛星の運用は、ソニーとソニーワイヤレスコミュニケーションズ株式会社に加え、東京大学の中須賀船瀬研究室および株式会社アークエッジスペースと共同運用を開始する。

今後は、カメラで撮影した静止画・動画をダウンリンクするために使用するXバンドの通信確立を予定。カメラを含む全てのコンポーネントやシステムの健全性を確認した後、より高度な軌道へ衛星を投入するために、水レジストエンジンを使用した高度上昇運用を実施する予定だ。




STAR SPHEREとは

「STAR SPHERE」は「宇宙をすべての人にとって身近なものにし、みんなで「宇宙の視点」を発見していくプロジェクト」。「STAR SPHERE」が大切にしている「宇宙の視点」とは、宇宙から見るというだけではなく、宇宙を通してものごとを捉え、考えてみることを意味している。
ソニーがJAXAの協力のもと、東京大学とともに開発した超小型人工衛星『EYE』はソニー製カメラを搭載し、操作シミュレータを用いることで、ユーザーが意図したカメラワークで地球や星々を撮影することができる。『EYE』は、宇宙から地球や星々を見つめ、新たな気づきを得られる視点となることを願い『EYE』と命名した。

左が実際に打ち上げる人工衛星と同サイズの模型。奥がカメラを通して人工衛星を操作して見た地球のイメージ。CEATEC2022のソニー展示ブースでは疑似体験ができた

今後は撮影体験を一般向けサービスとして提供するほか、撮影体験を活用した、クリエイターやアーティストとの「宇宙視点の芸術」の創作活動や様々な企業との協業に取り組む。このプロジェクトは、「宇宙の視点」を発見することを通して、新たな価値観や感動体験の創出を目指すとともに、地球・環境について学ぶ機会を提供する。


一般ユーザー向け撮影サービスを2023年春頃に開始予定

『EYE』による宇宙からの撮影体験は、一般向けサービスとして「宇宙撮影ツアー」と「宇宙撮影プレミアム」を2023年春頃に展開を予定。いずれも、シミュレータを活用することで人工衛星の操作体験を通じて宇宙とつながる世界初のサービスとなる見込みだ。


宇宙撮影ツアー

著名人などの特別ゲストやソニーがおすすめの衛星軌道をツアー形式で案内するサービス。特定の衛星軌道の魅力や見どころなどの説明を含め、コンテンツ毎のシナリオに沿って、宇宙旅行に参加しているような体験を提供する。撮影条件となる衛星軌道やカメラワークは予め決められており、ユーザーはそのうち10分間程度の中から好きなタイミングでシャッターを押すことにより静止画を撮影することができる。ユーザーは、任意の日付やゲストを基にツアーを選択することが可能。


宇宙撮影プレミアム

『EYE』が地球を一周する約95分間の中から任意の10分間、カメラワークを全てユーザーが指定し、静止画や動画を撮影できるサービス。ユーザーは、被写体、カメラワーク、カメラ設定を自由に設定することができる。

このほか、撮影体験を活用した、現代芸術作家杉本博司氏を始めとした国内外のアーティストやクリエイターとの「宇宙視点の芸術」の創作活動や様々な企業との協業に取り組むことで、新たな価値観や感動体験の創出をさらに拡大していく考えだ。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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