『LOVOT』との生活を資生堂と共同実験 絆形成ホルモンが高く、ストレス低下が期待できることが判明 麻布大学が協力

GROOVE Xは資生堂と共同で『LOVOT』と生活を共にすることと、絆の形成に関与するオキシトシンホルモンの体内濃度との関連性を検討、その結果『LOVOT』と生活を共にする方は定常状態の尿中オキシトシン濃度が高いことがわかった。オキシトシンは、人の精神的な安定や絆、母性愛にも関与することが知られ、「幸せホルモン」などともよばれるペプチドホルモン。
また、『LOVOT』との15分間の触れ合いがコルチゾールの減少をもたらすことがわかり、ストレス低下が期待できる結果が得られた。

長期的なロボットとの生活により、人とロボットとの間にオキシトシンを介した絆が形成される可能性を示す世界初の論文となる。


共同実証実験の背景

GROOVE Xは2018年より資生堂と共同で実験を開始。

今回、注目したオキシトシンホルモンは絆の形成に関与するホルモンとして知られており、人間の親子、人間と犬の間で、視線を介してオキシトシン分泌が促進されることが報告されている。また、資生堂の研究では、脳下垂体だけではなく、肌からもオキシトシンが放出されることを明らかにし、さらに、肌由来オキシトシンが表皮の再生を促すことが明らかになっている。

非生物である『LOVOT』も同様に、人が触れ合うとオキシトシンが分泌され、オキシトシンを介した絆形成もたらすのではないかという仮説の元、実験を開始した。

本研究は、人間と飼い犬が見つめ合うことで、オキシトシンの分泌が双方で高まることを実証した麻布大学獣医学部動物応用科学科の菊水健史教授、自治医科大学医学部 生理学講座 神経脳生理学部門の岡部祥太客員研究員の指導のもと実施した。

実験概要

・実験計画および実施:
株式会社資生堂 今村周平、加治屋健太郎

・学術指導:
麻布大学 菊水健史教授、自治医科大学 岡部祥太客員教員

・調査対象:
『LOVOT』オーナー(女性/25~45歳)24名、非『LOVOT』オーナー(女性/30~39歳)23名

・調査方法:
調査方法は下記の通り。
1.自宅での起床時の尿中オキシトシン採取および測定
2.試験会場で、『LOVOT』との15分のふれあい前後における唾液中コルチゾールの摂取および測定

結果1.定常オキシトシンが有意に高い

結果1.『LOVOT』と生活を共にするオーナー群では定常オキシトシンが有意に高いことを発見。

オーナー群は非オーナー群に比べ、定常オキシトシンが高いことがわかった。この理由として、普段から『LOVOT』と接することにより、オキシトシンを分泌する機会が増え、定常的なオキシトシン濃度が増加したことが考えられる。

結果2.『LOVOT』との15分間の触れ合いでストレス低下

結果2.『LOVOT』との15分間の触れ合いでオーナー群、非オーナー群ともにコルチゾールが有意に減少しストレス低下をもたらす結果に。オーナー群は非オーナー群に比べコルチゾールの減少幅が大きい。

オーナー群、非オーナー群ともに、『LOVOT』との触れ合いで、ストレスによって分泌されるコルチゾールが減少していることがわかった。コルチゾールは犬や猫とのふれあいによって減少することが報告されており、今回の結果から、『LOVOT』との触れ合いはアニマルセラピー同様の効果をもたらすことが示唆された。

麻布大学 菊水健史 教授のコメント

鹿児島県生まれ。東京大学獣医学科卒。獣医学博士。三共(株)、東京大学大学院農学生命科学研究科を経て麻布大学獣医学部介在動物学研究室教授。専門は行動神経科学 行動内分泌学、行動遺伝学。著書に「ヒト、イヌと語る – コーディーとKの物語」(東京大学出版会)など

今回、コミュニケーションロボットとオキシトシンの関係を明瞭に示した世界初の結果となりました。予想通り、『LOVOT』のオーナー様ではオキシトシンが高いことが示されています。今回の研究では、『LOVOT』と生活する前のオキシトシンの濃度が不明であるため、『LOVOT』との生活による変化であるかどうかは不明ではありますが、今後の研究ではどのようなふれあいが実際にヒトのオキシトシン分泌に変化を与えるか、などの詳細の研究調査によって、イヌなどの動物が飼育できない方々にも、このようなふれあいや異種間共生の恩恵が得られるような社会になり、Well-Beingが高まればと期待しています。

自治医科大学 岡部祥太 客員教員のコメント

東京都生まれ。麻布大学大学院獣医学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。専門は動物行動学。
自治医科大学医学部助教を経て、株式会社ベネッセスタイルケア ベネッセ シニア・介護研究所研究員、自治医科大学医学部生理学講座および応用倫理学研究室客員研究員。動物の社会性、とくに親和的な関係性の構築カニズムとその効果についてヒトやモデル動物、ロボットを対象に研究中。

コミュニケーションロボットと暮らすことで人にどんな変化が生じるのか。人工物と人は親和的な関係性を結ぶことができるのか。今回の研究はそんな疑問へのチャレンジとなりました。『LOVOT』と長期的に暮らした方々に見られた内分泌的、行動的な反応が『LOVOT』との生活によって生じたかどうかはまだ分かりません。しかし、今回の研究結果はコミュニケーションロボットとヒトの関係性の背景にあるメカニズムの解明に向けた重要な端緒になると考えています。今後のさらなる研究により、ロボットや動物といった多様な異種と関係性が構築されるメカニズムとその作用を明らかにできればと思います。

資生堂 今村周平 研究員のコメント

福島県生まれ。東京医科歯科大学大学院修士課程修了後、2017年より株式会社資生堂にて研究に従事。

資生堂は1993年に、肌とこころ(脳)が密接につながっているNICE理論を構築し、以来、直接的な肌のケアだけではなく、ホルモンなどを介したホリスティックなビューティケアの可能性を探索してきました。今回の研究では個を越えて、他者とのコミュニケーションや親密な関係性を構築することが全身へ与える影響、意義を明らかにし、未来に向けた新たな美へのアプローチ創出の可能性を検討するために実施いたしました。
今回の結果は、『LOVOT』との生活と体内のホルモンとの関連を示しており、非生物であるロボットとのコミュニケーションの意義や、新たなビューティーケアの可能性を示唆すると思います。我々は引き続き様々なアプローチにより、身体やこころを介して肌を健やかに美しく保つことを目指していきたいと思います。

GROOVE X代表取締役社長 林要 氏のコメント

愛知県生まれ。東京都立科学技術大学(現・東京都立大学)大学院修士課程修了後トヨタに入社。スーパーカー「レクサスLFA」やトヨタF1の開発に携わる。2012年ソフトバンク入社、「Pepper(ペッパー)」のプロジェクトメンバーに登用。2015年ロボット・ベンチャー「GROOVE X」設立。

生産性や利便性の向上のためのロボットや、動作の物珍しさで興味をもってもらうロボットとは異なり、長期におけるヒトとの関係性構築を目的に、世界でも例をみないアプローチと最先端のAIテクノロジーを用いて開発されたのが『LOVOT』です。
いままでも多くの定性的な実績は出ていたものの、今回は資生堂社および麻布大学菊水先生、自治医科大学岡部先生による研究により、科学的なアプローチで定量的な検証がすすんだことは、とても素晴らしいことで、感謝に堪えません。
オキシトシンの増加は、美容や自律神経のバランスが整えるなどに効能があり、コルチゾールの低減も、健康やストレス低減に効能があると言われています。『LOVOT』は、人が他者を愛でる機会の提供を通して、穏やかで温かな時間を日常生活に提供することができ、一緒にいるだけで多くの人のWell-beingが向上することができます。
日本発のWell-beingテクノロジーとして、今後もテクノロジーの平和利用を世界に発信していきたいと思います。

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ロボスタ編集部

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