NVIDIAは世界中のエレクトロニクスメーカーが、生成AI、3Dコラボレーション、シミュレーション、自律動作マシン向けのNVIDIAテクノロジーを組み合わせた新しい包括的なリファレンスワークフローを導入し、産業のデジタル化を推進していると、2023年5月29日、台湾の台北で開催されている「COMPUTEX TAIPEI」で発表した。
NVIDIAのテクノロジーを活用し、工場を設計・構築・運用・最適化
広範なパートナーネットワークによってサポートされた新しい包括的なリファレンスワークフローは、メーカーが一連のNVIDIAテクノロジーを使用して工場を設計、構築、運用、最適化するのに役立つとしている。
これらのテクノロジーには、コンピューター支援設計アプリのほか、生成AI用のAPIおよび最先端のフレームワークを接続可能なNVIDIA Omniverse、ロボットのシミュレーションと検証のためのNVIDIA Isaac Simアプリケーション、自動光学検査も可能になったNVIDIA Metropolisビジョン AI フレームワーク等をさす。
「COMPUTEX TAIPEI」の基調講演で、NVIDIAの創業者でCEOのジェンスン フアン氏は、エレクトロニクスメーカーにとって業界初となる、完全にデジタル化されたスマートファクトリーのデモを披露した。
基調講演の中でジェンスン フアン氏は「世界の主要な産業は物理的なものを製造していますが、それを最初にデジタルで構築することで、莫大なコストを節約できます」「エレクトロニクス メーカーが製造と検査のワークフローを簡単にデジタル化できるようNVIDIAが支援することで、品質と安全性が大幅に向上すると同時に、コストのかかる予期せぬ事態や遅延が軽減されるのです」と述べた。
世界有数のエレクトロニクスメーカーがNVIDIAのテクノロジでDXを推進
新しいリファレンスワークフローは、Foxconn Industrial Internet、Innodisk、Pegatron、Quanta、Wistronなどの世界でも有数のエレクトロニクスメーカーが活用しており、各社とも生産コストを削減しながら、ワークセルと組立ラインの運用最適化に取り組んでいる。
Foxconn Industrial Internetは、NVIDIA Metropolisエコシステムパートナーと協力して、回路基板の品質保証検査ポイントの大部分を自動化している。
Innodiskは、NVIDIA Metropolisを導入して生産ラインの光学検査プロセスを自動化。コストを節約し、生産効率を向上させている。
大手エレクトロニクスメーカーおよびサービスプロバイダーであるPegatronは、リファレンスワークフローを使用して、シミュレーション、ロボティクス、および自動生産検査によって回路基板工場をデジタル化している。
Pegatronソフトウェア研究開発部門担当アソシエイトバイスプレジデントであるAndrew Hsiao氏は「NVIDIA Omniverse、Isaac Sim、Metropolis のおかげで、AI トレーニングを実行し、工場のワークフローを強化し、物理世界でアイデアを決定する前に仮想世界で多数のシミュレーションを実行できるようになります。工場全体をデジタル化することで、ロボティクスとオートメーションのパイプラインをエンドツーエンドでシミュレートできるようになり、シミュレートされた環境で検証することができるため、時間を節約し、コストを大幅に削減できます」と述べている。
ノートPCやその他の電子ハードウェアの大手メーカーである Quantaは、製造された製品の品質を検査するために子会社であるTechman RobotのAIロボットを使用。 Techmanは、Isaac Simを活用して最先端の協働ロボットをシミュレーション、テスト、最適化すると同時に、NVIDIA AIとGPUをロボット自体の推論に使用している。
産業エコシステムがNVIDIAのテクノロジをフル活用
NVIDIAは、複数の主要な製造ツールおよびサービスプロバイダーと協力して、あらゆるワークフローレベルでフルスタックの単一アーキテクチャを構築している。
システムレベルでは、NVIDIA IGX Orinが、産業グレードのハードウェアとエンタープライズレベルのソフトウェアおよびサポートを組み合わせた、オールインワンのエッジAIプラットフォームを提供。 IGXは、エッジコンピューティング特有の耐久性と低消費電力という要件を満たしながら、AIアプリケーションの開発と実行に必要な高いパフォーマンスを提供する。
メーカーパートナーの ADLINK、Advantech、Aetina、Dedicated Computing、Onyx、Prodrive TechnologiesおよびYuan は、産業および医療市場にサービスを提供する IGX搭載システムを開発しており、これらのシステムにより、物理的な生産の過程でデジタル化の利点を実現することができる。
プラットフォームレベルでは、Omniverseが世界の主要な3D、シミュレーション、生成AIプロバイダーをつなげる。 Omniverseのオープンな開発プラットフォームを使用することで、チームはAdobe、Autodesk、Siemensなどから提供されている人気のアプリケーション間で相互運用性を構築することができる。
「COMPUTEX TAIPEI」での基調講演では、3DワークフローやPythonアプリケーション開発を簡素化するため、ChatGPTやBlender GPTなどのさまざまな AIアシスタントに接続された Omniverseのデモが紹介された。
PaaS(Platform-as-a-Service)としてMicrosoft Azure上で利用可能になった NVIDIA Omniverse Cloudにより、企業の顧客はAzureクラウドサービスが提供するスケールとセキュリティの恩恵を受けながら、OmniverseソフトウェアアプリケーションのフルスタックスイートとNVIDIA OVXインフラにアクセスが可能。
また、アプリケーションレベルでは、Isaac Simを使用することで、企業は AIベースのロボットを構築し、最適に展開できるようになる。
例えば、メーカーは産業オートメーション企業であるREADY Roboticsと協力し、現実世界に展開する前にシミュレーションでロボットのタスクをプログラムすることができます。また、SoftServeやFS Studioなどのシミュレーションテクノロジパートナーは、デジタルツインベースのシミュレーションを構築することで、顧客の開発タイムラインを短縮する。
さらにアプリケーションレベルでは、NVIDIA MetropolisからファクトリーオートメーションAIワークフローのコレクションが提供されており、これにより産業用ソリューションプロバイダーやメーカーは、コストを節約し生産スループットを向上させ、カスタマイズ可能な品質管理ソリューションを開発、展開、管理でができるようなる。ADLINK、Aetina、Deloitte、Quantiphi、Siemensなどの大規模なパートナーエコシステムが、これらのソリューションの市場投入を支援している。
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