【デジタルツイン×AIロボット】マクニカが Omniverse と Isaac Sim で自社の仮想倉庫を構築 Jetson搭載AGVの仮想走行デモ公開「画像認識AI EXPO」で

株式会社マクニカは「画像認識AI EXPO 2023」に出展し、NVIDIA Jetsonを中心にしたロボティクスやエッジAIコンピューティング、その開発を効率化するNVIDIA「Omniverse」や「Isaac」などをデモ展示する。各コーナーにはシステム構築や技術に詳しい担当者が立ち、来場者からの質問や導入時の相談などに対応する。
「Omniverse」(オムニバース)や「Isaac」(アイザック)のデモを体験できる機会は少ないので必見だ。

ロボットのシミュレーション環境を実践するロボティクスプラットフォーム「Isaac Sim」の画面。AIモデルが棚や通路、コーンや移動する人を認識区分(セグメント)するためのデータセットを手軽に用意することができる。このデモも展示ブースで見ることができる

「画像認識AI EXPO」の会期は2023年6月14日(水)~16日(金)、場所は幕張メッセ。小間(ブース)番号は「7N07」。

展示ブースでの「Omniverse」「Isaac Sim」「Jetson」のデモや詳細内容について、事前にマクニカの担当者に聞いた。

正:左から株式会社マクニカ クラビスカンパニー 第一技術統括部 技術第3部の第1課 松山英樹氏、同 広田勇貴氏、同 部長代理 野本裕輔氏、ビジネスソリューション第2統括部 ストラテジックマーケティング室 栗原浩貴氏


デジタルツイン/ AIロボットシミュレーションをより身近に

マクニカブースのテーマは「デジタルツイン/ AIロボットシミュレーションをより身近に」。NVIDIAの超小型コンピュータボード「Jetson AGX Orin」やデスクトップPC、サーバを使用してデシタルツインを構築支援するプラットフォーム「Omniverse」や、シミュレーション環境も完備したロボティクス プラットフォーム「Isaac Sim」をデモ展示する。なお、「Omniverse」はデジタルツイン環境を構築するプラットフォームであり、ツール群。そのツールのひとつがロボティクス・シミュレータ機能を持った「Isaac Sim」という位置付けになる。

「Omniverse」や「Isaac」を活用し、仮想空間上のデータを使用して「Jetson AGX Orin」がAIモデルを実行しているところ。


マクニカロジスティクスの仮想空間(デジタルツイン)を作成

今回のデモにあたり、マクニカは実在する同社の倉庫「マクニカロジスティクス」のデジタルツインを「Omniverse」と「Isaac Sim」で作成。棚の配置や天井の照明位置などを忠実に再現するため、図面データをベースに現場を実測し用意した。

マクニカ倉庫の実際のデータから、「Omniverse」と「Isaac Sim」構築した仮想空間(デジタルツイン)。デモ会場でも展示され、実際に見ることができる。

ロボット「Carter」(カーター)から見たマクニカ倉庫のデジタルツイン(「Isaac Sim」画面)。デモ会場で実際に見て体感することができる(倉庫内をカーターで遠隔操縦する体験もできる予定)。

なお、カーターにはステレオカメラが搭載されていて、カメラ映像を解析して、マッピングや自己位置推定を行う。右側のカメラで映した映像を認識・解析してディープラーニングでセグメンテーションの処理を行い、人物を検出している。(右側のウィンドウ)。なお、倉庫内をカーターで遠隔操縦する体験もできる予定。

Jetson搭載のロボット「カーター」の展示デモ概要

■マクニカが自社倉庫を「Omniverse」でデジタルツイン化、Isaacでセグメントのデモ公開 (展示ブースで見られる)


仮想空間でも「Jetson AGX Orin」上のプログラムの動作の確認が可能

「Jetson AGX Orin」は、ロボットの制御や画像からルートや障害物を識別するセグメンテーションのAI処理などのロボット制御プログラムの動作をデジタルツイン上で確認することが可能。実際のロボットに搭載する前に、仮想空間でもロボットに搭載するソフトウェアの開発が効率よく実現できる。

左の画面がロボット視点から見た仮想倉庫の映像。箱型の「Jetson AGX Orin 開発者キット」が映像を解析して、人をセグメンテーションしている映像が右の画面

カーターやAMRなどのロボットはJetsonで自律動作させたり、キーボードで操縦(遠隔操作)することができる。
「Isaac SIM」の環境でカーターは、マッピングや自立走行などのシミュレーションを行うことができ、使用しているアルゴリズムで十分に性能が出ることが確認できれば、リアル(フィジカル)な倉庫においても同じアルゴリズムを搭載し、実機を現場で動かすことが可能となる。そうすることで、仮想空間上で学習データの収集、アノテーション、自律走行や衝突回避のシミュレーションなどを実施しつつ、リアル(フィジカル)空間へシームレスへ移行することで、ロボットの開発の効率が著しく向上する。

「Jetson AGX Orin 開発者キット」。「Omniverse」や「Isaac Sim」の仮想空間でトレーニングしてロボットのAIモデルを生成したあとで、実際のロボットやドローン、エッジデバイスに組み込んで実践テストをおこなうことが可能。

■マクニカがデジタルツイン「Isaac Sim」でJetson連携ロボティクスデモ (展示ブースで見られる)


現実空間との判別が困難なほどリアルなデジタルツイン

実際に仮想空間でシミュレーションした「Jetson AGX Orin」が、フィジカルな現場でも、全く同様に動作することが下記のPV動画でも確認することができる。

上が仮想倉庫でのシミュレーション映像、下が実際の倉庫でのロボット走行映像。ほぼデジタルツインと現実の倉庫の区別が、人の目にもつかないほどリアル。

■NVIDIA Omniverse™で物流倉庫をデジタルツイン化

動画内で使われたROS制御の自律走行ロボット(Jetson搭載)


「Isaac Sim」で人の配置と移動、学習データセットの生成を自動化

倉庫内に配置され、移動している「人」は、最近「Isaac Sim」に搭載された機能。仮想倉庫内に人を配置して、座標間を人物が行き来することが容易にできるようになった。
また、動いている人を避けたり、停止するシミュレーションを手軽に行えるようになっている。また、AIに人を認識させるためなど、AIに学習させるための合成データを自動で生成できる仕組みも備えている。

仮想空間の中で、指定した座標間を人物が移動する機能が最近「Isaac Sim」に追加された。ロボットが人との衝突を回避するためのトレーニングには重要な機能だ。

また、ロボットの目線とカメラを合わせることによって、カメラ映像を使ったロボット目線でのAI学習モデル用のデータセットを自動的に作れるようになった。ロボット視点から見える下半身や脚部のデータを使ってAI学習させることで、下半身や脚部の映像だけでも人と認識して回避や停止行動を行う制御に役立てられる。





OmniverseやIsaac Simの一連デモをブースで公開 質問や相談も受付

従来は、実際のロボットを倉庫内に走らせてマッピングしたり、人を歩かせて映像セットを用意し、手作業でアノテーションしていたことが、「Omniverse」や「Isaac Sim」のデジタルツインを活用することで、デスクトップ上で行えるようになった利点は大きく、人とロボットが協業する環境の構築が効率的に行えるようになった。


マクニカは「アドバイスできる技術スタッフも常駐しているので、OmniverseやIsaacを活用したデジタルツインやシミュレーション環境の構築、Jetsonの導入について、案件を既に抱えていたり、検討している場合はSIerやエンドユーザーに関わらず、会場のブースでお気軽に相談して欲しい。予算感や構築の手順、必要な機器やデータなど、ユースケースを元に説明したい」としている。


CyberLinkの「FaceMe」や「Red Hat Edge」コーナーも設置

Isaac SimやJetsonの他にも、本人認識率99.83% の顔認証精度を持つCyberLinkの「FaceMe」での「Jetson Orin Nano」動作デモや、「Red Hat Edge」を活用した先進的なエッジコンピューティング・プラットフォームも展示する。それぞれのコーナーに説明員が用意されるので、導入時の相談が気軽に行えそうだ。
また、最新NVIDIA Jetson Orinシリーズとなる「Jetson Orin Nano開発者キット」と「Jetson AGX Orin 開発者キット」を特別価格で用意する。Jetson Orinの購入を考えている読者はこちらもぜひチェックしておきたい。

【マクニカ展示ブースの概要】
・NVIDIA Jetson Orin Nano 開発者キット
・NVIDIA Jetson AGX Orin 開発者キット
・NVIDIA Omniverse
・NVIDIA Isaac
・FaceMe 顔認証 x NVIDIA Jetson Orin Nano
・Red Hat Edge
> 詳細はこちらをご覧ください。
【画像認識 AI Expo (Vision AI Expo) 2023】(初開催)
幕張メッセ 展示会/展示会場内セミナー(国際展示場 展示ホール4~7)
2023年6月14日(水)~16日(金)
10:00~18:00(最終日のみ 17:00 終了)
オンライン登録制:無料(会期3日間有効)要登録
■同時開催
Interop Tokyo 2023
デジタルサイネージ ジャパン 2023
APPS JAPAN 2023

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ロボスタ編集部

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