子ども達の発想あふれる「embot大展覧会」開催!最優秀賞は力作「カラドキピエロ」、ハムスターロボットや動くアクセサリーも

2023年8月19日(土)「embot大展覧会」が東京・お台場にあるNTTドコモの「docomo R&D OPEN LAB ODAIBA」で開催されました。

「embot大展覧会」とは、NTTドコモからスピンアウトした株式会社e-Craftがプロジェクトの全体統括を行い、タカラトミーがハードウェアの製造・販売を行っているプログラミング教育ロボット「embot」で自由に作った作品を自分で展示するコンテスト型のイベントです。




embotとは?

ロボスタの読者の方なら、「あ、あのダンボールの」とお気づきの方もいると思いますが、改めて簡単に説明します。

「embot」はロボットを使ったプログラミング教材。その大きな特徴はダンボールなど身近なものと電子工作パーツ、そしてアプリを用いて作るロボットという点です。もちろん同梱されているクマのようなダンボールロボットを作るのもアリなのですが、それだけではなく、電子工作パーツとアプリを用いて全く異なるロボットをつくることも出来るようになっています。

ダンボールのボディでお馴染みの「embot」。例えば「iPad Pro」のコンパス(方位センサー)にロボットが連動したものをプログラミングすることもできる

単に「プログラミング教育」だけではなく、想像力をもってアイデアを出して、それを工作などをすることでリアルな面に落とし込むという創意工夫ができるロボット教材が「embot」というわけです。


自分で展示場所を選べる展示会

会場となった docomo R&D OPEN LAB ODAIBA

今回「embot大展覧会」では会場となった「docomo R&D OPEN LAB ODAIBA」が入っているビルは東京のお台場建っているビル。その中を3つの展示エリアを設定して参加者が自分が展示したい展示エリアで作品を展示することができるようになっていました。

会場マップも手書きでも手作り感がうれしい

設定された展示スペースは、大きな窓で外の景色が見える「ぜっけいエリア」、コンパクトに多くの作品が展示ができる「わいわいエリア」、広々とテーブルを使って展示できる「ひなだんひろびろエリア」。

自分が決めた展示エリアに自身の作品を並べて、いよいよ展示会もスタートしました!


賞の一覧と審査員

「embot大展覧会」と銘を打っていますがコンテスト型のイベントのイベントなっており、広島工業大学 教授・宮城教育大学 名誉教授の安藤明伸氏、小学館『小学一年生』編集長・『小学8年生』編集長の齋藤慎氏、NTTドコモ スマートライフカンパニー ライフスタイルイノベーション部長の笹原優子氏、タカラトミー 事業統括本部 エキスパートの土肥雅浩氏の4名の審査員と当日の参加者で投票を行い各賞を決定します。

参加者には「Good!アイデア」「Good!デザイン」「Good!テクニック」の3項目で1番「Good!」と思った作品を投票する投票用紙が渡され投票するように仕組みになっていました。

賞については下記の通りです。

・「最優秀賞」:ダンボール賞状、e-Craft社1日開発者体験、特選ステンレスタンブラー、embotオリジナルハンドタオル
・「Good!アイデア賞」:ダンボール賞状、特製ステンレスタンブラー
・「Good!デザイン賞」:ダンボール賞状、特製ステンレスタンブラー
・「Good!デザイン賞」:ダンボール賞状、特製ステンレスタンブラー
・「審査員賞」:ダンボール賞状、副賞



大人と子どものフラットな視線で審査する環境が印象的

審査員の審査の仕方も特徴的で、e-Craftの代表でembotの生みの親でもある「Master Nu」こと額田一利氏が審査員4名を引き連れて参加者を回って参加者にプレゼンテーションをしてもらうスタイルとなっています。

審査員たちにも熱が入る審査風景

プレゼンテーションの中で参加者からアイデアを思いついた理由や大変だった点などを聞くのですが、その中で額田氏が開発者視点で作品の技術的解説をわかりやすくしてくれたため、「え、そんな大変なことをやっているの??」といった感じで、一見単純に見える作品がどのような創意工夫の上で出来上がっているかを知ることができる点は理解を深める助けになりました。

もちろん審査員も直接参加者に疑問を投げかけていてナマの声を聞くことができたりと、「大人が子どもの作品を審査をする」という上下関係ではなく、大人と子どものフラットな視線で審査ができる環境だったのがものすごく印象的でした。


審査員賞

さて、全参加者のプレゼンテーションが終わり、審査タイムを経ていよいよ賞の発表です!

まずは審査員賞から


クイズはんていロボット(はにー さん)


クイズはんていロボット(embot大展覧会 Webサイトより転載)

広島工業大学 教授・宮城教育大学 名誉教授 安藤 明伸 氏

シンプルなアイデアで、学校が始まったら先生に「これ使ってください」って言えるくらいに色々なことに使えるように思いました。しかも、プログラムでもっと微妙な間にしたいってなかなかできないんですよね。それを「1秒かな?2秒かな?」とか、色々試行錯誤して、自分の絶妙な間っていうのはこうなんだっていうのを表現できたんじゃないかと思って今回選ばせていただきました。


LifeBeat Rescue(そう さん)


LifeBeat Rescue(embot大展覧会 Webサイトより転載)

小学館 小学一年生 編集長・小学8年生 編集長 齋藤 慎 氏

プレゼンは机の上で止まってしてくれたけど、本当は動いたりするんだよね?実際に動くというのもすごいなっていうのと、何よりも皆さんの中で1番最初にプレゼンをしたんです。 この格好(手術着)で緊張してるだろうにと思ってるんですけど、すごい滑らかに上手にプレゼンできました。


駐車に挑戦中(ミスターアール さん)


駐車に挑戦中(embot大展覧会 Webサイトより転載)

株式会社NTTドコモ スマートライフカンパニー ライフスタイルイノベーション部長 笹原 優子 氏

動きを見ると、実際にショッピングセンターとかでよく見かける駐車をしている車の本物感を表現していて、本当によく見ているなと思って。モーターのイメージから、「あ、駐車がいいな」と思って決めたところとか、 あと、音にもこだわって自作の曲作ったところも、すごく楽しく駐車を見守ることができました。あと、私、車も好きなので、それも選んだ理由です。


筋肉増加マシーン(ひろと さん)


筋肉増加マシーン(embot大展覧会 Webサイトより転載)

タカラトミー 事業統括本部 エキスパート 土肥 雅浩 氏

今回筋肉増加マシーンを選んだというのは、すごくパフォーマンス力というか、自分が「ちょっと痩せなきゃ」と思って、それを自分で創作したものでなんとか対応しようということ。それを自分の腕立て伏せでプログラムを組んで連動させようっていうことはすごく面白いので、実用性プラス、エンタメの要素がすごくあったというところです。




Good!アイデア賞

続いて、Good!アイデア賞は、


パンダっぽく、バケモン (ゆうり さん)


パンダっぽく、バケモン(embot大展覧会 Webサイトより転載)

e-Craft 代表取締役CEO 額田一利 氏

僕、実はタイトルだけは知ってる状態だったんですけど、全く意味がわかりませんでした。で、どんなものが出てくるんだろうと実際見てみたら、ゲームで遊べると。
実は、僕、embotっていうものを開発した時に、できれば、1人で遊ぶだけじゃなくて、いろんな友達と遊んでもらえるようなものを作ってほしいなってことで、今までのアイデアコンテストでも、比較的友達と遊びやすいようなもの用意してたんですけども、今回まさに、すごい面白いゲームというかですね、明るさセンサーを使って次のステージに行くみたいな話とか、アイデアがたくさん詰まっているし、みんなで楽しめるアイデアが すごくビシビシ伝わってきたので。今回こちらを選ばせていただいております。


Good!テクニック賞

Good!テクニック賞は、

ハムスターロボット ホワちゃん(翔 さん)

embot大展覧会 Webサイトより転載

ハムスターロボット ホワちゃん

e-Craft 代表取締役CEO 額田一利 氏

これ見ていただいたら分かると思うんですけど、モーター5個使ってました。
embotって1つのコアに対してモーターが2つなんですけども、それをたくさん動かしたいからコアを増やしていったっていう。だから、彼のあくなき挑戦ですよね。
そして、そこにたどり着く理想をどう作ったかっていうと、「動物の動きの観察です」と。先ほど僕もインタビューの時に話しましたけども、動物の動きを観察してロボットを作るって、実は本当にに最先端のロボット開発にも使われている手法でして、彼がそこにたどり着いたというのが大変素晴らしいテクニックを発揮されたんではないかなと思ってます。


Good!デザイン賞

Good!デザイン賞は、


夏祭りアクセサリー (ふぅ さん)


夏祭りアクセサリー(embot大展覧会 Webサイトより転載)

e-Craft 代表取締役CEO 額田一利 氏

今回このGood!デザイン賞、ほんとに実際票も集まりましたし、デザイン賞の集計をして出てきた時にも、審査員の皆さんが「 あ、だよね」ってなったんですよね。
今回、Good!デザイン賞がこの作品になったって、ほんとに回って見た時に彼女が1番美意識を持ってらっしゃっていて。作品に対する、デザインに対するこだわりというかですね、「ここの形がこうで」とか「ここがこうなって」と。そして色々とBluetoothの都合で花はずっと動かず、お母さんは焦って後ろで配線を回し、「私は、喋りたいこと忘れちゃったし。」みたいな。そういうこだわりが、結果にきちんと現れているな思っております。


最優秀賞

そして、最優秀賞は、


カラドキピエロ (ひぐち さん)


カラドキピエロ(embot大展覧会 Webサイトより転載)

e-Craft 代表取締役CEO 額田一利 氏

今回皆さん投票に参加されてるのでお気づきだと思いますけど、「ヤバいよね」っていう感じはありましたよね。
作品の工作っていうところもさることながら、embotですごく大事にしている部分の「いかに多くの人を楽しませようか」とか、「自分の中じゃない自分のその外にあるところ」とか、世の中の課題を解決するじゃないですけども、誰かを喜ばせるっていうところのアイデアの部分に関してもすごくよく考えられていて。
実はパッと「黒ひげ危機一発を作ってすごい」ってところに目が行きがちなんですけど、実は今のembotって使えるセンサーが結構限られてていて、接触センサーみたいなのしかない中で、「黒ひげ危機一発」をどうゲームとしてどう実現するかって、そのゲーム構成を考えてるところも含めて、大変素晴らしい作品だったなと思っております。
今日、彼の作品を通じて、僕、どうしても1個メッセージとし伝えたかったのが、今後多分皆さんプログラミングの勉強することがどんどん出てくるんですけど、プログラミングをうまくなるためにプログラミングを勉強しようってことよりも、「こういうことがしたいからそのためにプログラミングが必要」っていう風にプログラミングを学んでいくのってすごく楽しいし、どんどん上達していきます。なので、皆さん「こういうものを作りたい」とか、「こういうことやってみたい」そのためにどうやらプログラミングでこういうこと勉強した方が良さそうだぞっていう形で、どんどんどんどん勉強していってほしいし、その手助けになればなって思いでずっと教材開発をしております。
僕は彼の作品からそれをすごく感じることができてで、大変大変開発者冥利に尽きます。



という結果になりました。


e-Craft 額田一利 氏インタビュー

賞に選ばれた作品も素晴らしいかったですが、参加者ひとりひとりがembotに思いやアイデアが詰まっているのをヒシヒシと感じることが出来ました。
「embot大展覧会」終了後、抜群のMCを展開した主催者でもあるembotの産みの親でもあるe-Craft 額田一利 氏に少しお話を聞くことができました。

ロボスタ編集部

今回の大展覧会はいかがでしたか?

e-Craft 代表取締役CEO 額田一利 氏

個人的にいいなと思ったのが、コンテストってもうみんな、バーンって賞をとるような人ばっかりだったんですけど、今回はすごいシンプルな作品もあれば、すごい複雑な作品もあるっていう状況だったんで、そういった意味では比較的バラバラに、いろんな子たちがちゃんといたのでそういう部分はすごい狙い通りというか、体験段階としてすごいよかったかなって思ってます。

ロボスタ編集部

次回参加したいと思っている子どもたちに向けて額田さんからアドバイスなりメッセージなどあれば。

e-Craft 代表取締役CEO 額田一利 氏

実は、今日さりげなく展示してたんですけど、11月にembotはバージョンアップして新商品が出ます。それが実は簡単なアプリソースなのにできることを増やすっていうのをすごく大事にして作ってる内容になってますので、是非是非その新しい機能をふんだんに活用して「こんなことできちゃうんだ」っていう僕らも思いつかないようなもの、うまいこと大人を出し抜くようなものを作ってもらえるとすごく嬉しなと思っています。

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