NVIDIA Isaac SimとNVIDIA L40S GPUがAmazon Web Servicesに登場することで、開発者がクラウド上で行うロボティクス アプリケーションの構築と展開の高速化が可能となる。Amazon RoboticsやSoft Roboticsの活用動画を公開した。
AI搭載のロボットのための拡張可能なシミュレーターであるIsaac Simは、OpenUSDアプリケーションの構築と接続のための NVIDIA Omniverse 開発プラットフォーム上に構築されている。
L40S GPUがOmniverse Isaac Simで2倍のシミュレーション速度を提供
パワフルなAIコンピューティングと、グラフィックスおよびメディア高速化を組み合わせたL40S GPUは、次世代のデータセンター ワークロードにパワーを与える。Ada Lovelaceアーキテクチャに基づくL40Sは、超高速なリアルタイムレンダリングを可能にし、前世代と比較してOmniverseのパフォーマンスを最大3.8倍に向上させ、エンジニアリングとロボティクスチームを強力に支援する。
世代間の飛躍的な高速化により、Isaac Simを使用したロボティクスシミュレーションの幅広いタスクにおいて、A40 GPUの2倍高速なパフォーマンスが得られる。
L40S GPUは、大規模言語モデルを数時間でファインチューニングすることから、テキストから画像への変換やチャットアプリケーションのリアルタイム推論まで、生成AIワークロードにも活用が可能だ。
AWS MarketplaceのNVIDIA L40S上の新しいAmazon Machine Images(AMI)により、ロボティクスの開発者は、Isaac Sim のワークロードを操作するための設定済み仮想マシンに簡単にアクセスできるようになる。
ABI Researchによると、世界の倉庫における移動ロボットの収益は爆発的に増加し、2023年の116億ドルから2030年には3倍以上の422億ドルになると予想されている。
ロボティクスシステムは、フルフィルメントセンター全体で重要な役割を果たし、オンラインショッピング利用者の需要に応え、従業員により良い職場を提供している。
Amazon Roboticsは、世界中の倉庫に75万台以上のロボットを配備し、荷物のフルフィルメントをサポートする従業員と顧客の体験を向上させている。Amazon Roboticsのバーチャルシステム部門責任者である Brian Basile氏は次のように述べている。
Amazon Robotics バーチャルシステム部門責任者 Brian Basile氏
シミュレーション技術は、ロボットの開発、テスト、管理において重要な役割を果たしています。Amazon Robotics では、シミュレーションの規模と複雑さを高め続けています。新しい AWS L40S の提供により、私たちはシミュレーション、レンダリング、モデルのトレーニングの限界をさらに押し広げます
Isaac Sim と加速するロボット開発
ロボティクスシステムは、展開されたアプリケーションでの精密な操作のために、大規模なデータセットを必要とすることがある。一方でこれらのデータセットを収集し実世界でテストすることは、時間とコストがかかり現実的ではない。
ロボティクスシミュレーションは、AIベースのロボティクスアプリケーションのトレーニングとテストを推進する。合成データを使用することで、シミュレーションはこれまでにない仮想的な進歩を可能にする。シミュレーションは、ロボットの設計、システム、アルゴリズムを運用前に検証、妥当性確認、最適化するのに役立ち、建設や改築を開始する前に施設設計を最適化することで、最大限の効率化を図り、コストのかかる製造変更指示を削減することもできる。
Isaac Simは、最新のロボティクスシミュレーションツールと機能へのアクセス、およびクラウドアクセスを提供し、チームがより効率的に共同作業を行えるようにする。Isaac Simの合成データ生成エンジンOmniverse Replicatorを利用することで、機械学習エンジニアは、ロバストなディープラーニング知覚モデルをトレーニングするための、実運用可能な合成データセットを構築することができる。
AWSにおけるIsaac Simの導入事例
AWS のアーリー アダプターには、Amazon Robotics、Soft Robotics、Theory Studios などが含まれている。
Amazon Robotics は、現実世界に展開する前に仮想空間で自律型倉庫の自動化、最適化および計画立案を行うためのデジタル ツインを構築するために、Omniverse の利用を開始した。
Amazon Robotics は、Isaac Sim のセンサーエミュレーションを利用することで、自律移動ロボットProteusの開発を加速し、オンライン小売大手のフルフィルメント管理を効率化するための改良を行っている。
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