ドコモ、明治大学・宮下芳明研究室、H2Lは、ドコモが開発した人の感じ方のデータを蓄積し、触覚・味覚などの五感の情報と連携し、他者へ共有する技術「人間拡張基盤」と、宮下芳明研究室とH2Lが研究開発した味覚を再現する技術を連携し、相手の感じ方に合わせた味覚を共有する技術を開発したと発表した。
相手の感じ方に合わせた味覚を共有する基盤技術の開発は世界初(2023年12月21日時点:ドコも調べ)となる。
言葉で伝えられない味を共有することが可能に
今回発表された技術は、味覚に関するデータを把握する機器(センシングデバイス)、味覚の感度に対する個人差を推定し、共有する「人間拡張基盤」と、味覚を再現する駆動機器(アクチュエーションデバイス)の3つで構成し実現するものとなっている。
具体的には、伝えたい味をセンシングデバイスで分析・数値化したものと、共有する相手の味覚の感じ方を、約25項目のデータをもとに人間拡張基盤上で独自アルゴリズムを用いて推定し、それらをアクチュエーションデバイスを通じて、相手に伝えたい味を再現する。アクチュエーションンデバイスは、味の基本となる五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)を味覚の標準液を用いて再現。この3つの構成により、言葉ではうまく伝えられない味を、人間拡張基盤を通して相手に共有することが可能となる。
たとえば、これまで視覚的・聴覚的な世界であったメタバース空間内のバーチャル体験や、映画やアニメのコンテンツでの活用が期待でき、作者が伝えたい味をコンテンツに付加することで、よりリッチなコンテンツ提供の実現と、ユーザーはこれまでに無い臨場感溢れる新しい体験が期待できるとしている。
各社の役割
ドコモ | 人間拡張基盤に相手の感じ方に合わせて味覚を共有・伝送するFEEL TECH技術の開発 |
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宮下芳明研究室 | 独自開発した駆動機器(アクチュエーションデバイス「TTTV」)を用いて、味覚を再現する |
H2L | 味覚の個人差補正の調査研究 |
技術の詳細
1:人間拡張基盤上センシングデバイスで伝えたい味を分析・数値化<伝えたい味覚をデータ化>
2:伝えたい相手の味覚に関する約25項目のデータをもとに、人間拡張基盤上で独自のアルゴリズムにより、味覚の感度を推定<相手の感度を推定しデータ化>
3:1と2のデータから、伝えたい味を人間拡張基盤上で相手に合わせてマイニング<伝えたい味を相手に合わせデータ化>
4:アクチュエーションデバイスで、味覚であれば味の基本となる五味(甘味、酸味、塩見、苦み、うま味)を20種類の味覚標準液を用いて再現。<伝えたい味を再現>
利用イメージ
6G時代、さらにモバイルネットワークは100Gbpsを超える高速通信、超低遅延、超多接続となるため、本技術は6G時代のまったく新しいコミュニケーションとして、メタバース空間や、映画、アニメなどのコンテンツで活用することで、事業者はより魅力的なコンテンツ提供が、ユーザーは臨場感溢れるリッチな体験が可能となる。
例1:メタバースコンテンツ
バーチャルな体験の中で提供される仮想的な食べ物や飲み物について、これまでの視覚・聴覚に加えて、味覚も再現可能となる。。例えば、バーチャルカフェで友だちと集まってケーキをシェアしたり、デジタル空間で料理を共有できるようになるため、6Gネットワークでいつでもどこでも、リアルタイムに体験することが期待できる。
例2:映画・アニメコンテンツ
映画の中にしか存在しない体験が可能となる。例えば、未来の食事や古代の食事など、作者が思い描いた味覚を視聴者にそのまま伝えることができるようになる。6Gネットワークでいつでもどこでも、リアルタイムに体験することが期待できる。