【速報】Uberが加賀市でライドシェアの本格運行を開始 規制緩和後の初の事業化 運賃はタクシーの8割、ドライバー報酬は売上の7割

Uber Japanは2024年3月12日(火)、石川県加賀市と「加賀市版ライドシェア」の本格運行を開始。両者が包括連携協定に調印した。調印に伴って、報道関係者向け発表会が開催された。

今回のプロジェクトは「加賀市版ライドシェア」と名付け、加賀市観光交流機構が運行主体となって運営、Uberがアプリを提供、加賀第⼀交通が運行管理を行う。


運賃は、南加賀交通圏タクシー運賃の8割となる。運転士は普通免許と自家用車を持つ住民ドライバーが面接を経て登録される。ドライバーは報酬として売上の7割を受け取る。既に応募と面接は行われており、70名以上の応募があった。




[加賀市とUber Japan株式会社との包括連携に関する協定 概要]
目的:加賀市が国家戦略特別区域法第8条第8項に基づきデジタル田園認定されていることを踏まえ、相互の相互緊密な連携と協力により、地域が抱える課題やニーズに対応し、産業集積や地域社会の持続的な発展に寄与する。

連携事項:
自家用有償旅客運送サービスに関する実施
先端技術に関する情報交換および活用に関すること
上記のほか、目的を達成するために必要な事項に関すること

宮元加賀市長(左)とUber Japan代表 山中氏


2023年12月の規制緩和以降、Uberのライドシェア事業化は初

加賀市は、2024年3月16日の北陸新幹線の延伸で新たに「北陸新幹線 加賀温泉駅」が開業、インバウントを含めた観光客が2倍に増えると見込んでいるが、それに対応したタクシーやバスなど、二次交通の増車が運転士不足などで見込めないことから、Uberのライドシェアの導入に踏み切った。

報道陣からの質問に応える加賀市⻑ 宮元 陸氏

なお、2023年12月の規制緩和以降、Uberが初めて自治体と提供する「自家用有償旅客運送(自治体によるライドシェア)」となる。同様の課題を抱えている地域や自治体は多いことから、今後はライドシェアのニーズは一気に加速すると思われる。

Uber Japan株式会社 代表 山中志郎氏

発表会の後、JR加賀温泉駅前でUberアプリと迎車の実演が行われた。


女性がアプリで配車を依頼(現在地と行先を指定)すると、Uberのステッカーを貼った自家用車が配車され、依頼した女性の前にやってきた。



女性は配車された車に乗り込み、Uber車は走って行った。



Uberアプリは世界70カ国で活用

Uber Japanは、世界70カ国で展開しているUberアプリを活用。3月12日より加賀市観光交流機構、加賀第⼀交通とともに「加賀市版ライドシェア」の提供を開始する。このライドシェアは、午前7時から午後7時までは主要観光地や住宅地で、午後7時から午後11時までは加賀市全域で利用可能で、午後11時~午前7時前は運営しない。

Uberは70カ国以上、10,000以上の都市で、様々なサービスを提供。タクシーとライドシェアの両方を提供している地域を濃い青色で表示。


規制緩和に伴って、加賀第⼀交通による面接・研修と国の指定講習を受けた住民ドライバーが稼働。加賀第⼀交通が住⺠ドライバーや車両の安全管理を行い、Uberがアプリを通じて乗客と運転士のマッチング、配車依頼、決済サービスを提供する。また3月16日に新たに開業する「北陸新幹線 加賀温泉駅」のロータリーには、本ライドシェア専用の「Uber専用乗り場」が設置され、新幹線を降りた観光客に対してUberアプリの事業化をPRする。また、Uber Japanは海外のアジア圏の同社ネットワークを通じて、加賀市でUberが実用化されることを告知する予定だ。

Uberのライドシェアには2種類がある。ひとつはタクシー会社によるライドシェア。もうひとつは住民によるライドシェアだ。今回の「加賀市版」は後者に該当する。米国と同様、多くの運転士が副業としてUberに登録して運転士として従事する。



Uberアプリの操作画面

Uberアプリの基本的な画面は、海外のものとほぼ共通のようだ。筆者も米国ではUberを頻繁に利用するが、非常に便利なことを利用する度に評価している。操作は現在、乗車したい客(自分)がいる場所と、行きたい目的地を指定すると、そこまでのルートと料金、配車可能なライドシェアの車が表示される。到着の予定時間も表示されるので、利用したいクルマを選択して到着を待つ。決済は基本的には電子決済で行う。


運転士が利用するアプリの画面も公開された。


Uber Japan株式会社 代表 山中志郎氏は次のように述べている。

山中志郎氏

この度、「加賀市版ライドシェア」の本格運行を開始できたことを大変嬉しく思います。地元有志の皆さまがおもてなしする「加賀市版ライドシェア」により、Uberを普段から使い慣れている国内外からの観光客にとって、⽇本有数の魅⼒を持つ加賀温泉郷が、より⾝近で安⼼な観光地になることを期待しています。そして、加賀市に避難されている被災者の⽅々の移動の⾜として、また地元の皆さまの新しい収⼊の機会として、Uberがお役に⽴てればと考えています。本取り組みが、移動の⾜の不⾜という全国的な社会課題対策のモデルケースとして機能するよう、Uber は海外で得た知⾒や様々な安全対策などの提供を通じて加賀市を⽀援してまいります。


【加賀市版ライドシェア 概要】
事業主体:⼀般社団法⼈ 加賀市観光交流機構
運⾏区域・時間:
 午前7時〜午後7時:加賀市内の主要観光地および住宅地
 午後7時〜午後11時:加賀市全域
運賃:南加賀交通圏タクシー運賃の8割
運⾏管理者:加賀第⼀交通株式会社
予約・配⾞:Uberアプリを通じて実施
ドライバー:加賀市観光交流機構、加賀第⼀交通による選考・研修を通過した加賀市に住む普通運転免許を保持する住⺠ 14名(2024年3⽉12⽇時点)
⾞両:上記ドライバーの所有する⾃家⽤⾞
ドライバーの報酬:売上の7割
※ドライバーは、70名以上の応募があり、選考と研修を終えた⽅から稼働

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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