PUDU、倉庫や工場向け搬送ロボット「PUDU T300」を発表 ネコ顔配膳ロボットのノウハウを製造現場に活かす

中国の深センに本社を持つPudu Robotics(日本法人はPudu Robotics Japan 株式会社)は、同社初の産業用ロボット「PUDU T300」を発表した。「PUDU T300」は、電機メーカー、自動車部品加工施設、金属加工施設、半導体製造工場などにおいて、製造部門全体の生産ラインをサポートするための使用を想定されている。
現在、中国や欧米など、グローバル市場においてはすでに販売が開始されていて7月からの出荷が予定されている。日本での販売開始時期は現在調整中。

倉庫や工場向け搬送ロボット「PUDU T300」


配膳ロボットや清掃ロボットのノウハウを倉庫や工場にも

PUDOと言えば、すかいらーく系のファミレス等に導入されたネコ顔の配膳ロボット「BellaBot」が知られている。「BellaBot」は2024年2月に工場や倉庫などでの使用を想定してカスタマイズした製品「BellaBot 工業用バージョン」のグローバル販売を発表している。

工場や倉庫などでの使用を想定してカスタマイズした製品「BellaBot 工業用バージョン」

「PUDU T300」は、従来から提供してきた配膳ロボットや清掃ロボットの設計・製造・販売で培ったノウハウや実績を元に、倉庫や工場においても人間の生産・生活の向上へと繋がるさらなる価値を提供すべく発売に至った。

同社によれば、世界中の製造業者が、変化の激しい市場の需要を見極めるのに苦労していて、生産のばらつきが課題となっているという。その結果、より素早く正確で、柔軟な生産ラインを構築することが重要になっている。

また、国内においては、「2024年問題」を背景に、倉庫などの物流現場においても人手不足がより顕在化し、社会問題となっている。また、政府の巨額支援により、半導体や半導体関連装置・材料メーカーの工場が各所に増設予定となっており、工場内での人手不足・業務効率化のニーズの高まりが予測されている。
こうした背景をもとに、同社は「PUDU T300」を日本市場へ投入する。


「PUDU T300」の特徴

「PUDU T300」は、製造現場や倉庫において、物資や材料の輸送に役立つよう設計されている。生産ラインへの物資や材料の供給、生産ゾーン間での輸送、品質チェックのためのサンプル輸送などを容易にし、従業員の業務を効率化させる。また、機動性にも優れ、製造現場特有の狭い通路を巧みに移動できる、としている。


製造現場でのロボット導入の課題を克服

製造現場におけるロボットの導入において、最も障壁となるのが既存設備との適応性の問題。同社は「PUDU T300」に、PUDU独自の、マーカーなしでのナビゲーションを可能にする高度な視覚測位システム「PUDU VSLAM+テクノロジー」を開発して搭載した。これにより、ロボット導入の障壁となる設備の再構築や用地の改造が不要となり、容易に導入が可能となった。既存のワークフローにも迅速かつスムーズに適応できる。また、生産レイアウトの変更にも迅速に適応できる。


卓越した操作性

「PUDU T300」は、60cmの狭いスペースを移動し、2cmの敷居と3.5cmの側溝を越える能力を備えている。
そのため、生産ライン間を簡単に往復でき、確実に供給を行うことができる。


高度なナビゲーションと展開

「PUDU T300」は、レーザーSLAMとビジュアルSLAMの融合により、マッピング設定が容易。また、天井高が最大30メートルの環境に適切に適応する。さらに、地図をリアルタイムで更新することで、一貫した信頼性の高いナビゲーションを実現し、最大200,000平方メートルの空間でも動作することができる。



IoT機能

「PUDU T300」は、自己構成ネットワークにより、アプリを介した電話操作や生産ラインからの資材リクエストに対応する。ゲートへの安全なアクセス、エレベーターの自動昇降も可能。
また、システムの統合を簡単に行うためのソフトウェアAPIインターフェースも提供する。


マルチモーダルインタラクション

高輝度の操作表示灯と交通信号灯のデザインにより、ロボットの位置と走行進路が明確に表示される。
また、従業員の意向や設備に応じてカスタマイズ可能なボタン、リマインダーとしてのアラート音機能も備える。


効率的な充電

「PUDU T300」は、自動再充電と迅速なバッテリー交換機能を備えており、24時間365日の連続稼働が可能。これにより、さまざまな顧客からの需要に対応することができる。


安全性への準拠(「ISO3691-4」準拠)

「PUDU T300」には、無人搬送車や無人搬送システムに適用される国際安全規格「ISO3691-4」に準拠しており、LIDAR、深度カメラ、衝突防止エッジ、安全な操作のための緊急停止ボタンを装備している。


主な仕様


PUDUの創設者兼CEOの張涛氏のコメント

張涛氏

高い生産率を達成し業務効率を向上させるために、継続的に稼働ができる、自動化された柔軟なロボットが必要です。産業界の顧客からも大きな需要があります。製造業者が人材の維持に苦労する中、T300は施設の既存のプロセスとシームレスに統合し、業務を最適化して部門全体のイノベーションを促進することで、迅速に人手不足の穴埋めを実現します

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ロボスタ編集部

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