三井住友海上火災保険株式会社と日本電気株式会社(NEC)は、事故対応業務における顧客や関係者との通話内容を自動で聴き取ってテキスト化し、生成AIによって要約するシステムを開発した。
一部の「保険金お支払センター」において既に先行導入を開始していて、2024年内に三井住友海上の全国のセンターへの導入を目指す。また両社は、最先端の生成AI技術を活用することで、業務プロセスを変革し、生産性向上と新たな提供価値の創造に取り組んでいく考え。
通話内容の書き起こしと要約作業を自動化
三井住友海上では、事故対応業務において、一貫性のあるサービスを提供するため、顧客や事故関係者との通話内容を担当者が経過記録として書き起こし、損害サービスシステム「BRIDGE」に登録している。
一方で、この作業には多くの時間を割いているのが現状だという。顧客に寄り添った迅速かつ丁寧な対応や、事故対応以外の防災・減災取組等の新たな価値提供に向けて、業務の省力化による時間創出が課題となっていた。
今般、NECの音声認識技術と生成AIによる文章要約技術を活用した経過記録業務の自動化の実証で有効性が確認できたため、一部の「保険金お支払センター」での利用を開始した。
NEC独自の音声解析技術と、Microsoft Azure OpenAI Serviceを活用
この「自動でテキスト化し、生成AIによって要約するシステム」には、NEC独自の音声認識技術を活用した「NEC Enhanced Speech Analysis -高性能音声解析-」を利用している。話し手の識別と、事故対応に頻出する専門用語等の学習により、高精度なテキストを作成する。また、要約には「Azure OpenAI Service」を利用しており、テキスト化された通話内容を即座に要約し、担当者が内容を確認した上で「BRIDGE」に登録する。
これにより担当者の書き起こし作業と要約作業が効率化され、創出した時間で顧客対応をより充実させて、事故対応の品質向上につなげる。
今後の展開
三井住友海上は、導入の効果やリスクを検証しながら段階的に導入し、2024年内に全国の「保険金お支払センター」での利用開始を目指す。また、三井住友海上は、NECが顧客とともに生成AIの活用促進を目指す「NEC Generative AI Advanced Customer Program」に参画しており、このプログラムを通じて、より損害保険業界に特化した大規模言語モデル(LLM)の導入等も検討していく。