2024年6月11日、デジタルヒューマンの社会実装を目指す有志企業は「デジタルヒューマン協議会」を通じて「デジタルヒューマンの望ましい活用法に関する意見書」を公開した。NECやデジタルヒューマン株式会社らが参画している。
デジタルヒューマンの利用は、実証実験やプロモーション活動など、多岐にわたる場面で急速に広がっている。これを受けて、デジタルヒューマン協議会は、推奨される活用方法に加え、社会にとって望ましくない使用方法についても今まで議論を行ってきた。
この度、デジタルヒューマンの活用者が社会実装に際して抱えるリスクや不安を軽減するため、これまでの議論を意見書としてまとめた。この意見書が、様々な事業者の創意工夫や技術活用を後押しし、より良い社会の実現に向けたデジタルヒューマンの適切な社会実装を促進する一助となることを期待しているとしている。
2023年4月に「デジタルヒューマン協議会」設立
参画企業のひとつデジタルヒューマン株式会社は、2023年4月に有志企業8社とともにデジタルヒューマンの社会実装を目指す「デジタルヒューマン協議会」を設立(事務局は日本電気株式会社とイーソリューションズ株式会社)。事業者を中心に議論を重ねてきた。2023年10月には、その中間発表として「デジタルヒューマン白書2023」を発行して、デジタルヒューマンの技術的なアウトラインから日本における想定事例を示すことで、デジタルヒューマンに対する理解を深め活用を促進する取り組みを続けている。
AIに使用されるデータの権利や倫理的に望ましくないケースに着目
2024年に入り、映像・音声やAI技術の急速な進歩に伴い、デジタルヒューマンの社会実装が様々なシーンで進展。一方で協議会は、AIに使用されるデータの権利や倫理的に望ましくない使用ケースにも注目してきた。こうしたケースによって生じる懸念や課題を解決し、より良い社会実装を促進するため、望ましい活用目的やデジタルヒューマンのデザイン、ライセンスなどについて議論を重ね、その結果を意見書としてまとめた。
協議会では、事業者が本意見書を通じて適正な形でデジタルヒューマンを活用するための一つの指針となることを期待しているという。これにより、デジタルヒューマンの活用が信頼できるものとなり、人々の生活に溶け込み、安心して活用できる社会の実現につながると考えている。
同社は「今後も引き続きデジタルヒューマン協議会での議論を継続し、より良い社会の実現に向けて活動を進めてまいります」とコメントしている。
https://digitalhumans-council.com/wp-content/uploads/2024/06/Digitalhumans_Opinionpaper_2024.pdf
デジタルヒューマン協議会
この記事を読んだ人におすすめ
- 国産の大規模言語モデル開発のオルツ、デジタルクローンが自律的に仕事や作業をこなしていく「Polloq」(ポロック)を発表
- 【動画】日本初「視覚」を持つデジタルヒューマンを開発 生成AI「GPT-4 Turbo with vision」を活用、人間らしい高度な会話の実現へ
- スタイルファッション誌『GIANNA』の広告をAIが生成したモデルが飾る 生成AIは高精細な広告クリエイティブ業界にも旋風
- 時給約800円!日本独自のデジタルヒューマン型生成AI「Spaike AI」を開発提供開始へ
- 生成AIで日本人っぽい自然な写真画像を作成する機能 「JAPAN AI MARKETING」に実装 ビジネス活用が可能に
- 生成AIでファッション業界向けAIスタッフを提供 AIモデルの顔や体格、服装を自由に変更 会話機能や販売スタッフ機能もセット提供
- ロボットや車両の遠隔制御に活用 NEC、5Gユーザ端末に応じてRANを動的に制御する最適化技術を開発 2025年度内の実用化へ
- NECが「時空間予測」と「ロボット動作生成」のロボットAI技術を開発 「世界モデル」を応用し、不規則に置かれた物にも順応