NTT西日本が自動運転バス車両メーカーの仏 Navya Mobilityへ出資 マクニカも追加出資、自動運転サービスの社会実装を加速

NTT西日本、マクニカは、2024年問題によって懸念されるドライバー不足による路線バスの運行減少等の社会課題の解決を見据え、自動運転車両の仏・Navya Mobilityへの出資に関する契約を締結した。

今回の出資により自動運転サービスの社会実装をさらに加速させ、地方自治体における社会課題の解決に貢献するとしている。

背景

少子高齢化による人手不足や物流・運送業界におけるドライバーの労働時間制限による2024年問題等により、地域交通の維持や運送業におけるドライバー不足などに関する社会課題が深刻化している。それらの社会課題の解決策として、自動運転などのモビリティ技術を活用した持続可能な公共交通・物流の実現が急務な状況である。

また、2023年4月1日に改正道路交通法が施行され、自動運転レベル4での公道走行が許可されるなど、自動運転サービスの社会実装に向けた機運が高まっている。

こうした背景を踏まえNTT西日本グループとマクニカは、2023年8月2日より自動運転分野において事業提携を開始。地方自治体や交通事業者と自動運転の社会実装に向けた取り組みを推進することで、2024年度の国土交通省「地域公共交通確保維持改善事業費補助金 (自動運転社会実装推進事業)」において、10事業以上が採択された。

日本における自動運転の社会実装をさらに推進し、多くの顧客により安心・安全な自動運転サービスを提供するため、国内外で多くの自動運転実証・実装事例を有し、自動運転のキーテクノロジーを有するNavyaへ出資し、自動運転サービスを継続的に供給する体制を整えるとしている。

出資先について

出資先企業 Navya Mobility SAS
代表者 Jean-Claude Bailly
所在地 1 Rue du Docteur Pierre-Fleury Papillon Villeurbanne,(69100) France
事業内容 都市部や郊外向けの15人乗り自動運転EVバス「ARMA」および「EVO」の販売および次世代型自動運転バス開発。私有地内貨物搬送向け自動運転トラクター開発および販売。
出資比率 NTT西日本 29.15%、マクニカ 70.85%

Navya Mobilityは、自動運転ソフトウェア開発、車両実装・運用に専門知識を持つエンジニアを120人以上有する企業。都市部や郊外向けの15人乗り自動運転EVバス「ARMA」および「EVO」は、世界26か国で200台以上の販売実績を誇るリーディングカンパニーである。

2023年5月GAUSSIN SAとマクニカで合弁会社GAUSSIN MACNICA MOBILITY SASを設立し旧Navyaの資産を取得、2024年6月にはGAUSSIN SAが保有する普通株式をマクニカがすべて取得し完全子会社化した。今回マクニカの追加出資にあわせて、NTT西日本が新たに出資することとした。それに伴い新社名を「Navya Mobility SAS」に変更する予定。

なお、両社による出資並びに社名変更につきましては、フランスの法律に従い、CSE承認(労働者代表者機関)、競争法確認並びに当局の許可を経て正式に完了となる。

出資の目的

NTT西日本とマクニカは、自動運転分野における事業提携後、地域交通のスマートモビリティ化に向けた実証実験/本格導入におけるコンサルティング、運行ルート設計、運用センター立ち上げまでトータルサポートするとともに、スマートシティ実現に向けた最適なモデル設計およびネットワーク、充電設備などの関連サービスをワンストップで提供してきた。

Navya Mobilityへの出資を通じて、自動運転車両、自動運転システムの開発力、提供能力を含めたサプライチェーン上流から下流までのトータルでの強化をめざしており、自動運転の社会実装に向けたコンサルティング、構築・実装、保守・運用まで、これまで以上にお客様のニーズに迅速にお応えできるシームレスなスキームを確立していく。

今後の展望

今回の出資を契機に、地域交通維持や2024年問題といった社会課題解決および地方創生の実現に貢献するとともに、政府が実現をめざす2025年度を目途に50か所程度、2027年度には100か所以上で自動運転レベル4の移動サービスの実現に貢献する。

当面は交通課題を抱える複数の地方自治体との協働を通じて、コミュニティバス分野におけるサービス提供に取り組み、将来的には自動運転の車種メニューを拡充していく。

自動運転の社会実装後も、マクニカの技術力とNTT西日本グループの地域密着のコンサルティング・社会実装力をいかし、地方自治体や地域交通事業者等のステークホルダーと綿密なコミュニケーションを図りながら、次世代地域交通システムのさらなる発展を通じ、地方自治体や住民の方々の暮らしを支えていくとしている。


「次世代地域交通システム」でめざす地域創生イメージ

将来的な自動運転事業の展開・拡大にあたっては、自動運転車両、自動運転システム、通信ネットワーク、遠隔監視システム、遠隔監視サービス、現地駆け付けサービスなど、自動運転サービス普及の仕組みをトータルで提供する体制を構築し、医療や行政、小売・物流といった様々なMaaSサービスを実現する基盤を構築していくとのことだ。




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ロボスタ編集部

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