日産の子守り支援ロボットに置き去り事故防止機能「マダイルヨ」追加 INTELLIGENT PUPPETイルヨ

日産は、ドライバーと子どものドライブ中に、後部座席のチャイルドシートに座っている子どもをあやしたり、状態をドライバーに伝える機能を持つ子守り支援ロボット「INTELLIGENT PUPPETイルヨ」(イルヨ)のコンセプトモデルを、2024年1月に赤ちゃん本舗と共同発表した。

「イルヨ」は、その愛くるしい表情や仕草、そして乳児とのドライブ中に起こる様々な困りごとを解決する機能が、多くの顧客から好評を得ているとともに、更なる機能の追加や進化に向けて様々な要望も挙がった。その声に応える形で、日産は、「イルヨ」に子どもの車内置き去り事故を防止する新機能「マダイルヨ」を追加したと発表した。

「マダイルヨ」は、2024年9月15日に日産グローバル本社ギャラリーにてお披露目される。

「子どもの置き去り事故防止機能」の要望が多数寄せられる

ドライバーと子どものみでのドライブ中の安心安全な運転に貢献することを目指して開発された、運転中の子守り支援ロボット「イルヨ」コンセプトモデルは、発表以降、顧客から多くの意見やアイデアが挙がっており、特に「子どもの置き去り事故防止機能」についてのご要望が多数寄せられ、日産はとしても「イルヨ」の新機能について検討を進めていた。

子どもの車内置き去り事故は、ヒューマンエラーにより誰にでも起こりうる重大な問題であり、実際、「5人に1人の保護者が、1年以内に子どもを残してクルマを離れたことがある。」(「三洋貿易株式会社 子どもの車内置き去り実態調査2023」より)との調査結果も発表されている。ゼロ・フェイタリティ(日産車がかかわる交通事故による死亡・重傷者数をゼロにする取り組み)を掲げる日産は、このような状況を受け、子どもの車内置き去り事故の防止、そして車内の事故ゼロを目指して「置き去り事故防止プロジェクト」を立ち上げた。本プロジェクトでは、降車時に後部座席を振り返ることを促す「マダイルヨ」を合言葉に、「後部座席にバッグを置くようにする=”バッグ オン バック“」などの事故防止対策を公式ホームページやSNSにて発信している。

そして「イルヨ」に、子どもの車内置き去り事故を防止する新機能「マダイルヨ」を追加搭載した。

新機能「マダイルヨ」は、まず、後部座席のチャイルドシートに設置した「イルヨ」と保護者のスマートフォンを無線で接続し、その接続の強弱から距離を推定し、「イルヨ」と保護者が離れていないかを検知。さらに、「イルヨ」の表情認識カメラが、車内に子どもが残されているか否かを確認する。


「イルヨ」と保護者のスマートフォンを無線で接続。イルヨの表情認識カメラで、子どもが車内に残されているか否かを検知

「イルヨ」が、保護者と閾値以上離れ、かつ車内に子どもが残っていると認識すると、保護者のスマートフォンに警告通知を送り、子どもの車内置き去りが起きてしまっていることを知らせる、という仕組みとなっている。


イルヨと保護者が閾値以上に離れ、かつ車内に子どもが残っていると認識すると、保護者のスマートフォンに警告通知を送付

日産は、2024年9月15日に、子育てインフルエンサーの木下ゆーきさんと、本プロジェクト監修者の小児科医の坂本昌彦氏を迎えて、新機能「マダイルヨ」のお披露目およびトークイベントを日産本社ギャラリーにて開催するとしている。また同15日と翌16日には、一般に向けたイルヨ体験会も開催する。


プロジェクト監修者・佐久総合病院佐久医療センター 坂本昌彦 氏コメント

子どもは大人より汗をかきにくく、外気温の影響を受けやすいため、体温が上がりやすい体質です。また、環境に合わせて自身で調節することもできません。

そのため暑い環境では熱中症にかかりやすく、その危険が最も高い事象が車内の置き去り事故によるもので、命に関わる問題とされています。

そして車内置き去り事故は、実は誰にでも起こりうるものです。

研究では、ストレスが人の作業記憶に影響を及ぼすことが分かっています。ストレスを抱えていたり日常生活が忙しかったりすることは保護者の記憶に影響を与え、うっかり車内に子どもを置き去りにしてしまうリスクを高めます。

「マダイルヨ」は、車内置き去り事故が「誰にでも起こりうる」ことを前提に、子どもと保護者を繋げる役割を果たします。

「置き去り事故防止プロジェクト」では、「マダイルヨ」を合言葉に、痛ましい事故を限りなく ゼロにする取り組みを推進しています。




ゼロ・フェイタリティに向けた日産の取り組みついて

日産は、今後もクルマと赤ちゃんのいる暮らしをサポートするとともに、「置き去り事故防止プロジェクト」や、従来より実施している「#熱駐症ゼロプロジェクト(気温が高い日の事故を防ぐ)」などの取り組みを推進し、クルマに関わる事故ゼロを目指すとしている。

車内置き去り事故防止プロジェクト

「マダイルヨ」の機能追加のほか、「マダイルヨ」を合言葉とした置き去り事故防止対策を公式サイトやSNSを通じて発信していく。

#熱駐症ゼロプロジェクト

気温35℃の猛暑日なら、車内の温度は70℃を超えることもあるほど、気温が高い日の駐車場の車内温度は急激に高くなり、少しの時間でも、車内に残された子どもやペットは大きな危険にさらされる。それが、「#熱駐症」。日産は様々なアクションを通じて熱駐症ゼロを目指している。


「イルヨ」について




名称 INTELLIGENT PUPPET イルヨ
各ロボットの名称 「イルヨ」(後部座席に設置)
「ベビー イルヨ」(運転席横のドリンクホルダーに設置)
機能 1:「ここにいるよ」、「いないいない、ばぁ」、「こっちだよ」、「お歌を歌うよ」の4つのウェイクワードを「ベビー イルヨ」が音声認識。それぞれのウェイクワードに合わせて「イルヨ」が作動し、チャイルドシートに座っている赤ちゃんをあやす。

2:「イルヨ」がチャイルドシートに座る赤ちゃんの表情の変化をカメラで検知。赤ちゃんの目の開閉を感知することで「ベビー イルヨ」も目を開閉。運転席のドライバーに、赤ちゃんが寝ているか起きているかを知らせる

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ロボスタ編集部

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