Thinkerは、カメラを用いることなく、赤外線とAIを組み合わせた独自の高速・高分解能なセンシングを使い、モノの位置と形を高速に把握できる「近接覚センサー」で知られるベンチャー企業。「近接覚」は視覚や触覚に頼らずにモノの存在をとらえる、人間にはない認知方法とされている。
Thinkerは2024年9月20日まで東京ビッグサイトで開催されている「Japan Robot Week 2024」に出展し、カワダロボティクスの人型ロボットを使って、同社の「近接覚センサー」と次世代型ロボットハンド技術のデモを公開した。
「Japan Robot Week 2024」での「近接覚センサー」デモの内容
同社はカワダロボティクスの人型ロボット「NEXTAGE」を使い、ビニール袋に名刺大のカードを挿入し、バラ積みされた小さなネジを手探りで掴んでビニール袋(OPPシート)に挿入するデモを公開した。
このデモはカメラを使用せず、手探りで行なっている。「NEXTAGE」の右手に装着しているのがThinkerのフローティング機構搭載のロボットハンド「Thinke Hand F」で、指の根元に内蔵された「近接覚センサー」が把持する作業をセンシングしている。3次元的に動く指の動きを近接覚センサーが検知し、指からの情報に抗わずに沿わせるようにして、AIは指を通じて伝わるチカラの大きさや方向の情報から、把持しているものを判断する。
■ Thinkerが近接覚センターを人型ロボットでデモ Japan Robot Weeek 2024
Thinkerの「近接覚センサー」は、従来ロボットが把持することが苦手とされてきた、薄く繊細な成型物(せんべいやクッキー、薄型の樹脂成型品等)や、透明なビニールシートやクリアプラスチックなども把持することが可能となるピッキングの自動化や次世代型ロボットハンドに重要な技術。今月、設立2年で資金調達が累計6.8億円に到達したことを発表している。
【参考】Thinkerの公式YouTubeにもこの展示の動画が投稿
■【初出展】近接覚センサーで「手探り」キッティングする双腕ロボット
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。