現代科学でビーム・サーベルは実現できる?ハロが乗った多脚型ロボットの操縦体験、横浜ガンダムの手でジャンケン「GUNDAM NEXT FUTURE SCIENCE展」内覧会レポート

ビーム・サーベルって将来は実現する? 今の技術で作れるの?
ガンダリウム合金を今の技術で作るとすれば?
巨大ロボットってどうやって作られているの?
ロボットの操縦って難しいの?

特別展「GUNDAM NEXT FUTURE SCIENCE展~未来の豊かな暮らしのために~」のエントランス。この先に宇宙時代に向けた未来が展示されています。©創通・サンライズ ©創通・サンライズ・MBS

TVアニメーション『機動戦士ガンダム』シリーズを見て、未来の社会や科学技術に想いを馳せた人も少なくないですよね。宇宙時代に突入する今、アニメの中で登場した科学技術は本当に実現するのか、無理なのか、そんな疑問がたくさん浮かんできます。

なんと「SR-02」のような多脚ロボットに乗ったハロ「BALGOI」がいます!しかも、操縦できるんです。かわいい。動作するシステムは、「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」(GFY)の動くガンダム(通称:横浜ガンダム)と同じ、アスラテックの「V-Sido」が使われています。

「現代科学でビーム・サーベルは実現できる?」このガンダムが持っているビーム・サーベルの中には実際にプラズマが流れています

東京の科学技術館(北の丸公園)では、アニメの機動戦士ガンダムの世界を、現在や将来の技術に置き換えて、どこまで実現しそうかを、見て操作して体験することができる特別展「GUNDAM NEXT FUTURE SCIENCE展~未来の豊かな暮らしのために~」が開催されます。
開催期間は2024年10月3日(木)から10月22日(火)まで。開催前日となる10月2日に内覧会がおこなわれたので、ロボスタ編集部も早速、体験してきました。

GFYで私達を魅了した全高18メートルの横浜ガンダムの手(現物)が、精巧に動く状態で展示されています。手前に操作できるデバイスが見えますね。右手と左手がジャンケンしたところです、パーの勝ち。






見どころ紹介

会場は3つのエリアで構成されています。駆け足で回ったらもったいない。興味深い研究や科学技術の数々が展示されているのですから、パネルを読んだり、(触っていい展示物には)触ったり、操縦してみたり、じっくりと最新の科学技術に触れながら進むのがお勧めです。

3つのエリアとは「Space Age of Technology ~宇宙時代へとつながるテクノロジー~」「The Possibility of MS(モビルスーツ) ~汎用人型ロボットの可能性~」「Innovation of Future Lifestyle  ~未来のライフスタイル~」です。


宇宙時代へとつながるテクノロジーを見てみよう

「Space Age of Technology ~宇宙時代へとつながるテクノロジー~」では、人類が宇宙で活動・生活するためにはどんな課題があるのか、実際に進行しているいくつかの「宇宙開発プロジェクト」を「空間」「環境」「技術」の視点から見ることができます。


宇宙空間における物体の慣性を体験できる展示

今、問題視されている宇宙デブリ(宇宙ゴミ)。直径10cm以上のデブリは約1万個、もっと小さいデブリを合わせると約50万個、しかも、それらは秒速10kmのスピードで宇宙を飛んでいて、弾丸より速いそうです。これらのデブリが今後、人類が宇宙に出て行くゲートウェイに飛んでいることを考えるととても危険な存在ということになります。

東京理科大学のチームが宇宙デブリを回収するシミュレータを展示

巨大なビーム・サーベルの持ち手が目に飛び込んできて、いきなりガンダムの世界観に引き込まれます。なんとGFYの横浜ガンダムの肩の上に見えていた現物の持ち手です、でかい! 後ろのパネルには「現代科学でビーム・サーベルは実現できるか」と書かれています


更に進むと、現代科学で実現するのに最も着目すべきはプラズマとあり、プラズマに焦点をあてた解説や展示を見ることができます。このガンダムの模型、手にはビーム・サーベルが握られていますが、このビーム・サーベルには前述のように実際のプラズマが流れています。



宇宙での食。月や火星にビニールハウスが建てられ、野菜たちが栽培されているシーンが、いろいろなSF映画やアニメで描かれています。『機動戦士ガンダム 水星の魔女』でも農園のシーンが登場しますよね。「ビーム・サーベル」に着想される科学技術とプラズマを農業に応用した「プラズマ農業プロジェクト」が紹介されています。


ビーム・サーベルは武器ですが、こちらはプラズマを農業に応用した科学研究です

「ガンダリウム合金はどうやって作る?」そんな興味深いテーマ展示がこちら。現代科学の素材で代用を試みて作った『機動戦士ガンダムUCの宇宙憲章』が展示されているのでお見逃しなく。



モビルスーツや汎用人型ロボットの可能性

ガンダムの世界で描かれているモビルスーツは、私達にとって夢であり憧れでした。そんな夢の巨大ロボットを「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」(GFY)は、実際に私達の目の前で現実にしてくれました(GFYは終了しています)。今回の「GUNDAM NEXT FUTURE SCIENCE展」では、ある意味、その先の世界を科学技術の視点から見せてくれて、具体的に考えて学ぶ機会を与えてくれます。


2種類の多脚型ロボットを操縦してみよう

操縦や体験が大好き、という読者にお勧めなのがこのゾーン。V-Sidoで動作している、2つの多脚型ロボットを操縦することができます。

ひとつはどこでも行ける「Super active suspention 4WD」(SAS4WD)。

悪路も走破できる多脚型ロボット「SAS4WD」をジョイスティックで操作する体験ができます。かっこいい!

ん? ボディや顔をよく見ると・・懐中電灯? 懐中電灯のスイッチがロボットのON/OFFスイッチです。実は、V-Sidoの生みの親、アスラテックの吉崎航氏による手作り感満載の作品です

そして、もうひとつが「SR-02」風の多脚型ロボットに乗ったハロ!仕事ができるハロ型ロボット「BALGOI」。こちらもアスラテックの吉崎航氏が開発しました。同じくV-Sidoなので同じジョイスティック操作で同様の操縦体験ができます。


操縦すると、更により可愛く感じますよ。操作体験してみてください。


すごく複雑な動きができるのに操作は簡単・・


えっ!? ハロが多脚ロボットから浮き上がった? そうなんです。後ろでハロを支えている首というかハンドがビョーンと伸びて、ハロが高く浮き上がります。必見です。


会場でぜひ体験してみてください。欲しくなりますよ(笑)。



『SR-02』がやってくる

4人乗りの4足歩行型ライド『SR-02』の展示コーナー。『SR-02』はこの日はパネルと映像展示のみでしたが、10月10日(木)~10月14日(月)には実物が静態展示されます。このうち12~14日(3連休)は搭乗体験もできます(抽選)。


『SR-02』のロボット制御システムも、横浜ガンダムと同じ「V-Sido」です。『SR-02』のデザインは天神英貴氏が担当。今回展示の『SR-02』は新しいデザインになって登場するということで、新デザインの『SR-02』を見てみたいですね。

3連休は搭乗体験できる4足歩行型ライド『SR-02』。新デザインになってやってくる(この画像は従来のデザインです) ©三精テクノロジーズ


横浜ガンダムの巨大な手でジャンケン対決

ホールには横浜ガンダムの巨大な手が展示されています。指の関節すべてにサーボモーターが入っていて、こんな大きいのに連動してスムーズに動くのでびっくりします。もちろん横浜ガンダムと同じ「V-Sido」で動作しています。


手前に置かれているデバイスを操作して、右手と左手でジャンケンをすることができます。







他にもガンダムの世界観が楽しめる展示がたくさん

他にもガンダムの世界観が楽しめる展示や科学技術の紹介がたくさん展示されているので、会場で見て、感じてください。




また、講座(特別体験プログラム)も「未来の金属ってどんな風になるんだろう? モビルスーツガンダムの材料、ガンダリウム合金について」や「モビルスーツを作る未来について ~モビルスーツ実現のカギは材料? それともAI?~」「巨大ロボットのつくり方 ~モビルスーツの実現を目指して」「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA “動くガンダム”のデザインについて」など興味深い内容のテーマがメジロ押し。スケジュールを確認してみてください(講座のスケジュールはこちら)。

関連記事「『機動戦士ガンダム』の壮大な世界観と未来を体感する特別展「GUNDAM NEXT FUTURE SCIENCE展」10月に開催

©創通・サンライズ ©創通・サンライズ・MBS ©三精テクノロジーズ

ABOUT THE AUTHOR / 

神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

PR

連載・コラム