搭乗型ロボット「アーカックス」が走行デモを初披露、4足歩行ライド「SR-02」に「ねこずきん」搭乗!動くガンダムGFY横浜に大集結の日

一部の巨大ロボット・ファンにとって、先週末は忘れられない日になったことだろう。
GUNDAM FACTORY YOKOHAMA(GFY)に実物大「動くガンダム」と搭乗型ロボット「アーカックス」、4足歩行型ライド「SR-02」が勢揃いした。話題の巨大ロボット3機が勢揃いするのはこれが初めてのことだ。

動くガンダムを挟むように、左に「アーカックス」(ARCHAX)、右に「SR-02」のデモコーナーが配置されていた ©創通・サンライズ ©ツバメインダストリ ©三精テクノロジーズ

ここでの主役はもちろんガンダム。海外からのインバウンド観光客もたくさん訪れている。 ©創通・サンライズ

しかし、この週末だけは少し雰囲気が違った。ガンダムファンの来場者なら他の2体のロボットに興味を抱かないわけがない!? ©創通・サンライズ ©ツバメインダストリ

「アーカックス」は全高4.5メートル、重量3.5トンとなっており、フル電動駆動で本体にバッテリーを搭載。ビークルモードとロボットモードに変形できる。ツバメインダストリ社製。 ©ツバメインダストリ

「SR-02」も大人気。現在開発されているプロトタイプ機は、全長約3.4メートル、全幅約1.6メートル、全高約2.7メートル。4人が搭乗した状態での歩行移動が可能なロボット。今回は一般の方の搭乗はなし。  ©創通・サンライズ ©三精テクノロジーズ


搭乗型ロボット「アーカックス」、前進/後退の移動を初お披露目

動くガンダム開発プロジェクト「ガンダム GLOBAL CHALLENGE」のテクニカルディレクターの石井氏が携わるツバメインダストリ社製・搭乗型ロボット「アーカックス」。富裕層に向けて販売される「所有できる巨大ロボット」だ。 

 動くガンダムとアーカックスのツーショット。アーカックスも単体で見るとかなり大きく感じるが、18mの動くガンダムと並ぶと、動くガンダムの巨大さを改めて感じる。©創通・サンライズ ©ツバメインダストリ

この日は石井氏が直々にアーカックスについて解説。動きのデモとともに、前進と後進の移動デモが初めて行われた。もちろん筆者もアーカックスが移動するところを初めて見ることができた。

動くガンダムの横で、石井氏の解説付きでアーカックスのデモが見られる贅沢な時間。 ©創通・サンライズ ©ツバメインダストリ

特に石井氏がアーカックスには産業建機などの技術や安全性が効果的に盛り込まれていること、ビークルモードからロボットモードへの変形に伴って、ドライバーの座席位置などが自動的に調整されることなどが紹介されると、周囲から「なるほど」「すごいな」と感心する声が上がっていた。

ツバメインダストリ株式会社 CTO 石井啓範氏。アーカックスと同じポーズを取ってもらった。©️ツバメインダストリ

実はこのときガンダムも同じポーズとってます!!

横浜の街をバックにした「アーカックス」。美しいデザインが映える


なお、「アーカックス」は2023年12月24日(日)までGFYに展示されている。下記の動画は17日のデモの一部抜粋版。まだ「アーカックス」やデモを見ていない人は、実際に実物を直に見る機会を見逃したくないところだ。

■身長4mの搭乗型ロボット「アーカックス」をGFYで展示デモ 走行を初めて公開




4足歩行型ライド「SR-02」の歩行デモ

三精テクノロジーズ社製の4足歩行型ライド「SR-02」は、「ガンダム GLOBAL CHALLENGE」のシステムディレクターの吉崎氏が携わるプロダクト。

足を畳んだ状態(しゃがんだ状態)の「SR-02」と動くガンダムのツーショット。©創通・サンライズ ©三精テクノロジーズ

動くガンダムに搭載されているロボット制御システム「V-sido」(ブシドー)は、吉崎氏が中心になって開発しているが、「SR-02」にも同じく「V-sido」が搭載され、滑らかにスムーズに動作している。

ガンダムがSR-02に乗ってる? いえいえ、目の錯覚です。 ©創通・サンライズ ©三精テクノロジーズ

「ねこずきん」ちゃんと動くガンダムを乗せて、「SR-02」出撃!! ・・・目の錯覚です。 ©創通・サンライズ ©三精テクノロジーズ

吉崎氏は4足歩行についての解説では、歩行と言ってもいいろな種類があり、すり足や足を上げての歩行など、それぞれ長所短所について解説があり、観客は熱心に耳を傾けていた。また、このような歩行方法をとる生物はいない、というSR-02独特の歩行方法のデモも披露された。

■四足歩行ライド「SR-02」がGundam Factory Yokohamaを歩く

最初は摺り足、10秒あたりからが円歩(下記のデモ動画も参照)の脚上げ歩行をおこなっている。提供:吉崎航氏

なお、石井氏、吉崎氏ともに、ロボットのデモの後で、観客からの質問も受け、ひとつひとつ丁寧に回答している姿がとても印象的だった。


パイロットとして「ねこずきん」ちゃんが搭乗

実はこの日、もう1基、V-sidoで動作している可愛いロボットが会場に来ていた。


「ねこずきん」ちゃんだ。「ねこずきん」ちゃんは「SR-02」のパイロットとして搭乗。観覧に集まった人たちに手を振ったり、笑顔を振りまき、なごませていた。ちなみに自律機能と遠隔操作機能の両方を備え、この日は自律機能で動作していた。

SR-02に乗った「ねこずきん」ちゃんと動くガンダムのツーショット  ©創通・サンライズ ©三精テクノロジーズ


「ねこずきん」ちゃんは子どもにも大人気。特に女の子に人気で、「ねこずきん」の顔を見て手を振ったり、手を振り返してもらったことを嬉しそうに両親に報告している光景も見られた。

運転席では見えなかったが、ねこずきんちゃんはちゃんと脚も可動する。しかも、従来のけものフレンズの「アライさんロボ」から進化して、よりリアルに動くという(吉崎氏談)。

「SR-02」は、歩行(前進/後退/右左折)をはじめ、人が乗降するための屈伸動作、ローリング、ピッチングなどさまざまな動きが可能となっており、アミューズメント施設やレジャー施設、イベント会場での展示およびデモンストレーションなどへの活用を想定している。

©創通・サンライズ ©三精テクノロジーズ

なお、GFYでの「SR-02」は、12月16日と17日の2日間だけの展示となる。この後は福岡モビリティショーで展示されるので、九州とその近辺の人は実際にSR-02を見るチャンスだ。(関連記事「福岡モーターショーが「福岡モビリティショー」に進化してやってくる!見どころ紹介 次世代モビリティ展示・試乗・アトラクションも」)

動くガンダム、SR-02、変形マクロスロボ、ねこずきんやけものフレンズの握手会ロボなど、多くの話題作品を手がける、GGCのシステムディレクターの吉崎航氏。©創通・サンライズ ©三精テクノロジーズ

■4足歩行ロボット「SR-02」 GFYで展示デモ

また、上の吉崎氏のデモ動画でも確認できるが、脚を上げて歩く歩行はある程度の傾斜や不整地に対応できるという。特に、「SR-02」をイベント会場に運ぶ際に、スロープを使って自力でトラックに乗り込めるのは、とても作業効率が良いという。その動画こちら。

■スロープを上り、自分のトラックに乗り込む四足歩行ライド「SR-02」

提供:吉崎航氏




GGCメンバー達の次なる挑戦へ

今回は、動くガンダム開発プロジェクト「ガンダム GLOBAL CHALLENGE」(GGC)に参加したディレクターの次なるチャレンジを紹介するために企画された。前述のようにGGCのテクニカルディレクターを努める石井氏が携わるツバメインダストリ社製・搭乗型ロボット「アーカックス」を2023年12月16日〜24日に、システムディレクターの吉崎氏が携わる三精テクノロジーズ社製・4足歩行型ライド「SR-02」を2023年12月16日・17日限定で展示した。

©創通・サンライズ ©ツバメインダストリ

©創通・サンライズ ©三精テクノロジーズ

そのため、動くガンダム、アーカックス、SR-02の3機が揃うのはこの週末限り。巨大ロボットファンにとっては、忘れられない貴重な記念すべき週末になったことだろう。

なお、既報の通り、「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」は2024年3月末日を持って終了することが決定している。

ガンダムは通常の演出の他に、期間限定で、劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の公開直前を記念し「ガンダムSEEDシリーズ」の楽曲を起用したイルミネーション演出も行われている。演出が始まると多くの観客がカメラを向け、ガンダムやレーザー光の動きやきらめく輝きに合わせて歓声を上げる人たちもいた。©創通・サンライズ

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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