
いよいよ「動く実物大ガンダム」で知られる「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」(GFY)も2024年3月31日をもってフィナーレを迎える・・・GFYでは多くの連携イベントを開催してきましたが、いくつ覚えていますか?
ガンダムメタバースプロジェクトと映像展開を盛り上げるため、ガンダム総合イベント「GUNDAM NEXT FUTURE -EAST/WEST/DIGITAL-」が開催され、それに伴って10月6日に開かれた報道発表会において、「動く実物大ガンダム」で知られる「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」(GFY)運営報告も行われた。
854日間営業し、約130万人が来場
運営報告にはEvolving G 代表の佐々木社長とGGCテクニカルディレクター 石井氏がそれぞれ登壇し、来場者数などの報告をおこなった。
佐々木氏は、新型コロナウイルスなどの影響もあり、展示期間が延長されたが、オープンから2023年10月5日(木)まで854日間営業し、約130万人が来場したことを発表した。また、最近の海外旅行者の増加に伴い、32万9千人が海外からの旅行者となっている。
展示演出のバックストーリーとして、ガンダムの「起動実験の演出」や「格納演出」に加え、「特別演出」も行われてきた。「起動実験の演出」が7811回、「格納演出」が7731回、季節やキャンペーンによって趣向を変えた「特別演出」は全14種にのぼり、特別演出の「起動」は294回、格納374回となった。
小中学生を対象にガンダムを体感し、しくみを知る「エディケーショナルサポート」
また、GFYでは展示演出だけでなく、小中学生を対象に「エディケーショナルサポート」と名付けた体験型教育イベントも実施されてきた。佐々木氏は「物作りの興味を持っていただくということを目的に、実物大の動くガンダムを小中学生の皆さんに見てもらって、その仕組みを知って体感するプログラムを開催し、2023年9月の時点で76校、5487名の児童、444名の教員(引率)の方に参加いただきました」と語った。
多数の連携イベントを開催、その軌跡を一挙に紹介
その他にも多くの連携イベントが開催された。
佐々木氏が印象に残ったイベントとして「神奈川県警の山岳救助隊の方々に、実際の訓練を動くガンダムの前で行っていただいたこと。ガンダムの世界観の中でも、もしかしたらこんなことがあるんじゃないかな、と想像したりして非常に印象に残ってます」とした。
「もうひとつは、小中学生を対象にガンダムとのジャンケン大会を行いました。このイベントも盛り上がって印象に残っています。横浜の花火と連携した演出もYouTube動画で配信したことも良い思い出」と語った。
この後は、来年1月に公開予定の劇場版「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」と連携して、作品の楽曲を使った特別演出を予定していることを明らかにした。
全高18mの動くガンダムを目の前で約130万人が目撃したことが最大の成果(石井氏)
続いて登壇した石井はこれまでのGYFの成果を振り返って、「まずは何よりも、全高18mのガンダムが目の前で実際に動くことを、約130万人という非常に多くの方に体験していただいたことが1番の大きな成果」と語った。
石井氏は、実現するまでの課題と苦労をまとめた動画を紹介。最も大きな工夫として、18mの巨大なガンダムを転倒させないために「Gキャリア」という台車を採用したこと(腰のあたりでガンダムが倒れないようにボディを支える機構)を紹介した。
人間のように滑らかに全身が細部に同時に動く(吉崎氏)
動画には動くガンダムの開発を主にソフトウェア面で支えた吉崎航氏も登場し、「ガンダムが安全な範囲で多彩な動きを実現するかを事前に何度もシミュレーションを繰り返しながら、人間のように滑らかに全身が細部に同時に動くようにシステムを開発」したことを語った。また「ガンダムは顔で表情を表すことができないので、手の平の動きで表情を表現するようにつとめた」と続けた。
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立像と動くガンダムとは大きく違う(川原氏)
同じく動画に登場したクリエイティブディレクターの川原氏は「2009年にお台場のガンダム立像を作りましたが、その時はただ立っているだけのデザインでよかったのですが、今回はこの巨大なガンダムを動かすために様々なデザインのバランスを変える必要がありました。例えば、手足の長さを変えたりとか、動くために手首や足首をはじめとして軽く作らなければならない、など素材の研究にも気を配った」とし、アニメのイメージを維持しながらも、現実的に巨体を動かすためにはデザインの変更も必要だったことを苦労談として話した。
石井氏は今後の目標を聞かれ「究極の目標は自立して操縦できる実物大ガンダムを作ること。今回の動くガンダムはそのひとつのステップだと思っています」と語り、「エディケーショナルサポートなどを通して、子ども達が動くガンダムに興味を持ってくれたことがとても嬉しい」と続けた。
いよいよ、GYFのフィナーレまでカウントダウンに入る。一人でも多くの人が、動く巨大なガンダムの感動を共有して欲しい、とロボスタ編集部部でも感じている。
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神崎 洋治
神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。