【動画】テムザックが16本脚の多脚ロボットを開発 スパイ映画みたい、何にどう使う?

テムザックは、管路等を走行して点検や補修などの作業を実施する多脚式ロボット『SPD-X』を開発した。

同社が開発した下水道管点検ロボット『SPD1』と比較して、堆積物や段差乗り越えなどの走行安定性が大きく向上するとともに、多様な管径、管種に対応し下水道管以外の狭小部や、人が立ち入る事が出来ない危険な場所での走行にも適用することができるとしており『SPD-X』の走行方式については特許も取得している。



脚式構造を見直し走破性を大きく向上

多脚式ロボット『SPD-X』は、下水道点検を目的として2022年に開発した『SPD1』から、脚式構造を見直し走破性を大きく向上。『SPD1』は8本脚だったが、今回開発した『SPD-X』も同様の8本脚を2段構成とした計16脚の配置としたことで、細長い管路の中で安定して走行することができる。開発にあたっては、3Dシミュレータを活用した管内堆積物や障害物への対応制御を行ったうえで、実際に土などの堆積物や段差を乗り越えるテストを重ねてきた。

『SPD1』は発表後、当初想定していた下水道以外の業界からも幅広く注目された。管径の大小対応や堆積物・水流への対応、点検のみならず管内での各種作業が行えるロボットなど、多くの開発要望が寄せられている。『SPD-X』をそれらに対応していくベースロボットと位置づけ、今後さらに社会インフラや建設業界などのニーズに応えていく。



テムザックは、今後も「人が入れない場所」「人が行うと危険な作業」「機械・装置を動作させるのが困難な環境」に対応でき、かつ高度な作業を実現するロボットの開発に取り組むことで、人手不足対応・危険作業回避の実現を目指している。


上部からみたSPD-X

3Dシミュレータによる走破性確認(堆積物がある管路をシミュレータ上で配置し、堆積物の乗越え可否を確認している様子)

諸元

SPD-X
サイズ 18 x 18 x 50 cm
重量 9.1kg
移動速度 0.3km/h
防水 対応
走行可能場所 管路φ200 mm~(脚の変更等によりさらに拡張可)、平地
走破能力 堆積物(土など)、段差(継ぎ目のズレなど)
作業部機能 カメラ(性能)
【360度カメラ】 1230万画素、360°全方位、220°パノラマ
操作 ゲーミングパッドによる遠隔操作


SPD1(2022年発表)
サイズ 基本仕様 21 x 25 x 25 cm
(カメラ付き 21 x 25 x 28 cm)
重量 約3.5kg
移動速度 0.3km/h
防水
走行可能場所 管路φ200mm / 300mm
走破能力
作業部機能 カメラ(性能)
【上部カメラ】 画角:水平62.2°×垂直48.8°
【360度カメラ】 画角:220°(全周)
操作 ゲーミングパッドによる遠隔操作


テムザックが考える基本形態(ベースロボット)について


テムザックは創業25年を迎えた。長きにわたりさまざまな業界に向けて多様なロボットを開発するなかで、数多くの移動機構と当社ならではの複雑かつ高度な作業部を開発しており、その経験・ノウハウを活かし、特定の業界・用途に限定せずに移動部に求められる機能を共通化するとともに、様々な作業部と組み合わせ、連動して動作するインタフェースを有するベースロボット群のラインナップ化をめざすとしている。

関連サイト
株式会社テムザック

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ロボスタ編集部

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