戸田建設が小型自律搬送ロボット「カチャカプロ」導入 採用した理由・活用方法・導入効果を公表
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Preferred Roboticsは、同社が開発・提供している小型自律搬送ロボット「カチャカプロ」が、戸田建設の新本社ビルに導入されたことを明らかにした。
戸田建設の取り組み:搬送ロボットを活用したオフィスDX
スマートオフィスを開発する戸田建設は、2024年11月に開業した新本社ビルに様々なIoTシステムやロボットを導入している。
自律搬送ロボット「カチャカプロ」もこの新本社ビルに導入され、使用済みのドリンクカップの回収を自動化するために活用されている。「カチャカプロ」の導入背景、活用方法、得られた効果について戸田建設 ICT統轄部 DX推進室の田村氏に聞いた。
カチャカプロ導入の背景:オフィスのスマート化と業務効率の向上
カチャカプロは戸田建設の新本社ビルの8階で利用されている。
このフロアは、十数か所の会議室と数名のスタッフが勤務するカフェが併設されており、カフェではドリンクや軽食の対面販売、会議室へのドリンク配送をサービスとして提供している。
しかし、新オフィスは面積が大きいため、カフェスタッフには業務負荷が集中し、特に会議室へのドリンク配送や使用済みカップ回収の効率化が課題となっていた。
カチャカプロ導入の決め手:複数の棚搬送・低価格・API公開 等
そのような背景からカチャカプロに興味を持ち、ショールームで実機デモと説明を聞き、導入を決定。導入にあたって、特に評価したポイントは下記の通り。
複数の棚を効率的に運用できる点:カチャカプロは棚と分離・結合が可能なドッキング機構を備えており、単機でも複数の棚を効率的に移動させ、多様な役割を果たすことが可能な点。
APIによる柔軟なシステム連携:APIが公開されており、内製でスマートオフィス向けの既存システムやIoTデバイスと簡単に連携可能な点。
広大な環境でも安定稼働:測定距離12mのLiDARが搭載されており、大規模な新オフィスでも、安定的に稼働できる点。
高い安全性:障害物はもちろん、動いている人もぶつからずに回避できる点。
低価格:上記のようなスペックを持つ他の搬送ロボットは、価格が数百万円程度というのが一般的ですが、カチャカプロについては100万円以下で購入できる点。
活用方法
カチャカプロでカップ置き場から使用済みカップを回収して戻る工程を自動化した。
1:【カフェから出発】
カフェスタッフがボタンを押し、カチャカプロが起動。カフェに置いてある空の棚にドッキングし、移動を開始。
2:【片道約70mの距離を移動】
カップ置き場まで、人や什器にぶつからずに、約70mの距離を自律搬送。
3:【カップ置き場で棚を交換】
ドッキング・アンドッキング機能を活用し、カップ置き場に空の棚を設置。代わりに、使用済みのカップが置かれた棚を回収。
4:【カフェに戻る】
使用済みカップが置かれた棚を搬送し、カフェまで戻る。
ちなみに、カチャカプロへの移動指示は、ソラコム社のIoTボタンとカチャカAPIを活用し、プログラムに関しては内製。これによって、カフェスタッフがボタンを1回押すだけで、上記の一連の動作を実現している。
導入効果: DXを支える自律搬送ロボット AMR “カチャカプロ”
1:1日2kmの移動を代替。カフェ運営業務に集中できるように
使用済みカップの回収をカチャカプロが代替することで、本来カフェスタッフが行うはずだった往復約2km/日の移動が削減。カフェスタッフは、バリスタ業務や、お客様対応に集中できるようになった。
2:オフィスの美観維持への貢献
当初、小型のゴミ箱をフロアに複数設置することも検討したが、この場合使用済みカップが溢れてしまう懸念があった。カチャカプロが使用済みカップの回収を担うことで、余分なゴミ箱を設置する必要がなくなり懸念も解消された。
3:スマートオフィスの取り組みをPR
8階のフロアには1日に多くの来客者が訪れる。カチャカプロが稼働する様子は来客者にも喜んでもらっており、特にカチャカプロが棚とドッキングする(カチャカプロが棚に載せる)様子や、他の移動ロボットにもぶつからず、すれ違うタイミングは驚いているとのことだ。
今後の展望:エレベータと連携し、館内配送をカチャカプロで自動化
カチャカプロのAPIは非常に充実しているため、やりたいことの多くが実現できる。今後はこのAPIをフル活用して、カチャカプロとエレベータを連携して、郵便物や書類の運搬に利用したいと考えているとのことだ。
エレベータと連携し、館内搬送を自動化:エレベータとカチャカプロを連携させ、複数フロア間の館内搬送を自動化。
データ活用による業務改善:搬送ロボットの運行データをもとに、業務フローを最適化し、新たな付加価値を提供。
顧客向けスマートオフィスソリューションの提供:自社で成功した事例をもとに、顧客企業へのスマートオフィス構築サービスを展開する予定。
DX時代を支えるオフィス用搬送ロボット
カチャカプロは、工場や飲食店、医療施設だけでなく、オフィスでも多数活用されている。オフィスのスマート化や業務効率化、DX推進を検討されている企業は「カチャカプロ」の導入を検討するのはいかがだろうか。
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