ホンダ「着座型ハンズフリーパーソナルモビリティ UNI-ONE」をビル清掃業務と配送業務に活用、実用性の検証結果を公表 日鉄興和不動産と品川インターシティ

日鉄興和不動産株式会社と、品川インターシティマネジメント株式会社は、本田技研工業株式会社の「着座型ハンズフリーパーソナルモビリティ『UNI-ONE』を用いたオフィスビル管理業務の改善に向けた運用実証」をおこなった。品川インターシティにおいて「清掃業務」と「配送業務」をおこない、「UNI-ONE」を使用した場合の効果を検証、その結果を公表した。

『UNI-ONE』での「清掃業務」の例

『UNI-ONE』での「配送業務」の例(台車を押すケースと配送バッグを使用するケース)

「清掃業務」では、業務の一部を「UNI-ONE」に乗ったまま行うことで、同エリアにおける清掃時間を約25%削減、1日当たりの歩数は40%削減できることがわかった。また、車椅子のスタッフにとっても有効なことがわかった。


「配送業務」では、1回(約1時間)当たりの歩数を約80%削減できることがわかった。なお、どちらの業務にも有効に活用するためには専用の器具等の必要性も明確になった。





清掃業務と物流業務に『UNI-ONE』は有効か?

この運用実証は、Hondaが開発した着座型ハンズフリーパーソナルモビリティ『UNI-ONE』にスタッフが乗り、オフィスビル内での清掃業務と、物流業務を対象に、従業員の身体的や心理的な負担の軽減を検証した。
オフィスビル管理業務における労働生産性の向上や多様な人材の活躍を目指すもの。

清掃業務では、主に外構部や移動距離の長い業務において、「UNI-ONE」の運用方法を確認し、その効率性と疲労軽減への効果を測定した。また、多様な人材の活躍を企図し、車いすユーザーによる清掃業務の実施検証も行なった。

車椅子から「UNI-ONE」への移乗の様子。車いすからのUNI-ONEへの乗り換えはスムーズに可能だった

物流業務では、店舗テナント向けの配送業務におけるUNI-ONEの運用方法を確認し、その効率性と疲労軽減への効果を検証した。


清掃業務

・株式会社テラモトの協力のもと、「UNI-ONE」に合わせた清掃用具を使用することで、清掃業務の一部をUNI-ONEに搭乗したまま実施できることを確認した。
・清掃業務の一部をUNI-ONEに搭乗して行うことで、同エリアにおける清掃時間を約25%削減し、1日当たりの歩数を40%削減した。
・車いすユーザーによる清掃業務の実施検証では、清掃員の指導の下で実際の清掃業務を実施し、通常の清掃業務を実施できることを確認した。
※今回、清掃業務の一部とは、外構および屋内共用部における掃き掃除およびモップによる拭き掃除のことを指す。




物流業務

・配送業務については「UNI-ONE」に搭乗したまま台車を押し、オフィスのバックヤードに設置されている鉄扉を開閉することが難しいことがわかった。また、配送バッグを用いることで店舗テナント向けの小物の配送が可能であることを確認した。

(再掲)

・UNI-ONEに搭乗したまま配送業務を実施した場合、配送業務1回(約1時間)当たりの歩数を約80%削減できることを確認した。


今回の運用実証により、オフィスビル管理業務にUNI-ONEを導入することで、特定の業務における効率化や疲労軽減の効果が確認された。また、この取り組みにより、オフィスビル管理業務が車いすユーザーや高齢者など多様な人材の活躍の場となる可能性についても確認することができたという。

さらに、今回の検証により、数センチの段差や鉄扉など、こうしたモビリティやロボットを活用する上での建物側の改善点や、モビリティやロボットとの協業を前提とした既存オペレーション変更の必要性など、新たな検討課題についても発見することができた。


清掃業務における運用検証


1.運用方法の検証および清掃用具の最適化

UNI-ONEの走行ルート上の段差を確認するとともに、既存の清掃用具によるテストを行い、運用検証の範囲、運用方法の検証を実施。
搭乗時に高さが出ることで、既存の清掃用具では、柄が短く、体勢が前かがみになることから、株式会社テラモトの協力のもと、UNI-ONEに合わせた柄の長い清掃用具を使用し、移動時の固定用アタッチメント(画像:右側)をつけることで、清掃業務の一部をUNI-ONEに搭乗したまま実施できることを確認した。

UNI-ONEにあわせた清掃用具と固定用アタッチメント


2.清掃業務における効果の検証

清掃業務の効率化については、特定エリアの清掃業務を徒歩で行った場合とUNI-ONEで行った場合に要した時間を測定し、比較を行った。エリアの面積や清掃方法によって差があるものの、いずれの場合も清掃時間が短縮されており、平均して約25%の清掃時間の削減につながっている。

また、疲労軽減への効果については、UNI-ONEを使用している清掃時間における歩数を計測※し、徒歩のみで業務を行った場合の歩数に対して、どの程度の歩数が削減できているかの算定を行った。結果として、徒歩のみで業務を行った場合の約20,000歩/日に対して、UNI-ONEを清掃業務の一部に用いた場合は、その約30%に当たる約6,300歩相当の歩数を削減できることが分かった。

※特定エリアの清掃業務を徒歩で行った場合の歩数を測定し、その歩数から1時間当たりの歩数を推定した。


3.車いすユーザーによる清掃業務の実施検証

車いすユーザーによる清掃業務の実施検証では、一般社団法人集まろうよ。の共同代表である上原 大祐氏の協力のもと、清掃員の指導を受けながら、実際の清掃業務を実施した。
UNI-ONEを活用することで、清掃員が行っている通常の清掃業務を同じように行えることが確認できた。また、体の固定方法やひじ掛けの設置など車いすユーザー目線での改善点についても確認を行った。

上原氏による清掃の様子


物流業務における運用検証


1.運用方法の検証および最適化

物流業務については、当初台車を用いた配送を検討し、持ち手の長さなどUNI-ONEに適した台車の改良を行った。しかしながら、UNI-ONEに搭乗したまま台車を押して、オフィスのバックヤードに設置されている鉄扉を開閉することが困難であることから、通常のオペレーションとは異なるものの、配送バッグを用いた店舗テナント向けの小物の配送を前提として運用の検証を行った。

両手を自由に使える配送バッグであれば、鉄扉もスムーズに開閉でき、配送業務についてもUNI-ONEに搭乗したまま実施できることが確認できた。

通常の台車では持ち手が短く、前傾姿勢になってしまうため、持ち手の長さを確認し、台車の改良を行なった。


2.物流業務における効果の検証

物流業務の疲労軽減効果の検証については、通常のオペレーションである台車を用いた配送が出来る前提※1で、店舗テナントへの配送業務を徒歩で行った場合とUNI-ONEで行った場合の歩数の差を計測し、疲労軽減への効果を推定した。

徒歩で配送業務を行った場合、配送業務1回(約1時間)当たりの歩数が約2,100歩だったのに対して、UNI-ONEに搭乗したまま配送業務を実施した場合、配送業務1回(約1時間)当たりの歩数は、約400歩となり、約80%相当の歩数を削減できることが分かった。

台車による配送の様子

同社は「これらの課題を解決し、取り組みを推進することで、昨今の人手不足や労働生産性向上といった社会課題への対応を行っていきます」としている。


実施結果詳細
【実施概要】
場所:品川インターシティ
期間:2024年11月5日(火)~2025年3月31日(月)
実施主体:
日鉄興和不動産株式会社
品川インターシティ
マネジメント株式会社
(クリーンセンター、物流管理センター)
本田技研工業株式会社
協力:株式会社テラモト


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ロボスタ編集部

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