NTTは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、世界初となる「衛星MIMO技術を活用した920MHz帯衛星IoTプラットフォームの軌道上実証」を開始した。
革新的衛星技術実証4号機(小型実証衛星4号機)に低軌道衛星MIMO/IoT伝送装置(LEOMI)を搭載し、軌道上での実証実験が本格的に動き出している。
衛星打ち上げとチェックアウト試験の完了
小型実証衛星4号機は2025年12月14日(日)12時09分(日本標準時)に打ち上げられた。
その後、衛星の電源系・通信系の正常動作を確認するクリティカル運用期間および衛星バス機器のチェックアウトを完了。続いてLEOMIの軌道上での正常動作を確認するチェックアウト試験を実施し、制御コマンドに対して軌道上で正常動作を示すことを確認した。
これにより、初期運用フェーズが完了し、定常運用へ移行した。
MIMO伝送の通信確立を確認
定常運用は2025年度第4四半期から2026年度第4四半期までの約1年間を予定している。
2026年3月13日(金)に定常運用の初回実験を実施した結果、LEOMI内のメモリに保存された異なる2つのデータ系列を変調・電気信号に変換し、2つのアンテナから同一周波数でMIMO伝送。2局の地上局で受信後、等化処理による干渉補償を行ったところ、信号点が4か所に明確に収束することを確認した。これにより、MIMO方式による信号処理が想定どおり行われていることが実証された。

近年、低軌道(LEO)衛星分野は世界的に急成長しており、2025年時点で地球周回中の衛星は1万機近くに達している。これは10年前と比較して約10倍の水準であり、SpaceXやAmazonなどの民間企業が牽引する形で国際競争が激化している。
こうした状況の中、NTTは2019年11月からJAXAとの共同研究に取り組み、光・無線ネットワーク技術と宇宙機のシステム構築技術を組み合わせた通信インフラの実現を目指してきた。
今後の展開と社会応用への期待
今回の実証では、「低軌道衛星MIMO技術」と「衛星センシング技術」の2つの要素技術を検証する。低軌道衛星MIMO技術は、衛星から地上基地局へのフィーダリンクにおいて複数アンテナを用いた多重伝送を実現するもので、衛星通信の大容量化に寄与する。
衛星センシング技術は、無線局免許不要で多様な地上用LPWA無線端末を収容可能とするもので、地上基地局が不要な超広域IoTサービスの展開を可能にする。
技術が確立された場合、衛星通信の伝送速度向上による通信品質の改善や、地上通信網が整備されていない海洋・山間部でのIoTデバイス活用、インフラ設備の点検、環境モニタリング、スマートメータなどへの応用が期待される。また、観測衛星の高精細な画像・レーダー情報の取得により、気象情報、地形変化、海洋観測、災害予測などの観測精度向上にも貢献するとしている。
NTTは引き続き「NTT C89」ブランドのもとで衛星を活用した社会インフラ関連の問題解決を推進していく方針だ。なお、本技術については2026年5月27日(水)・28日(木)に開催予定の「つくばフォーラム2026」に展示される予定である。
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