ヤマトプロテック株式会社は2026年8月24日、クラスメソッド株式会社と消防防災向けフィジカルAIの共同研究および実証実験を開始したことを発表した。
四足歩行ロボットとヒューマノイドロボットを組み合わせ、実際の建物を使った消火実験と捜索救助実験を実施している。
背景にある消防・防災現場の課題
火災現場では初期消火と人命救助を迅速に両立することが求められる一方、消火活動にあたる隊員の危険リスクは依然として大きな課題だ。加えて、少子高齢化・人口減少に伴う消防・防災の人員減少が社会全体の課題として深刻化しており、従来の人員体制のみで安全かつ効果的な対応を維持することには限界が生じている。
消防庁が2026年3月に公表した「消防の技術戦略ビジョン」でも、AI・ロボティクスの活用が重点分野に位置づけられており、新技術の早期の社会実装が求められている状況だ。
今回の取り組みは、消防設備メーカーとして現場知見を持つヤマトプロテックと、AI・ロボティクス技術を持つクラスメソッドが手を組み、消防士が立ち入れない危険環境での消防支援や、災害時の捜索救助支援の自律対応の実現を目指すものだ。
実証内容は消火・探索・遠隔制御まで多岐にわたる
四足歩行ロボットによる建物内探索とサーマルカメラでの熱源検知
四足歩行ロボットとヒューマノイドロボットの異種協調による現場誘導
四足歩行ロボットとヒューマノイドロボットによる建物内階段昇降・屋外不整地での機動性能検証
ロボット学習基盤を活用した自然言語処理によるモーション自動生成から実機動作までの一貫制御試験
四足歩行ロボットと連動する消防設備等による放射試験
ヤマトプロテックが独自に構築・運用するAIエージェント基盤からのヒューマノイドロボット遠隔制御



実験ではロボットの学習過程やシミュレーションから現実環境への反映といった要素も検証されており、単なる遠隔操作にとどまらず、フィジカルAIによる自律的な現場対応を見据えた内容となっている。



両社のコメントと今後の展開
ヤマトプロテック経営企画本部情報システム室の土屋俊貴氏は「総合防災メーカーとして培ってきた現場知見をフィジカルAI・ロボティクスと掛け合わせることで、消防・災害時の新たな対応手段の実現に一歩近づいた。自社のAIプラットフォームでのロボット制御の実証が確認できたことから、独自の消防防災AIの開発研究を重ね、社会実装を目指す」とコメントしている。
クラスメソッド製造ビジネステクノロジー部チームマネージャーの田中孝明氏は「AI・ロボティクスの技術スタックを、消防防災という高度な信頼性が求められる領域で検証できたことは、フィジカルAIの産業応用において重要なマイルストーンだ。ヤマトプロテックの現場知見と組み合わせ、危険環境での自律対応という課題に取り組んでいく」と述べている。
両社は今回の実証結果をもとに、消防設備との連動を含むさらなる実証実験を計画しており、消防防災分野におけるフィジカルAIの実用化に向けた取り組みを継続していく方針だ。






