ついにアップルが音声アシスタント「Siri」を搭載したスマートスピーカー市場に参入することを発表した。
それもアップルらしく、音質/音響にこだわりを持った製品で。
米アップルは日本時間の6月6日午前2時頃より「WWDC」(Worldwide Developers Conference:世界開発者会議)の基調講演で、いくつかの新技術やハードウェアを発表した。
その中のひとつにSiri搭載のスマートスピーカー「HomePod」(ホームポッド)があった。
高度な空間認識技術で音質の良さにこだわりつつ、Siriを搭載して会話型のアシスタントとしての機能も兼ね備えた製品となる。
価格は349米ドル。(Google Home $109やAmazon Echo $179.99と比べてしまうと、かなり割高となる(いずれも市況価格))
カラーバリエーションはホワイトとスペースグレーの2色。
米国、英国、オーストラリアで2017年12月よりリリースが開始される。
【HomePod の特徴】
- 7方向ビームフォーミング対応のツイーター・アレイを装備
- 精密なアコースティックホーン(音響)
- 音の指向性を制御
- 4インチウーハーを搭載
- A8チップを搭載
- リアルタイム・アコースティック・モデリング
- オーディオ・ビームフォーミング
- マルチ・チャンネル・エコー・キャンセル
- Apple Musicのサブスクリプションと連携
- 円筒の周囲に6つのマイクを装備(マイクロフォン・アレイ)
設置した環境を認識し、最適な音響効果を発揮する空間認識技術
リビングに設置した場合、HomePodは配置された位置や部屋の空間を理解し、ボーカルやバックなどを自動解析して、指向性や音の拡がりなどを最適に制御するという。例えば、センターボーカルは中央定位で指向性のある音で流し、バック音楽は拡がりを持たせて流すといった、サラウンド技術などを含めた音響効果を一台のホームスピーカーで表現する。
2基のHomePodでコラボしたスピーカーシステムにも対応するようだ。
ホームアシスタントとしてのHomePod
Siriの開発チームは「HomePod」用に、アーティストやレーベルなどの固有名詞を理解するよう、音楽に関する知識をSiriに学習させたと言う。また、ユーザーが好きなアーティストや音楽を傾向を理解していく。
Siriが内蔵されていることで、HomePodが対応するのは楽曲の再生だけではない。ニュース、ポッドキャスト、天気予報、スケジュール(リマインダー)、タイマーなどにも対応する。英語から他言語への翻訳も可能だ。
更にHomePodはHomeKit(ホームキット)対応のため、「ヘイ、Siri、電気を消して・・」と言うと照明が消えるように、ホームキット対応デバイスとの連携で音声によるスマートホームのハブとして使えるようになる見込みだ。
人がHomePodに話しかけた言葉は、例えリビングの端からでも認識するという。6つのマイクアレイ(音声入力のビームフォーミング技術もおそらく威力を発揮している)。
Siriに話しかけた内容は個人に紐付けられることはなく、アップルにも伝わることはないとして、プライバシーに配慮していることも強調した。
WWDCではあったが、HomePodに関してはスキル(アプリ)開発についての言及はなかった。
また、残念ながら、日本での発売の情報もなかったが、こちらは日本語対応に起因するものだと思われる。
米国、英国、オーストラリアの後、順次販売地域を拡げていくとのことなので、日本市場への早期投入に期待したい。
Apple HomePod
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。