「ペンギンの寿命は?」
「どれくらい泳げるの?」
来園者からの質問にペンギン自身が答える、AIチャットボットシステムがお披露目されている。
展示されているのは神戸市の須磨海浜水族園(スマスイ)。来園者が発話した質問に対してAIが自動的に回答する「マゼランペンギン型解説システム」だ。神戸デジタル・ラボと共同で開発した。同園のペンギン館内で会うことができる。試験運用を本日から開始し、6月23日(日)まで行われる。
「マゼランペンギン型解説システム」は、「ペンギンの寿命は?」「ペンギンって飛べるの?」など来園者が話しかけた質問に対して、2羽のマゼランペンギンの形をした人形が回答、解説するシステム。ペンギンには「アレハンドロ」と「アンジェリーナ」と名前が付けられ、どちらかが自動的に音声で返答してくれるというもの。
全体の仕組みとしては、小屋内にいるペンギンシステムが、羽をパタパタさせて気を引く、人が顔を近づけると小屋内のLEDが光ってとまる、話しかけるとLEDが点滅して回答を探し、LEDが止まってペンギンが答えるという仕組みになっている。
■ペンギン型解説システム羽の動き
ペンギンについての質問と回答データは、2016年から2018年に同園のペンギン館に設置していた質問箱にこれまで寄せられた質問(8,500件)と、飼育員の回答のデータベースを活用しているという。
ペンギンは小学生程度を想定した100種類以上の質問に対応しており、マゼランペンギンの生息地や生態などについて真面目で楽しい回答を提供する。更には質問を促したり回答を待つ間も楽しめるような仕掛けにもこだわったという。
また、質問のログはチャットアプリ「LINE(ライン)」の通知機能でリアルタイムに観測でき、手軽にシナリオをアップデートできるよう工夫して、メンテナンス性を高めました。また、質問のログはチャットアプリ「LINE(ライン)」の通知機能でリアルタイムに観測することができ、手軽にシナリオをアップデートすることができる。
須磨海浜水族園では、来園者が水族に関心を持ち、楽しく学んでもらえるような新たな展示を模索しているという。今回の取り組みは、質問箱を設置して飼育員が解説するような従来の展示に代わって、来園者が能動的に楽しめる双方向の展示を検討した結果、当初はスマートスピーカーを使って質問に回答するものが案としてあったようだ。そこで、スマスイが監修した親しみやすいペンギンのぬいぐるみを使い、スマートスピーカーのやりとりのようにAIチャットボットで質疑応答を自動化するシステムを開発、サービス向上につなげる試みとなった。また、来園者の声をデータで収集することで今後の展示方法やイベントに活かしていくことも狙いのひとつ。
須磨海浜水族園は、2017年にVRコンテンツ、AIを搭載したロボットフィッシュ「MIRO」を使用した実証実験を、昨年にも水中ドローンを使用した実験を行っていおり、今後もさまざまな実証実験を予定しているという。