NVIDIAは、2019年9月にカリフォルニア州オークランドで開催されたロボットカー レースで「Jetson Nano」を利用したNVIDIAチームが「ストック」カー部門で1位を獲得。さらに高額の予算を使った車両が認められている「無制限」部門で、1位と2位のロボットカーに「Jetson」が利用されていたことを同社のブログで明かした。(以下の文章はブログの内容をまとめたものになる)
シリコンバレーではDIY ロボットカーを使ったレーシングがブーム
ジグザグ カーブを抜けてゴールするレーシング カー、声援を送る観客、ハイタッチするピットクルー。これはかの有名なNASCARのレース会場ではなく、とあるハードウェア コワーキング スペースでの光景だ。シリコンバレーでは今、このような場所がDIY ロボットカーを使ったレーシング カー ムーブメントの中心地になっている。
2019年9月のある日曜日。カリフォルニア州オークランドにあるCircuit Launchのスペースに、ロボットカー レースのために数百人の愛好家が集った。ロボットカー レースには学生や電子工作ファンだけでなく、AmazonやGoogle、Microsoft、NVIDIAといったテクノロジー企業の社員も、週末の楽しみのために集まってきた。彼らはノートPCを駆使して、自らのマシンのニューラル ネットワークに調整を施している。
このような場面において、NVIDIAの開発者キット「Jetson Nano」は自律運転領域への飛躍的なパフォーマンス向上を実現する。レースの参加者たち (その多くは 1/16スケール以下の「ストック」カーカテゴリに参加) は、プロ仕様のAIがアマチュアの予算で手に入るということを知り、大半が競争に遅れを取るまいとJetson Nanoに乗り換えた。そう、わずか数か月前まではRaspberry Piを使う参加者が多かったにもかかわらずだ。
そしてNVIDIAのチームは「ストック」カー部門で1位を獲得。さらに高額の予算を使った車両が認められている「無制限」部門では、1位と2位のロボットカーにも「Jetson」シリーズが搭載されていた。
ドローンを手がけるスタートアップ 3DRのCEOであるクリス アンダーソン(Chris Anderson)氏は「このコミュニティにおけるNVIDIAの存在感が、さらに高まりました」 「DIY ロボットカーレースは、フルサイズの自律走行車分野の代理戦争なのです」と述べた。また、アンダーソン氏によると、世界全体のロボットレースコミュニティには、40か国から10,000人以上のユーザーが参加しているという。
Jetson Nanoが選ばれる理由
最近に入ってレースの状況は大きく変わった。Jetson Nanoによるディープラーニングを導入することで、屋内コースを一周するラップタイムが12秒から約6秒にまで縮んだからだ。
そんなJetson Nano AIが選ばれる理由には、AIアプリケーションのパフォーマンスを高めることができるという点もある。パフォーマンスが向上することでディープラーニングによるモデルの最適化や推論の高速化を行うことが可能なのだ。
Jetson Nano は、Ubuntu Linuxを実行し、PyTorchやKeras、TensorFlow、OpenCV ライブラリなど、スーパーコンピューターで使われているものと同一のAIフレームワークを活用する。コンピューター ビジョンと自然言語処理に向けたオープンソースの機械学習ライブラリ PyTorchは、あらゆる種類のボットに視覚と会話能力を与えることができる。
自分だけの DIY レースカーを作ろう
オープンソース プロジェクトのJetRacerは、AIを使ったレースに向けた最初の足がかりを提供している。Jetson Nano を含むJetRacerカーの部品を入手して、組み立てを始めてみよう。部品のリストと組み立て方法はGitHubで公開されている。
このシステム構成には、先にも記述したPyTorchやTensorFlowといった人気のあるディープラーニング フレームワークが組み込まれている。JetCardでセットアップを構成したら、Pythonを使ったAIプロジェクトの開発をWebブラウザから開始できる。
ロボット レースは初めの一歩に過ぎない。Jetson Nanoは医用画像処理や家庭用ロボット、産業用 IoTといったあらゆる領域で活躍する可能性を秘めている。Jetson Nanoを使うことで、ユーザーは想像力の及ぶ限りどのような領域に向けてもAI開発を開始できる。Jetsonコミュニティで開発が進められているプロジェクトの一覧は、下のリンクから確認できる。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。