高専生が企業の評価額を競うディープラーニング活用事業コンテスト「DCON2021」松尾教授、小島瑠璃子氏、ヒャダイン氏が参加

高専生が日頃培った〈ものづくりの技術〉と、AI(人工知能)分野で特に成果を出す技術〈ディープラーニング〉を活用して、企業の評価額を競うコンテスト「第2回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2021」の本選が4月17日(土)に開催される。

本選には二度の予備審査を勝ち抜いた高専生による10チームが出場。精鋭10チームをこの記事で紹介する。コンテストは、高専生ならではのものづくりの技術とディープラーニングを活用した作品を、事業化も想定してプレゼンし、企業評価額で競うというもの。会場には実行委員長として東京大学大学院教授 松尾豊氏、MCにタレントの小島瑠璃子さん、音楽クリエイターのヒャダインさんほか、審査員をステージ上に迎える。応援動画が公開されたのでそれも紹介したい。

画像左から東京大学大学院教授 松尾豊氏、タレントの小島瑠璃子さん、音楽クリエイターのヒャダインさん

なお、今年の本選も参加する人達の安全を考慮して、無観客・オンラインで開催する。当日の模様は日経チャンネルおよびニコニコ動画でライブ配信し、一般の人も観覧可能。

■配信時刻
2021年4月17日(土)
14:30-15:00 本選直前 応援番組「DCONこのあとすぐ直前SP」
15:00-19:10 本選・表彰式

【小島瑠璃子さんとヒャダインさんからの応援動画メッセージ】



出場10チームの作品情報

4月17日に行われる最終審査(本選)ではさまざまなジャンルの課題解決を目指し、本選までに予備審査をくぐり抜けた10チームが作品とビジネスプランを発表する。各チームは本選までに、作品の開発を指導するアドバイザーおよび起業家などが務めるメンターの指導を受けてビジネスプランの磨き上げに取り組み、本選でのプレゼンテーションに挑む。



本選では最終的な作品の披露に対して技術審査員による技術審査が行われるのに加えて、ビジネスプランを現役投資家などが務める審査員が評価。技術とビジネスの両面での評価を総合し、企業評価額で表彰・順位が決まる。

前回の本選では5億円の企業評価額で3チームが並ぶ結果に。出場高専生へ「すぐにでも共同開発をはじめたい」「起業をするなら出資を検討したい」などの提案がされる場面もあった。


1.チーム名「旭川トマト研究会」/ジャンル:農業

学校「旭川工業高専専門学校」
作品タイトル「次世代トマト収穫支援システム」
ディープラーニング×画像処理×MRデバイスによるトマトの情報推定システム。糖度・酸度・大きさなどを推定し、トマトを収穫段階で仕分けできるようにサポート。

チームのコメント
私たちの提案するシステムは、ディープラーニング×画像処理×MRデバイスによるトマトの情報推定ができるシステムです。このシステムを使うことで、「トマトの糖度推定」、「トマトの酸度推定」、「トマトの大きさ推定」が行えます。そして、「成熟度が均一なトマト」、「見た目が均一なトマト」等を収穫段階で仕分けすることができます。

MRデバイスは、装着者の視野にトマトの情報推定結果を重ね合わせることができ、作業視野を確保しながらトマトを収穫することができます。また、ジェスチャでシステムを操作することができるため、何かしらのコントローラを持って作業する必要が無いため、収穫作業を妨げることがありません。


2.チーム名「D’s>Zzz・・・」/ジャンル:交通・車

学校「一関工業高専専門学校」
作品タイトル「D’s>Zzz・・・-ディープラーニングによる運転者用眠気の検知・防止装置-」
車の運転中の眠気を推定し、眠気覚ましを行うシステム。ディープラーニングを用いて心拍データから眠気を検知し、インソールから振動を足裏に与え眠気の覚醒を促す。

チームからのコメント
本作品は自動車運転中の眠気の推定と眠気覚ましを目的とした装置である。ディープラーニングを用いて心拍データから眠気の推定を行う。推定した眠気をもとに複数の振動子を取り付けたインソールを用いて足の裏に振動を与え、神経系を刺激し眠気の覚醒を促す。

過去10年の国内での交通事故の内、居眠り運転が分類される漫然運転が原因となる事故件数は常にトップである。自動車は私達の生活には欠かせないため、居眠り運転対策が急務である。従来の眠気対策グッズは電気ショックやアラートのような単調な刺激によるものであり、眠気覚ましの効果は一時的なものであった。私達の作成した装置は複数の振動を組み合わせることにより、覚醒状態を維持することを目的としている。


3.チーム名「和久井養鯉場」/ジャンル:文化

学校「長岡工業高専専門学校」
作品タイトル「鯉愛レボリューション21」
綿鯉(にしきごい)の選別を効率化するためにディープラーニングを使用した錦鯉選別システム。錦鯉の養殖では、多くの錦鯉の稚魚のうち美しく成長する錦鯉を選別する。その職人作業の負担を減らし、効率化することを図る。

チームからのコメント
和久井養鯉場では、錦鯉の選別を効率化するためにディープラーニングを使用した錦鯉選別システムを開発している。錦鯉の養殖では、数十万から数百万匹生まれる稚魚の中から、美しく成長する可能性のある錦鯉を厳選する選別作業を、職人による手作業で行っている。非常に重要な作業であるが、養鯉業者にとって負担になっていることも事実である。

本システムは、錦鯉の稚魚を流路に流し、学習させたモデルの出力に応じて流路を切り替えることで選別を行い、選別作業の効率化を図る。本チームは、錦鯉選別システムを利用して養鯉業者の負担を軽減し、錦鯉産業の発展を目指す。


4.チーム名「あいけん」/ジャンル:コミュニケーション

学校「石川工業高専専門学校」
作品タイトル「おしゃべる」
「推しがあなたを支えーる!」を目的としたLINE Clovaのスキル。声、外見、会話内容のカスタマイズにより、自分だけの会話ロボットを実現する。

チームからのコメント
おしゃべるは、「推しがあなたを支えーる!」を目的としたLINE Clovaのスキルです。声、外見、会話内容のカスタマイズにより、自分だけの会話ロボットを実現します。

従来の会話ロボットには、高価な買い物だったのに飽きたら使わない、購入時は好みでないことに気がつかなかった、利用者の年齢・性別を感じてしまうなどの悩みがあります。そこで、おしゃべるスキルをもったClova Friends Miniを自分な好きなもの(推し)の中に入れることによって、自分好みの会話ロボットを実現しました。また、それによってキャラクターとしての飽きを軽減し、長期間の使用を可能にします。会話が減っている今、おしゃべるスキルで自分の推しとの会話を気軽に楽しみませんか?



5.チーム名「プログラミング研究会」/ジャンル:インフラ

学校「福井工業高専専門学校」
作品タイトル「D-ON」
トンネルや橋の点検のために行われる打音検査を低コストで実現するためのシステム。「打音検査が必要なトンネルや橋は日本で約80万以上あるが、熟練の点検員が検査を行う必要があるため、コストが掛かっている」という課題の解決を目指す。

チームからのコメント
笹子トンネルの天井板落下事故をご存知でしょうか。9名の命が失われた痛ましい事故です。 12年以上も打音検査をしておらず、脆くなってしまった天井板が走行中の自動車に落下したためだとされています。

打音検査とは、コンクリートなどをハンマーで叩くことで、欠陥があるかを音で聞き分けるものです。熟練の点検員が検査をしなければならず、コストもかかります。しかし打音検査
が必要なトンネルや橋は日本で約80万以上もあると言われています。そこで、私たちは「誰でも安価に打音検査ができるようになれば、このような事故が減らせるのではないか」と考え『DON』の制作をしました。 この『D-ON』が世界中の建造物で使われれば、点検不足によって命を落とす事故は全てなくなるはずです。



6.チーム名「お花の気持ち」/ジャンル:園芸

学校「沼津工業高専専門学校」
作品タイトル「エレクトリカル花壇」
花の状態を様々なデータ取得により検知・表現することで、花の気持ちや状態を翻訳するデバイス。ありそうでなかった「お花とのコミュニケーション」を実現する。

チームからのコメント
「エレクトリカル花壇」は、植物とあなたをつなぐコミュニケーションIoTデバイスです。お花や観葉植物など、身近な存在である植物に興味を持ち育ててみたいと思う人は多いはず。 しかし、お花の問題を正しく認識することは多くの人にとって難しいのが現状です。

「エレクトリカル花壇」は、あなたの大切なお花のログを取ることで、お花のきもちや状態を翻訳し、あなたとお花のコミュニケーションの架け橋となります。お花の1日の様子を画像や環境データのログとしてアプリで見られたり、同じような悩みを持っている人や、知見を持つプロフェッショナルとコミュニティで交流できたり、知識だけではなく自分の自慢のお花の写真を共有できたりするサービスを提供します。ありそうでなかった「お花とのコミュニケーション」に陽をあてることで、そこから生まれる新しいインタラクションによって、園芸分野のキープレイヤーを目指します。


7.チーム名「ezaki-lab」/ジャンル:漁業

学校「鳥取商船高等専門学校」
作品タイトル「NoRIoT」
海洋観測機から得られるデータを活用した、ディープラーニングによる海苔養殖支援システム。水温や栄養状況などの海洋データと気象データを組み合わせ、ディープラーニングで最適な養殖方法を提案する。

チームからのコメント
私たちは、地元企業と共同開発を行なった海洋観測機から得られるデータを活用して、ディープラーニングによる海苔養殖支援システムの開発を行いました。提案するシステムにより、安定した海苔の収量を保障し、品質の向上を目指します。

海苔養殖は、潮位や水温、栄養状況などの海象に影響され、安定した生産が難しいことが問題となっています。そこで、観測機から得られる海象データと気象庁の気象予測データを組み合わせてディープラーニングを行い、最適な養殖方法をLINEBotを通じて提案します。また、観測機で撮影する画像データからカモや魚などの食害原因を検出し、迅速な対策を行えるよう生産者さんに通知を行うことも可能です。


8.チーム名「TMT-2020」/ジャンル:農業

学校「香川高専専門学校託門キャンパス」
作品タイトル「スマートマト」
収穫時期が短く、見極めが難しいサクランボの選果作業をサポートするシステム。ディープラーニングを活用し、大きさや色に応じた等級を自動判定する。他の青果物や食品仕分けへの応用も目指す。

チームからのコメント
「スマートマト」はサクランボの選果作業を手助けするシステムです。サクランボ農家の方から選果作業が大変だという話を聞きました。サクランボは傷つきやすいため機械を使わずに手作業で選果が行われています。また、収穫期がとても短く、短期間で大量の選果を行う必要がありますが、速く正確に選果するには熟練の技を必要とします。

この問題を解決するために、サクランボの画像からディープラーニングを使って大きさや色に応じた等級を自動的に判定するシステムを開発しています。また、ベルトコンベアを組み込むことで効率化を目指します。さらに、サクランボだけでなく他の青果物や食品の仕分け作業にも展開したいと考えています。


9.チーム名「Nitkit Shigeru_Lab」/ジャンル:福祉

学校「北九州工業高等専門学校」
作品タイトル「盲導Cane」
普及率の低い盲導犬や、使用に慣れがいる白杖にかわり視覚障がい者の歩行をサポートするデバイス。四輪の杖にカメラ及びコンピュータを取り付けることにより、点字ブロックや危険物・信号機などを検出する機能実施を目指す。

チームからのコメント
現在、視覚障害者の歩行をサポートするツールとして、白伺と盲導犬が存在する。しかし、白伺の使用に慣れることに時間がかかることや、盲導犬の普及率が 0.32%と著しく低いことが問題である(国内の視覚障害者数約 32 万人に対して、実際に活動している盲導犬ユーザーの数は 1031 人)。

本作品は、四輪の伺にカメラ及びコンピュータを取り付けることにより、リアルタイムで点字ブロックを検出する。警告ブロックの検出、誘導ブロックから左右にそれるなどの危険が
あった場合に、バイブレーションでユーザーに知らせることが可能である。さらに、学習対象を増やすことで点字ブロックだけでなく、危険物の検知や、信号機の検知をすることが可能となる。


10.チーム名「なんくるないさ〜」/ジャンル:福祉

学校「沖縄工業高専専門学校」
作品タイトル「なんくるないカー」
4つの機能を備えた次世代電動車椅子。「障害物を検知して自動運転を行う」「周りの人を検知して同行する」「沖縄の伝統舞踊を踊るダンシング機能」「車椅子利用者の不快感を和らげるための乗り心地快適機能」

チームからのコメント
私たちはディープラーニングや5Gなどの最新技術にとても興味があり、体が不自由で孫と一緒に遊ぶことができない沖縄のおじい・おばあをなんとか助けてあげたいと感じていました。そこでご老人にもっと楽しく過ごしてもらうために、次世代電気自動車椅子「なんくるないカー」の開発をスタートしました。

なんくるないカーには大きく4つの機能があり、障害物を検知して自動運転を行うAIセーフティナビゲート機能、周りの人を検知して同行するアダプティブフォーメーション機能、沖縄の伝統舞踊を踊るダンシング機能、車椅子利用者の不快感を和らげるための乗り心地快適機能があります。この従来にはない地域密着型の車椅子を自治体や介護施設に送り、沖縄をはじめ全国へ着実に普及したいと考えています!


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山田 航也
山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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