ソフトバンクロボティクスとアイリスオーヤマは、配膳・運搬ロボット「Keenbot」(キーンボット) アイリスエディション」の国内販売を開始することを発表した。ソフトバンクロボティクスと高いソリューション提案力を持つアイリスオーヤマ、優れた開発力を持つKeenon Robotics株式会社の3社が共同で展開していく。なお、Keenon Roboticsは中国上海が本社の企業。
「Keenbot アイリスエディション」は最大4段のトレーを搭載し、大容量の配膳や下げ膳に対応したロボット。低重心かつ堅牢な筐体設計により安定的な運搬を実現するとともに、タッチパネルによる簡単な操作が特長だ。また、天井にマーカーを貼ることで、ロボットがそれを認識してより正確なルートの自動走行を行う。
両社が連携して販売しているロボット製品としては、自動清掃ロボット「Whiz i」と配膳・運搬ロボット「Servi」がある(いずれもアイリスエディション)。「Keenbot アイリスエディション」は配膳・運搬ロボット「Servi」にラインアップ追加の形態となるが、「Servi」と比較するとやや大型で、一度に運べる料理も多くできる。そのため、導入を検討している店舗の規模や使用環境、配膳容量などに合わせた製品提案を拡充できる。
なお、液晶パネルには笑顔などの目の表情を表現することができる点も「Servi」にはない特徴だ。
■動画 SBRとアイリスオーヤマの自律ロボット3種類のデモ
飲食業界の労働人口はコロナ禍で約61万人が減少
発表会では、アイリスオーヤマの本所氏が登壇し、「Keenbot アイリスエディション」の発表の前に、日本国内での課題を説明した。大きな課題として、少子高齢化による労働人口の減少に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響による人手不足をあげた。
2030年の労働人口の減少は深刻で、労働需要に対して644万人が不足する試算を紹介した。そして、それに備えた働き方改革を準備、実行していかなければならないことを強調した。
特に飲食・サービス業界における従事者数は、新型コロナウイルス感染拡大以前の2019年8月から2年で、約549万人から約488万人(2021年8月)へ、1割以上も減少しているという。加えて、日常生活における衛生意識や非接触による感染防止対策へのニーズが高まり、飲食業界では配膳・運搬ロボットが注目されているとしている。
ロボットはスタッフが行っている作業の一部を自動化し、スタッフはロボットが代替する作業にかかっていた時間や労力を、人にしかできないサービス品質の向上に従事できることを強調した。
こうしたことを背景に、ソフトバンクロボティクスとアイリスオーヤマが国内で販売開始する「Keenbot アイリスエディション」は、前述のように、最大4段のトレーを搭載し、大容量の配膳や下げ膳に対応した。また、低重心かつ堅牢な筐体設計により安定的な運搬を実現するとともに、タッチパネルによる簡単な操作が特長で、レストランや飲食店のみならず、ゴルフ場、ホテルなど比較的大規模な会場での稼働にも適している。
導入事例
「Keenbot アイリスエディション」は、東京都港区の「シンガポール・シーフード・リパブリック 東京」や石川県「湯快リゾート 片山津温泉 NEW MARUYAホテル」、渋谷の「Pepper PARLOR」にて実証実験が行われ、配膳や下げ膳などに活用されている。
シンガポール・シーフード・リパブリック東京 での活用例(PVより)
シンガポール・シーフード・リパブリック東京 keenbot活用動画
湯快リゾート 片山津温泉 NEW MARUYAホテル での活用例(PVより)
Keenbot アイリスエディションの特⻑
⼤容量の運搬が可能
最⼤4段のトレイ設置が可能となっており、1段あたり10kgまで載せることができるので⼤容量の運搬にも適した造りになっている。飲⾷店などのレストランだけではなくゴルフ場やホテルなどの⼤容量の運搬が必要になってくる施設での稼働にも適している。
安定した運搬性能
低重⼼・堅牢な設計により、安定した運搬が可能。
簡単操作で明瞭なユーザビリティ
分かりやすさを重視したシンプルな操作画⾯を採用。⽬的地を選択し、「出発」「受け取り完了」タップでホームに戻る簡単な操作なので、どなたでも簡単に使いこなす事が可能。
ABOUT THE AUTHOR /
神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。