一般社団法人 ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構、国立大学法人群馬大学、日本モビリティ株式会社、日本電気株式会社(以下、NEC)は、群馬県前橋市においてローカル5Gを活用した複数台の遠隔監視を含む自動運転バスの公道実証を2022年2月21日から27日まで実施することを発表した。
同実証では日本中央バス株式会社が運行する一部のバスを対象に、自動運転の実証を実施する。通常運行のバス同様、誰でも乗車可能(2月24日と25日はメンテナンスのため自動運転バスは運休)。なお、通常のシャトルバスも運行する。
実証の背景
昨今、少子高齢化の進行や都市部への人口集中などに伴い、地方では公共交通機関が縮小するなど地域毎の公共交通サービスの格差が進行している。また、肉体的・精神的に負荷のかかるドライバーの人材不足も社会的に大きな課題となっている。こうした中、前橋市では持続的な公共交通インフラの供給に向けて、2022年度に自動運転バスを社会実装するための取り組みを2018年から推進し、昨年度はキャリア5Gを活用した自動運転バスの運行の公道実証を実施した。
今年度もこの取り組みの一環として、ローカル5Gをはじめとする先進技術を活用し、自動運転バスの実用化に向けて実証を行い、その成果やノウハウを活かして実運用を目指す。
実証の内容
実証では高速・大容量・低遅延であり専用網として使用できるローカル5G設備を中央前橋駅に設置することで、周辺をローカル5Gエリア化して公道での自動運転の評価検証をする。また、NECのAIベースの映像配信技術と映像分析に基づくアラート通知技術により、1名のオペレーターによる複数台の自動運転バスの効率的な監視を可能にする遠隔監視システムの検証を行うほか、複数台運行のための仕組みの検証として、群馬大学研究・産学連携推進機構次世代モビリティ社会実装研究センター(以下、CRANTS)が同センター内の試験路にて自動運転バスの遠隔操作を行う。
実証は限定したエリアでのレベル4自動運転(完全自律型自動運転)の社会実装を想定し、日本中央バス株式会社の通常運行のバスとして利用者を乗せて行う。なお、実証ではCRANTSの遠隔管制室から遠隔監視することで完全自動運転を行うが、ドライバーが乗車し、緊急時にはドライバーの判断で手動運転に切り替えることで安全性を担保する。
さらに、前橋市と同様の課題を持つ他の地域でも問題なくローカル5Gを活用した自動運転を実施できるよう、隣接する周波数帯やローカル放送など地域独自で使用する周波数帯、キャリア5Gなどと干渉しない仕組みとして必要なモデルを作成するため、電波伝搬モデルの精緻化を実施する。
【前橋市公道実証の実証場所】
実証で使用する技術
AIベースの映像配信技術と映像分析に基づくアラート通知技術を連携させ、1名のオペレーターによる複数台の自動運転バスの効率的な監視を実現する。
1.安定した遠隔監視に貢献するAIベースの映像配信技術
AIを活用して監視用映像の送信画質を最適化するNEC独自の「学習型メディア送信制御技術」を応用した映像配信技術。通信帯域の変動が発生しても安定して映像を配信するため、通信帯域を予測し、送信データ量が予測した通信帯域を下回るように映像圧縮する。また、映像圧縮では監視の精度を維持するため、重要領域と最適画質を特定して重要度の低い領域のみ画質を下げる。大容量・低遅延といったローカル5Gの特性と同技術を組み合わせることで、遠隔管制室からの安定した遠隔監視・安全確認業務に貢献する。
2.映像分析に基づき、オペレーターをサポートするアラート通知技術
映像中の「人」「車」「信号」等を検出し、自車両との距離が近づいた場合など、注意や介入が必要な状況を検知し、オペレーターにアラートで通知する技術。監視画面はすべての車両を一覧表示する「統合監視画面」と、注意が必要な車両を拡大表示する「詳細監視画面」から構成され、詳細監視画面に表示する車両を自動的に切り替える構成となっている。同技術でオペレーターをサポートすることで、危険の見落としを防ぎ、一人で複数台の自動運転バスの安全・安心で効率的な監視の実現に貢献する。
実証における各団体の役割
ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構
実証全体統括、成果報告会の実施
群馬大学
課題検証における分析結果の評価、考察および成果物の横展開に関する検討
日本モビリティ
課題検証における自動運転関連ソリューションの開発と評価実験・実証実験の実施
NEC
技術実証担当(電波試験事務の実施)・技術プロジェクトマネージャー・ローカル5G基地局の提供
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。