ACSLとエアロネクストが新物流専用ドローン「AirTruck」を発表 4D GRAVITYで安定した飛行を実現 ペイロードは5kgへと拡大

株式会社ACSLと株式会社エアロネクストはペイロード5kgのスペックを持ち、Level3(無人地帯における目視外飛行)による物流実証実験を重ねて改良してきた、新物流専用ドローン「AirTruck」(エアートラック)の受注を開始することを発表した。同機は3月22日(火)に開催される自治体向けイベント「デジタル田園都市国家構想を実現する 新スマート物流シンポジウム」にて初公開予定。


「AirTruck」(エアートラック)の特徴

1.4D GRAVITYによる重心制御技術で、荷物の揺れを抑えつつ安定した飛行を実現

2.空力シミュレーションや風洞実験を通した空力最適化で、高い飛行性能を実現

3.LTE通信やFPVカメラなどを搭載し、Level3(無人地帯における目視外飛行)を遠隔操縦で実施可能

4.ACSLの従来機体(ACSL-PF2)と比べ、ペイロードが3kg弱から5kgへと拡大

5.上から簡単に荷物を搭載する方式など、利用者が分かりやすく扱えるUX設計

AirTruck機体 プロペラ展開時の全長は1.7m×1.5m

現在の物流を支えているのは物流専用車両であるトラック。AirTruckは空という無限の可能性が広がる空間における新たな物流を構築する専用ドローンとして、既存の物流専用車両であるトラックと調和していくことを願い、名付けている。

【AirTruckの仕様】
全長:展開時:1.7m×1.5m、収納時:1.0m×1.5m
高さ:0.44m
機体重量:10kg
最大離陸重量:25kg
ペイロード:5㎏
最大飛行速度:10m/s
最大飛行時間:約50分
最大飛行距離:20㎞
最大上昇・下降速度:上昇:3m/s 下降:2.5m/s
ホバリング精度:水平方向:±2.0m/s 垂直方向:±1.5m/s
最大通信距離:LTE電波圏内において制限なし
※販売時に変更となる可能性がある。


開発背景

全国的な人口の減少や少子高齢化、過疎化の影響により、流通機能や交通網の弱体化とともに買物環境が悪化し、食料品等の日常の買物が困難な状況に置かれる買物弱者が増加している(総務省「買物弱者対策に関する実態調査」)。買物弱者に対する対策として、宅配業者等により家まで届けるという方法があるが、物流業界における人手不足も顕在化しているのが現状。そのようなラストワンマイル配送の課題を解決するため、政府や自治体においてはドローンをはじめとしたデジタルやテクノロジーを活用する取り組みが積極的に進められている。

株式会社ACSLと株式会社エアロネクストは2020年8月に締結した4D GRAVITYライセンス契約に基づき、物流に特化した4D GRAVITY搭載の用途特化型ドローンの開発を共同で進めており2021年3月には最新試作機を発表した。

2021年3月に発表した物流用ドローンの最新試作機
4D GRAVITYについて
飛行中の姿勢、状態、動作によらないモーターの回転数の均一化や機体の形状・構造に基づく揚力・抗力・機体重心のコントロールなどにより空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させるエアロネクストが開発した機体構造設計技術。エアロネクストはこの技術を特許化して4D GRAVITY特許ポートフォリオとして管理している。4D GRAVITYによる基本性能の向上により、産業用ドローンの新たな市場、用途での利活用の可能性も広がる。

「AirTruck」はLevel3(無人地帯における目視外飛行)による物流実証実験を重ねて改良してきた新物流専用ドローン。両社は物流専用ドローンであるAirTruckが現在の物流の主流であるトラックと組み合わせることで物流業界が抱える人手不足を解消し、過疎や高齢化が進む地域においても、サービスや品物の受け取り手である人が好きなものを好きな時に手に入れられる社会を実現していく、ラストワンマイル配送の一翼を担うことを目指す。




パートナー・コメント

北海道 上士幌町長 竹中 貢 氏

少子高齢化が進む上士幌町において本機体は既に実証実績があります。ドローン物流は食料品等へのアクセスが困難な買物弱者に対して、持続可能な豊かな生活を送るために必要不可欠になると確信しております。

セイノーホールディングス株式会社 執行役員 河合 秀治 氏

物流業界における人手不足は、社会インフラの持続可能性の観点からリスクが顕在化しています。この機体は物流専用機として安定的な稼働を期待でき、業界の省人化、無人化を進める上で有力な新技術だと捉えています。当社をはじめとして、業界全体において全国で利用されることになると思います。

KDDI株式会社 事業創造本部 ビジネス開発部 ドローン事業推進Gリーダー 博野 雅文 氏

ドローンの社会実装に向けては、ドローン本体の性能、信頼性や適応性は重要な要素であると考えております。AirTruckは、当社が提供するスマートドローンツールズと組み合わせることで、より多くの物流ユースケースに適用することが可能になると確信しております。

ABOUT THE AUTHOR / 

山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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