ABB株式会社は年間160万人以上のフェリーやクルーズの乗客が利用するトゥーロン港が持続可能性推進の重要な段階として、ABBの陸上給電技術を導入することを発表した。
陸上給電技術で港湾停泊中の排出ガスと騒音の削減を実現
トゥーロン港は街の中心部に年間約1,300隻のフェリーやクルーズ船が寄港し、ビジネスや観光における地域の魅力向上に重要な役割を担っている。また、トゥーロン港はプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏(Région Sud PACA)による「煙のない寄港地」計画の中心的存在で、トゥーロン、マルセイユ、ニースの港を電化して船舶のエミッションフリー停泊を可能にすることを目指している。
陸上給電接続により、寄港時にディーゼル発電機を停止させることができる。船主にとっては、よりクリーンで持続可能なエネルギーへの転換と同時に燃料費やメンテナンスコストを削減。クルーズやフェリーの乗客、地域住民は空気がきれいになるだけでなく、船が停泊するときに発生する騒音や振動が減るというメリットもある。
Toulon Provence Méditerranée Metropolis会長のHubert Falco氏は次のように述べている。
陸上給電ソリューションのターンキープロジェクトを主導
ABBはこのターンキープロジェクトの管理・実行を担うコンソーシアムを率いており、2023年に試運転を予定している。ABBのソリューションは同時に寄港するフェリー3隻分、またはクルーズ船1隻分の電力を供給することができる。船舶は50Hzまたは60Hzの電源接続が可能。コンソーシアムの一員として、建設会社Eiffage社が土木工事を行い、Fauché社が機器の設置・接続を担当する。
Toulon Provence Méditerranée Metropolisが確立した革新的な設計により、ABBの機器を導入したシステムは太陽光発電シェルターで生産された太陽光エネルギーとリチウム電池で構成されるエネルギー貯蔵システムにより、地域の電力ネットワーク(Enedis社)を通じて船舶に供給するエネルギーミックスを自動的に調整する能力を備えている。
このシステムは太陽光発電の余剰電力を貯蔵し、消費のピークを平準化するのに役立つ。また、燃料電池など他の再生可能エネルギーが利用できるようになれば、その利用も可能になる。
ABB Marine & Portsのサービス責任者であるJyri Jusslinは次のように述べている。
世界中の50以上の港で陸上給電技術が導入
2017年に発表された気候計画に基づき、2050年までにカーボンニュートラルを達成するというフランスが掲げる目標において、海運・内航船を含む持続可能な輸送は重要な役割を果たすことになる。業界団体のインターフェリー(Interferry)によると、世界全体でフェリーは年間約40億人の乗客と3億7千万台の車両を輸送している。国際海事機関では2030年までに年間排出量を少なくとも40%、2050年までに70%削減する戦略を採っており、旅客輸送はこの目標達成を迫られている。
ABBは電気輸送およびスマートポート技術のリーダーとして、陸上および船上の両方の最先端のインフラストラクチャを含む総合的な海岸接続ソリューションを提供する。ABBの陸上給電技術は、すでに世界中の50以上の港に導入され、排出量削減と持続可能な海上輸送への努力という目的をサポートしている。
ABB株式会社
ABOUT THE AUTHOR /
山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。