産業向けメタバースの構築に向けてSiemensとNVIDIAが提携 AIを活用したデジタルツイン・テクノロジーの利用を拡大

産業向けオートメーションとソフトウェア、インフラストラクチャ、建築テクノロジおよび輸送のリーダー企業であるSiemensと、アクセラレーテッドグラフィックスと人工知能(AI)のパイオニアであるNVIDIAは産業向けメタバースの構築に向けて提携することを発表した。


「Siemens Xcelerator」と「NVIDIA Omniverse」を接続

提携の第一歩として、両社はオープンなデジタルビジネスプラットフォームである「Siemens Xcelerator」と、3Dデザインおよびコラボレーション向けプラットフォームである「NVIDIA Omniverse」を接続させる。これにより、Siemensの物理ベースのデジタルモデルとNVIDIAのリアルタイムAIを活用した産業向けメタバースの構築が可能になり、企業はより高い信頼性をもって意思決定をより早く行えるようになる。

Siemens Process Simulate(左)は、NVIDIA Omniverse(右)と接続し、完全な忠実度、フォトリアリスティック、リアルタイムのデジタルツインを可能にする。


デジタルツインテクノロジーの利用を拡大

今回の提携は、産業向けメタバースを実現するために、補完的なテクノロジーとエコシステムを集結させるもの。Siemensは現実とデジタルの世界、情報テクノロジおよびオペレーショナル テクノロジー(OT)が交差する地点で独自の地位を築いている。Siemens Xceleratorプラットフォームは製品と製造プロセスの全体を通じて、機械、電気およびソフトウェアの領域を結びつけ、ITとOTの融合を可能にする。

NVIDIA OmniverseはAIを活用して物理的シミュレーションを行い、産業向けの規模にも対応する仮想世界エンジンで、完全な忠実度のライブデジタルツインの構築を初めて可能にした。NVIDIA AIは全世界の2万5,000を越える企業に使用されている、世界で最も普及しているAIプラットフォームであるとともに、クラウドおよびエッジの自律システムにおける Omniverseのインテリジェントエンジンとしても機能している。

Siemens XceleratorのオープンなパートナーエコシステムにOmniverseを組み合わせることにより、デジタルツインの利用が加速し、製造およびプロダクトライフサイクルの全体で生産性とプロセスが向上するようになる。あらゆる規模の企業ではリアルタイムのパフォーマンスデータを備えたデジタルツインの導入、革新的な業界向けIoTソリューションの作成、エッジまたはクラウドでのアナリティクスから得られる実用的なインサイトの活用、ならびに視覚的に豊かで、没入感のあるシミュレーションの利用をより容易にして、未来のエンジニアリング課題に対処することが可能になる。



ローランド ブッシュ氏、ジェンスン フアン氏からのコメント

Siemens AGの社長兼最高経営責任者であるローランド ブッシュ(Roland Busch)氏は、次のように述べている。

ローランド ブッシュ氏

産業向けメタバースに組み込まれたフォトリアリスティックな物理ベースのデジタルツインは巨大な可能性を持っており、人々が相互にインタラクションおよびコラボレーションして現実世界の問題を解決できる仮想世界を構築することによって、私たちの経済と産業を変容させることも可能になります。本提携を通じて、私たちは産業向けメタバースをあらゆる規模の企業が実際に利用できるものにします。10年間にわたって、当社のデジタルツイン テクノロジは、あらゆる業界のお客様が生産性を向上させるための支援を行い、現在は業界で最も本格的なデジタルツインを提供できるようになっています。SiemensXcelerator が Omniverse に接続されるようになると、Siemens のソフトウェアとソリューションから得られる多様なデータを使って、エッジからクラウドまでのあらゆるポイントでハードウェアとソフトウェアを接続する、リアルタイムで没入感のあるメタバースが生まれるようになります



NVIDIAの創業者/CEOであるジェンスン フアン(Jensen Huang)氏は、次のように述べている。

ジェンスン フアン氏

Siemens と NVIDIA は、産業向けメタバースがデジタル トランスフォーメーションを牽引するという、共通のビジョンを持っています。これは、お客様ならびに全世界の製造業界にとって、このビジョンを実現するための両社の共同の取り組みの第一歩にすぎません。Siemens Xcelerator との接続により、NVIDIA Omniverse と AI エコシステムが、Siemens の機械、電気、ソフトウェア、IoT およびエッジのソリューションを使って構築されている、産業オートメーションの新しい世界で利用できるようになります

関連サイト
NVIDIA
Siemens

ABOUT THE AUTHOR / 

山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

PR

連載・コラム