ソフトバンク、成層圏通信プラットフォームHAPS向け 次世代無人航空機のサブスケールモデルの飛行試験に成功

ソフトバンク株式会社とソフトバンクの子会社のHAPSモバイル株式会社は、成層圏通信プラットフォーム「HAPS」(High Altitude Platform Stationの略)を開発している。成層圏に無人航空機を常時飛行させ、通信局として活用する技術だ。
そして、HAPS向け次世代無人航空機の開発の一環として、サブスケールモデルを活用した飛行の検証および設計に必要なデータの収集に成功したことを2023年8月10日に発表した。(冒頭の写真:米国アリゾナ州ウィルコックス・プラヤで飛行試験を実施したHAPS向け次世代無人航空機のサブスケールモデル)


縮尺を小さくした機体サブスケールモデル

今回は、HAPS向け次世代無人航空機よりも縮尺を小さくした機体の「サブスケールモデル」を使い、2023年3月14日(米国山岳部時間)に、米国アリゾナ州ウィルコックス・プラヤにおいて低高度での飛行試験を実施した。

飛行試験で使用した機体は、HAPSモバイルと米AeroVironment, Inc.が開発した無人航空機「Sunglider(サングライダー)」のサブスケールモデル。「Sunglider」の現行機は、2020年9月に実施した実験で成層圏飛行に成功しており、ソフトバンクとAeroVironmentは、この実績を基に次世代機の開発に取り組んでいる。


設計した通りに機体が飛行するかを検証

航空機の開発においては、実際の機体を開発・製作する前に、設計した通りに機体が飛行するかを検証する必要がある。今回の飛行試験では、形状や特性などが同じ条件になるように工夫して製作した複数のサブスケールモデルを使用して、設計通りに安定して飛行することができるかを検証した他、実際の飛行を通して、コンピューターのシミュレーションだけでは得られない機体の構造特性などさまざまなデータの収集を行い、分析してきた。

ソフトバンクとAeroVironmentは「今回の飛行試験で得られたデータや知見を次世代の機体開発に生かしていきます。また同時に、ソフトバンクとAeroVironmentは、「Sunglider」の商用化に向けたFAA(米連邦航空局)の型式証明の取得や、機体の量産化に向けた設計の改良にも継続して取り組みます」とコメントしている。

ソフトバンクの先端技術研究所 先端HAPS研究室 室長で、HAPSモバイルの技術管理本部 本部長の中島潤一氏は、次のように述べている。

中島潤一氏

次世代機の候補となる形状や特性を再現した複数のサブスケールモデルを製作して飛行実験を繰り返すことにより、コンピューターのシミュレーションでは得られない次世代機の設計と制御に関する重要なデータを得ることができました。引き続き、成層圏からのモバイル通信サービスの実現に向けた機体と要素技術の開発を進めていきます

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ロボスタ編集部

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