FingerVisionは、経済産業省の2023年度「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業(食品分野)」にトップ技術を持つロボットベンダーとして参画することが決定したと発表した。
これまでFingerVisionが食品工場に導入してきた「多品種盛付ロボット」を、本取り組みを通じて、多くの工場・生産ラインに展開すべく、さらなる機能性・利便性・汎用性を追求していくとしている。
小売り・総菜製造企業8社とロボット技術ベンダー16社がタッグを組む
「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」とは、2020年度からロボットの社会実装を目的に経済産業省が推進する予算事業。「施設管理」「食品」「小売」「物流倉庫」の4分野を対象に重点的に支援措置が進められており、その中で、2023年度における「食品」分野では、一般財団法人日本総菜協会が代表幹事として採択された。
具体的には惣菜盛付や弁当盛付等のロボット開発・導入が1つの大きなテーマであり、小売り・総菜製造企業8社とロボット技術ベンダー16社が一丸となって、業界課題の解決に挑戦・コミットする取り組む。
FingerVisionの技術への期待
日本総菜協会では、過年度の取り組みを通じて、お弁当・惣菜のような多品種食材に対応するためには「ロボットの手」に相当する「エンドエフェクタが鍵を握る」という課題認識が鮮明になってきている。そのような状況の中、FingerVisionが有する「触覚ハンド」をコア技術とした多品種食材対応可能なロボットシステムへ期待が高まっている。
お弁当や総菜食材は、多品種・不定形、壊れやすい、という特徴があり、人の手のひらであれば容易に扱える一方でロボット技術の目線から捉えると、「正確かつ繊細に」取り扱うことの難易度が非常に高く、これまでの人手依存の生産形態から脱却できない状態が続いている。
具体的には、「盛付け」という動作を、ロボットハンドの制御という視点で捉えた時に、「正確に掴む(=落とさずに掴む)」ことと、「繊細に扱う(=壊さずに扱う)」ことは、トレードオフの関係にあり、その絶妙な「掴み加減のバランス」を一品一品見極めながら、「掴んで、盛付ける」ことが現実的ではなかったことに起因する。
これに対して、FingerVisionは、「ロボットの手」に視触覚センサを実装することで、「食材を傷つけない最小の力で触れながらも、持ち上げた瞬間に滑りを検知し落とさずつかむ」という技術アプローチを可能にしている。
食材を掴む際に、最初から「決め打ち」で強く握るのではなく、「最小の力加減で食材に触れ始め」、「徐々に力を加え」、「滑り(人の触覚)を感じなくなったタイミングで持ち上げる」、という制御を行うことで、「正確かつ繊細に」というロボットハンドでのトレードオフを解消し、お弁当や総菜の盛付けをロボットで行うことができる。
さらに、本アプローチは、食材の種類や個体差によらず、同じロボット制御を適用できるため、「多品種」「個体差」に対しても、事前学習や過度なティーチングが不要であり、「汎用的に」振る舞うことができることが大きな特徴となっている。このような食品盛付との技術的親和性を軸に、既に食品加工工場にロボットを導入しており、今後、さらなる利用範囲の拡大を進めていくとしている。
尚、2023年度の「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」の中では、ロボット技術ベンダーの1社である安川電機のロボットを軸に協働開発を進めることで、ロボットシステムとしての機能性・利便性の強化を図る予定だ。
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