【世界初】空飛ぶ5G基地局 ソフトバンクが成層圏からの5G通信試験に成功 ルワンダ政府と協力

ソフトバンクは、成層圏通信プラットフォーム(High Altitude Platform Station、「HAPS」)の研究開発の一環として、HAPSの無人航空機の試験機体に自社で開発した5Gに対応する通信機器(ペイロード)を搭載し、成層圏で5Gの通信試験に成功したと発表した。

今回の通信試験は、ソフトバンクとルワンダ共和国政府が協力し、ルワンダの領空で実施。HAPSの無人航空機を活用して、成層圏からの5Gの通信試験に成功したのは、世界初となる。(2023年10月17日時点での公開情報に基づく。ソフトバンク調べ)

参考:成層圏を飛ぶことができるモバイル通信の基地局HAPS「Sunglider」の写真


約73分間連続して5G通信を提供

ソフトバンクとルワンダ共和国政府は2023年6月に、今回使用したペイロードと同様の大きさと重量のダミー機器を搭載した成層圏飛行試験を同じくルワンダ共和国で実施しており、今回の通信試験はそれを発展させたもの。



ソフトバンクが開発した5Gに対応するペイロード

ソフトバンクが開発したペイロードは、成層圏の高度最大16.9kmにおいて、約73分間連続して5Gの通信を提供し、厳しい条件下でも想定通りの性能を発揮。通信試験では一般に販売されている5G対応スマートフォンを使用し、通常の通信で利用されている電波を利用して、ルワンダの試験場と日本の間で5Gによるビデオ通話(Zoom)を実現した。


実証実験の様子

今回の試験は、2020年7月にソフトバンクの子会社であったHAPSモバイル(当時。2023年10月1日付でソフトバンクに吸収合併)とルワンダ共和国のICTイノベーション省との間で締結された覚書に基づくもの。また、ルワンダ共和国とその他の地域でのモバイルインターネット接続の提供や、その他の課題解決に向けてHAPSの利用を研究する共同プロジェクトでも協力している。

農村地域の学校やコミュニティーのデジタル化なども検討

2023年6月にソフトバンクとルワンダ共和国教育省は、非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network、「NTN」)ソリューションを活用してルワンダで教育技術(EdTech)サービスを提供する連携協定も締結おり、ソフトバンクとルワンダ共和国政府は、ルワンダ共和国などのアフリカ地域におけるHAPSの活用の可能性と商用化に向けた研究に取り組む予定。その他、通信環境が整っていない農村地域の学校やコミュニティーのデジタル化なども検討するとしている。


ルワンダの学校

通信試験に成功に対してのコメント

今回の通信試験に成功に対して、ソフトバンクの代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一氏は下記のように述べている。

ソフトバンクの代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川潤一

ソフトバンクの5G対応のペイロードが、成層圏で期待を上回る性能を発揮したことを、大変うれしく思っています。われわれはHAPSをはじめとするNTNソリューションを活用し、デジタル格差の解消を目指していますが、今回の試験結果は、その目標に向けた重要な一歩となります。ルワンダ政府の継続的な支援に感謝するとともに、引き続き協力して、商用化に向けたユースケースに取り組むことを楽しみにしています。



また、ルワンダ共和国 ICTイノベーション省のポーラ・インガビレ大臣は次のようにコメントしている。

ルワンダ共和国 ICTイノベーション省のポーラ・インガビレ大臣

今回成功した成層圏からの5G通信試験は、非常に将来性がある取り組みです。この取り組みは、革新的なソリューションによってデジタル格差を解消し、誰もがデジタル技術を享受できる『デジタル・インクルージョン』を実現するための、重要な一歩となります。また、われわれはこの取り組みを通して、ルワンダを、世界中の先進的でビジョンのある人々が集まる場所にしていきます。人々はルワンダにおいて、新しい取り組みをサポートする政策や柔軟性のある規制・ルールを活用することができ、イノベーションを追求することができます。われわれは、この共同プロジェクトでのパートナーであるソフトバンクに感謝すると共に、実証実験のフェーズをさらに進め、両社のパートナーシップを強化することを楽しみにしています。


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ロボスタ編集部

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