日本科学未来館は「ロボット」「地球環境」「老い」をテーマに、4つの新しい常設展示を2023年11月22日から一般公開しました。さまざまな社会の課題を「自分の身近なことと捉えて」向き合い方や解決に向けたヒントを探っていくための、最新の科学技術にもとづく展示体験を広く提供していくとしています。
そこでロボスタ編集部では早速、新展示を体験してきました。「ハロー!ロボット」ではロボットと会話したり、触れあったり、モノをつかむロボットハンドの新技術、生物の動作を模した動きなど、新しい体験ができます。
また、「ナナイロクエスト -ロボットと生きる未来のものがたり」ではゲーム形式で、ロボットと生きる未来を体験できます。
今回は「ハロー!ロボット」の一部を紹介します。
ハロー! ロボット
「ハロー! ロボット」は既に市販されているロボットたちとふれあい、また、最新ロボティクス研究が紹介されています。現在から未来への多様なロボットとのくらしを想像し、新しい可能性を見つけることができる展示となっています。
インタラクティブ機能を持った「ケパラン」
まず注目したいのはトヨタ自動車が開発したインタラクティブ機能を持ったパートナーロボット「ケパラン」。名前の由来は架空の動物「ケサランパサラン」、妖怪とも生物とも植物とも言われ、ただの毛玉という節も。
このパートナーロボット「ケパラン」はとても愛嬌があって、こちらが「ウインクして」「ケバランポーズ」などと書かれたウチワを見せると、それを理解して、ウインクしたりポーズをとったり反応してくれます。一方、ホウキを見せると自分が掃除されて排除されると感じるのか、とても嫌そうな表情やポーズをとる。ほかにヌイグルミなども置かれているので、どんな反応を示すのか試してみてね。
特筆すべきはその滑らかな動き。人間の関節自由度とほぼ同じ34軸のアクチュエータを内蔵し、自然な動きを実現しています。ちなみにこの展示では固定で動作していますが、ちゃんと二足歩行で歩く機能も持っています。
弱いロボット「トーキング・ボーンズ」
今まで同館でも展示されたことがあるロボット同士で会話する「トーキング・ボーンズ」。
人がこの会話に加わったとき、何気なく発した言葉に反応してロボットたちが今日あったできごとや経験に対する関心や共感を示しながら、会話を引き出してくれるということです。必ずしも人とロボット達との会話が成立しないもどかしさや不思議な感覚も楽しみのひとつと受け止めましょう。
耐火性ソフトグリッパ機構
人間は、やわらかい、かたいモノを判断してつかむことができますが、今までのロボットはその判断が苦手でした。自由自在な「柔らかさ」を持ったロボットハンド(グリッパ)が展示されています。
おわん型の半球を一直線に並べてワイヤーでつなぎ、柔らかく自由に変形できる構造になっています。そのためハンド自身も耐火性が向上しています。
ワイヤーを引っ張って半球同士の摩擦力を大きくすると、形状を保ったまま固くなる機構を応用し、多様な物体をつかむことができるグリッパです。材質にも耐火性のチタンを用いて、災害時などの過酷な環境においても活用することができます。
Pupiloid(ピューピロイド)
ぎょっとする人もいるかもしれません。だって、巨大な目なんですから。
たしかに人をひきつけるロボットの魅力と言えばそうなんですけれど・・。名前の由来は「Pupil」(瞳)+ 「oid」(ロボット)の造語。人の瞳のような見た目をしたロボットです。
このロボットは人の会話の「熱量」(発話量)を計測していて、時たま不思議なタイミングで合いの手をされたり、相づちをうったりします。また、より熱心に話しかけるほど、瞳孔が大きくなります。瞳孔の変化があることによって、よりロボットに親しみを感じやすくなり、会話を促進させる効果が期待されていると言われています。不思議な体験をしてみてください。
ほかにもいろいろなロボットが展示されているので、ロボットと暮らしたり、ロボットが進化した未来を思い浮かべながら観覧して見ては如何でしょうか。
なお、詳細は関連記事「日本科学未来館 「ハロー!ロボット」など4つの新常設展示を公開、見どころ紹介 社会課題の解決めざすロボットを複数展示」でもお伝えしています。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。