アクセンチュア 企業の生成AI基盤モデルのカスタマイズと管理を支援する新しい専門サービスの提供を開始

アクセンチュアは企業が生成AIをカスタマイズし、その価値を最大化させる包括的な新サービスを発表した。

今回の発表に対して、アクセンチュアの会長兼CEOであるジュリー・スウィート氏は次のように述べている。

ジュリー・スウィート氏

生成AIはビジネスの再創造を加速し、お客様に対してかつてないスピードで価値を提供しています。生成AIを実証実験ステージから本格的な運用へと移行させるためには、企業特有のビジネスニーズに最適化された大規模言語モデル(LLM)に基づく強固なデータとAIの基盤が不可欠です。さらに、LLMの活用と管理をするための人材育成も求められます。アクセンチュアが提供を開始する新たなサービスによって、お客様はデータへのアクセスを加速させることができ、生成AIから自社のビジネスニーズに合った具体的な価値を引き出すことが可能になります


生成AIの使用は実証実験のステージを終えた

アクセンチュアが行った最新グローバル調査によると、経営幹部の74%(日本では73%)は2024年にAI関連の投資を増やす計画であり、前年の50%(日本では56%)から増加している。これは、企業は生成AIの実証実験ステージを脱し、自社データを用いた基盤モデルのカスタマイズを進めていることを示している。

これに対してアクセンチュアの執行役員で、AIセンター長である保科学世氏は

保科学世氏

回グローバル発表されたスイッチボードは、 2018年からサービス提供中のAI HUBプラットフォームにおける生成AI活用機能を大幅に強化するものです。労働力が不足する日本においては、生成AIの活用は不可欠です。今回提供する「スイッチボード」や、LLMカスタマイズサービス、包括的な研修プログラムで、人間、生成AI、それぞれの力を最大限引き出し、ビジネス変革に寄与できることを大変喜ばしく思います。

と述べている。

アクセンチュアは、AI関連事業に30億ドルの投資を行っており、この投資の一環として、アドバンストAIセンター(Center for Advanced AI)でAI基盤モデルサービスと独自のLLM関連資産を開発し、1,450件以上の生成AIを含めAIに関する特許(ファインチューニング、プロンプトエンジニアリング、モデルアーキテクチャなど)を申請中または取得済みだ。

アクセンチュア テクノロジーのグループチーフエグゼクティブであるカーティク・ナライン氏は

カーティク・ナライン 氏

生成AIが持つ可能性を引き出し、活用するためには、ニーズに合わせて特化したモデルを組み合わせる必要があります。アクセンチュアのスイッチボードは、コストやカーボンフットプリントまでも管理しながら、ビジネスの状況に合わせて適切なモデルを選択し、AIを幅広く導入できるよう設計されています。アクセンチュアの包括的なカスタマイズサービスには、企業が独自のニーズや文脈に合わせてAIモデルを組み合わせ選択し、バリューチェーン全体を変革するのに役立ちます

と述べている。

アクセンチュアの新たな専門サービス詳細

アクセンチュアが提供を開始する生成AIを含めた新たな専門サービスには、アクセンチュア独自の生成AI基盤モデル「スイッチボード」、カスタマイズ手法、モデル管理サービス、およびこれら新サービス活用に向けた研修プログラムが含まれている。

「スイッチボード」の活用

アクセンチュア独自の「スイッチボード」では、自社のビジネスニーズやコスト、回答精度などを踏まえて、ユーザー自身で最適なLLMの組み合わせを選択することができる。大手エンターテインメント企業では、スイッチボードの活用が始まっており、同じプロンプトに対し、モデル間で異なる解釈結果やパフォーマンスの差分を比較することで、最適なモデルの選定に役立てている。

カスタマイズ支援

アクセンチュアは、顧客の特定のビジネスニーズやデータソース、さまざまな手法に合わせたLLMのカスタマイズを支援する。また、プロンプトエンジニアリングと継続的なファインチューニングのためのマネージドサービスも提供する。

包括的な研修と認定プログラムを提供

顧客におけるLLMの効果的な活用と管理スキルの向上に向けて、包括的な研修と認定プログラムを提供する。アクセンチュアでは、新たなAIスキルへの需要が顕在化することを見据えて、主要な学術機関との連携を継続している。スタンフォード大学の「人間中心のAI研究所」(Stanford Institute for Human-Centered AI)と共に、大規模言語モデルに関連するスキルを認定するスカラープログラム(Foundation Model Scholar Program)を創設した。

Hartford社との連携事例

例えば、保険業界ではサービス提供において、膨大な書類の確認を欠かすことができないが、アクセンチュアではこのような業界特有の課題に対しても生成AIが有益であると捉え、アメリカに拠点を置く保険会社Hartford社と連携して生成AI活用に向けた取り組みを進めている。

アクセンチュアとの取り組みに対して、Hartford社の最高情報責任者であるディーパ・ソニ氏は、

ディーパ・ソニ 氏

Hartford社は、先端技術を積極的に活用していくという企業方針の一環として、アクセンチュアの協力のもと、生成AIが持つ力を多分に引き出せることを嬉しく思います。当社は、すでにAIの持つ可能性を理解し、積極的な活用を進めています。責任あるAIの活用原則のもと、生成AIモデルをカスタマイズする能力と高度なアーキテクチャを駆使することで、バリューチェーン全体における従業員の業務を高度化し、こらからもお客様、代理店、ステークホルダーの皆さまに優れたサービスを提供してまいります

と述べている。

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