NVIDIAは、物理的に正確なセンサーシミュレーションの活用によって、あらゆる種類の完全自律型マシンの開発を加速するマイクロサービスのセット「NVIDIA Omniverse Cloud Sensor RTX」を発表した。ヒューマノイド・自律走行車・モバイルロボット・ロボットアーム・スマートスペースなど、シミュレータやデジタルツインのAI開発に活用できる。
センサーの知覚と関連AIの大規模テストが可能に
数十億ドル規模の成長が著しい産業であるセンサーは、自律走行車、ヒューマノイド、産業用マニピュレーター、モバイルロボットおよびスマートスペースに物理世界を理解し、情報に基づいた意思決定を行うためのデータを提供している。
NVIDIA Omniverse Cloud Sensor RTXにより、開発者は、現実世界での展開前に、物理的に正確でリアルな仮想環境上で、センサーの知覚と関連する AI ソフトウェアの大規模テストを実施することが可能になり、安全性を高めながら時間と費用を節約することができるとしている。
NVIDIAのOmniverseおよびシミュレーションテクノロジ担当バイスプレジデントであるレヴ レバレディアン(Rev Lebaredian)氏は、次のようにコメントしている。
Rev Lebaredian氏
生成物理 AI を活用して、安全で、信頼できる自律マシンを開発するには、物理ベースの仮想世界でトレーニングとテストを行う必要があります。NVIDIA Omniverse Cloud Sensor RTX マイクロサービスにより、開発者は、工場、都市、さらには地球の大規模デジタルツインを簡単に構築できるようになり、AI の新たな波の到来を加速させることができます
大規模なシミュレーションを加速
OpenUSDフレームワーク上に構築され、NVIDIA RTXレイトレーシングとニューラルレンダリングテクノロジを搭載したOmniverse Cloud Sensor RTXは、ビデオ、カメラ、レーダーおよびLiDARを通じて得られる、現実世界のデータと合成データを組み合わせることによって、仮想環境の作成を加速する。
現実世界のデータが限られているシナリオの場合でも、マイクロサービスを使えば、ロボットアームが正しく作動しているかどうか、空港の手荷物引き渡し用ターンテーブルが機能しているかどうか、木の枝が道路を遮っていないかどうか、工場のコンベアベルトが動いているかどうか、あるいはロボットまたは人が近くにいるかなど、幅広い範囲での活動シミュレーションができるようになる。
研究者の受賞が現実世界での導入を後押し
Omniverse Cloud Sensor RTXの発表とほぼ同じ頃、NVIDIAはComputer Vision and Pattern Recognition(CVPR)カンファレンスにおいて、End-to-End Driving at Scale部門のAutonomous Grand Challengeで優勝した。
NVIDIAの研究者が手がけ、優勝を果たしたワークフローは、Omniverse Cloud Sensor RTXによって、忠実度の高いシミュレーション環境で再現することが可能で、自律走行車(AV)シミュレーションの開発者は、現実世界にAVを展開する前に、物理的に正確な環境で自動運転のシナリオをテストできるようになる。
エコシステムでの利用と提供時期
ForetellixとMathWorksが、AV開発用にNVIDIAからOmniverse Cloud Sensor RTXの提供を受ける、最初のソフトウェア開発企業である。
また、Omniverse Cloud Sensor RTXにより、センサーメーカーも、仮想環境で自社センサーのデジタルツインを検証および統合できるようになり、物理的なプロトタイピングに必要な時間を削減できるようになる。
Omniverse Cloud Sensor RTXの早期アクセスには、登録(https://developer.nvidia.com/omniverse/join)が必要で、Omniverse Cloud Sensor RTXは2024年後半の提供を予定している。
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