就労困難な人が分身ロボットで高齢者と会話 高齢者のQOL向上と障がい者の就労支援を実践 オリィ研究所とシューペルブリアン

遠隔操作の分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」の開発・提供をおこなう株式会社オリィ研究所は、シューペルブリアン株式会社と高齢者施設における実証実験を2024年6月より行っていることを発表した。


今回の実証実験では、シューペルブリアンのグループ会社である株式会社SPB-NCが運営する『就労継続支援B型事業所ノマドhuB可部東』の利用者が分身ロボット「OriHime」を操作し、高齢者施設『ショートステイそわか可部東』の利用者に対して傾聴やコミュニケーションを行う。
就労困難な人が分身ロボットを使って施設の高齢者とコミュニケーションをとることで、高齢者のQOLの向上と障がい者の就労支援を同時におこなう可能性を検証する。

オリヒメの動作選択(うなずく、手を振る等)をするB型の利用者

就労困難な人が高齢者と会話する際に使用する分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」(イメージ)


高齢者のQOL向上と障がい者の就労支援を同時に実践

少子高齢化が進む中、持続的な介護サービスを提供するため、様々なツールを活用した介護の生産性向上が求められている。一方で介護の現場においては、日常的なケアで介護職員が多忙を極めており、利用者との満足なコミュニケーション時間を確保することが難しい現状がある。
また、障がいのある人の就労においては、様々な理由から働きたくても満足した就業の機会を得ることが難しいという課題があることも実状だ。

そこで、分身ロボットOriHimeを活用して、障がいなどが理由で現地での就労が困難な人と、高齢者施設の利用者が遠隔でコミュニケーションを取ることで、高齢者のQOL向上と障がい者の就労支援を同時に実践することが期待できる。今回の実証実験は主にそれを目的としている。

オリヒメを介してコミュニケーションを取る介護施設の利用者


実証実験の進捗と今後の予定

これまでの実証実験より、『就労継続支援B型事業所ノマドhuB可部東』の利用者がOriHimeを操作し、高齢者施設『ショートステイそわか可部東』介護職員の繁忙時間に施設の利用者とコミュニケーションを図ることで、楽しんで会話に集中する機会が増えていることがわかった。そのことにより、日中帯のQOL向上や、立ち上がり・転倒の抑止効果に寄与していることが示唆されている。

この実証実験は8月末まで継続し、様々な種類の高齢者施設の課題解決に向けて、今後さらなる検証を行う考えだ。


オリィ研究所が展開しているサービス

オリィ研究所は「人類の孤独を解消する」を理念に掲げ、障害・病気・介護・子育て等の理由で外に出ることが難しい「外出困難者」の選択肢を豊かにするサービスを研究開発・提供している。

展開サービス:
・遠隔操作でありながら「その場にいる存在感」を共有できる分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」
・テレワークでの肉体的社会参加を可能にする分身ロボット「OriHime-D(オリヒメディー)」
・重度障がいがあっても目や指先などの僅かな動きだけでコミュニケーションを可能にする意志伝達装置「OriHime eye+Switch(オリヒメアイプラススイッチ)」
・外出困難者が「パイロット」として分身ロボット「OriHime」「OriHime-D」を遠隔操作し、オーダーや配膳、お客様との会話など接客を行う「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」
・テレワークに特化した障がいがある方のための人材紹介サービス「FLEMEE」


シューペルブリアンが展開しているサービス

シューペルブリアンは「私たちと繋がりあう誰もが前向きにチャレンジできる社会を創る」をパーパスに、事業シナジーやパートナーシップを強みに、人がもっと輝くために、人が活きる仕組みづくりを目指している。
今回の業務提携では、障害のある方の様々な就労課題を解決する就労継続支援B型事業と、弊社の強みである介護現場のオペレーション構築ノウハウを掛け合わせて、分身ロボットOriHimeと協働し人が輝く仕組みづくりにチャレンジしている。

展開サービス:
・企業と人、双方がワークする(働く、機能する、作用する)ためのサービスを展開する『シューペルワーク(人材サービス)』。
・最新のデジタルツールや就労継続支援B型における就労支援などを介護オペレーションに組み込み、構築し、高品質かつ持続可能な介護サービスを展開する『シューペルケア(介護・障害福祉施設運営)』。
・国内で最も経験と実績のある開発支援チームが、介護の実現場を通じて、ケアテック企業に対してプロダクト開発を支援する『介護DXアーキテクト支援。

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ロボスタ編集部

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