ディズニーリサーチはYouTube動画で「二足歩行ロボット・キャラクターの設計と制御」(英語)を2024年7月17日に公開しました。動画ではディズニーらしいユニークなアプローチで開発していることや、その開発手順が詳しく紹介されています。脚の動き、ロボット設計、機械学習ベースの制御、キャラクター・アニメーションの手法を組み合わせ、表現力豊かな二足歩行ロボットを設計および制御している様子がわかります。
ディズニーファンだけでなくロボット開発者にも興味深い内容になっています。
このロボットは今までディズニーリサーチが何度か動画で公開してきました。また、NVIDIAのAIイベント「GTC2024」において、CEOのジェソンフアン氏の基調講演に登場したことを覚えている人も多いでしょう。
アニメーションとロボティクスを融合した開発手法
ディズニー リサーチとウォルト ディズニー イマジニアリング リサーチ & デベロップメントは、このロボットについて、2023年10月にYouTube動画を公開していて、アニメーション、モジュール式ハードウェア、強化学習を組み合わせた新しいロボット・キャラクターのプロトタイプと紹介しています。また、このユニークな歩き方や特徴を持つ二足歩行ロボットのキャラクターを設計し、プログラミングするのに、数年ではなく数か月で実現できる、としています。
■A New Approach to Disney’s Robotic Character Pipeline 2023/10/09
また、米国ウォルトディズニーパークの「スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ」(巨大なミレニアム・ファルコンが展示されたスターウォーズのエリア)においてテスト歩行を行なっている動画も過去に公開しています。その際は「このロボットはとても軽快な動きと表現力で、スターウォーズ風のドロイドなど、無数のキャラクターのアクティベーションをサポートできます。最近、ディズニーランド パークのスター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジでの1日プレイテストの一環として、イマジニアはアニメーターと協力し、信じられないほどかわいい性格の訓練中のドロイドをデザインしました。銀河で最も聡明な頭脳によって開発されたこの探究がどこへ向かうのか今から楽しみです。」とスターウォーズにかけたコメントをしています。
■Droids in Training: Imagineers Conduct Playtest at Star Wars: Galaxy’s Edge 2023/11/17
「二足歩行ロボット・キャラクターの設計と制御」動画
ディズニーリサーチは今回発表した「二足歩行ロボット・キャラクターの設計と制御」動画において次のようにコメントしています。
「二足歩行ロボットは、移動が困難な場所での動的な移動において素晴らしい成果を上げています。しかし、エンターテインメントのアプリケーション分野では、これらのロボットの設計と制御は、人間の観客にアピールするという難しい課題があります。アーティストが主導して、二足歩行ロボットの表現力豊かな動きと堅牢な動的移動を統合することが重要です。
この目的のために、キャラクター主導の機械的機能に重点を置いて設計された新しい二足歩行ロボットを紹介します。コマンド信号に応じて芸術的な動きを堅牢に実行するための強化学習ベースの制御アーキテクチャーです。実行時に、これらのコマンド信号は、複数のアニメーション・ソースを合成し、ブレンドするアニメーション・エンジンによって生成されます。そして、直感的なオペレーター・インターフェイスによって、ロボットによるリアルタイムのショー・パフォーマンスが可能になります。」
■Design and Control of a Bipedal Robotic Character 2024/07/17
それぞれの脚には5つのアクチュエータ、首に4つのアクチュエータが搭載されています。また、アクチュエータのほかに、ショーの演出機能、スピーカー、アンテナ、照明付きの目、ヘッドランプのセットが備えられている。これらの機能はキャラクターを表現する上で重要な役割を果たしています。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。